宮崎あおい&斉藤陽一郎、青山真治監督に思い馳せる 「EUREKA ユリイカ」はまだ見られず「もうちょっと時間が必要」
2022年10月25日 16:00
青山真治監督作「EUREKA ユリイカ」が10月25日、第35回東京国際映画祭で上映され、丸の内ピカデリーで行われたトークショーに宮崎あおい(※崎はたつさきが正式表記)、斉藤陽一郎が登壇。今年3月21日に逝去した青山監督との思い出を語り、宮崎は涙ぐむ一幕もあった。
本作は、バスジャック事件で心に傷を負った人々の再生への旅を描いた人間ドラマ。宮崎、斉藤らのほか、役所広司、宮崎あおいの兄である宮崎将らが出演。2000年・第53回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞した。
オーディションで選出された宮崎は「そこで初めて監督とお会いしました。オーディション会場では、一点を見つめて、どれだけ目が澄んでいるかを見ていたそうなので、何もしないで会場を後にしたんです」と当時を振り返る。
斉藤は、「教科書にないッ!」で青山監督と知り合い、「撮影後に電話番号を教えてくださいって言ったら、嫌だと言われました。ちょうど監督の仲良くなった人たちに不幸が続いていた時期だったようで、『俺は友達作らないんだ』って。嫌われているのかなと思ったのですが、監督の現場が面白かったので、若さゆえの無邪気さで『Helpless』に出してほしいと電話しました」と秘話を明かす。
「Helpless」で演じた秋彦を「EUREKA ユリイカ」でも演じており、「監督のなかにこういう構想があるとは知らず、『陽一郎、映画撮るぞ』って夜中に電話がかかってきたんです。『おまえ、秋彦だから』って。一度終わっていると思っていたので、同じ役をやると教えてもらってびっくりもしたし、嬉しかったですね」と明かす。
観客からの質問で、5年前の同映画祭でも本作が上映され、青山監督も一緒に3人でトークしたことが触れられた。「見る度に違う映画だが、今回はどうだった」かを聞かれると、宮崎は「まだ見られていないです。見られないというか、見るにはもうちょっと時間が必要です」と話す。
撮影時、宮崎らの面倒をよく見ていたという斉藤は「久しぶりにあおいちゃんと正式な場で会えて嬉しかったけれど、本来いるべき人がいない場でトークをするという。青山さんがいないことでトークが成立しているのは、複雑です」と切り出し、「久しぶりにこの作品を見直して、見る度に新しい発見がありました。(宮崎将扮する)直樹君の『おまえの目を通して海を見せてくれ』って言うセリフが引っ掛かりました。青山さんからのメッセージのように受け取ったんです。海というのは映画にも置き換えられるような気がして。映画を見に行けと、お前の目を通して俺に映画を見せてくれと言っているような。だから、映画を見続けることであちら側とつながる。皆さんもいろんな映画を見続けていただけたら」と呼び掛けると、客席から拍手が送られた。
斉藤の話を涙を堪えるような様子で聞いていた宮崎は、「一つだけいいですか? (青山監督作品の)『サッド ヴァケイション』のメイキングを見直したんですけれど、見た方いますか?」と客席に問いかけ、「秋彦の部屋ってわかりますか? あれがもう私は大好き過ぎて」と、斉藤と光石研、青山監督が登場するコーナーについてトーク。「おふたりへの監督の信頼や期待もすごく見えるし、おふたりを見ている監督の嬉しそうな顔とかすべてがすてきだったので、機会があったら皆さん秋彦の部屋を見てください。監督のキュートなところもおふたりのすごいところも見られると思います」と話していた。
同映画祭では、Nippon Cinema Now部門の特集「追悼 青山真治」として、本作のほか「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」を上映。青山監督は、昨年の同映画祭に審査員として参加していた。第35回東京国際映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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