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「英国王室に起きていることは普遍的な物語の世界と同じ」 パブロ・ラライン監督がクリステン・スチュワートと作り上げた「スペンサー ダイアナの決意」

2022年10月14日 16:00

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パブロ・ラライン監督とクリステン・スチュワート
パブロ・ラライン監督とクリステン・スチュワート
Photo credit:Frederic Batier

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ラライン監督が、ダイアナ元妃がその後の人生を変える決断をしたといわれる1991年のクリスマス休暇の3日間を、静謐かつ繊細なトーンで描いた伝記ドラマ「スペンサー ダイアナの決意」(公開中)。

20歳の若さで嫁いでから、メディアで報じられる華やかな姿の裏側で、王室での孤立、夫の裏切りなど、愛する息子たちを抱えながらも孤独を抱えていたダイアナ元妃の心の機微、そして自然体の美しさをクリステン・スチュワートが体現し、第94回アカデミー賞で主演女優賞に初ノミネートを果たした。このほど、ラライン監督が本作について語るインタビューが公開された。

画像3Photo credit:Pablo Larrain
――昨年はダイアナ元皇太子妃の生誕60年、今年は彼女の悲劇的な死から25年。特別なタイミングが重なったこの時期に、彼女の物語を映画にしようと思ったのですか。

ダイアナは私たちには想像できないような数奇な人生を生きた人です。そして世界中の人たちにとってアイコン的存在なので、映画、テレビ番組、本など、その形態に関係なく様々な媒体で題材になる方だと思います。そして私はおそらく今でもたくさんの人が彼女に共感しているのだと思っています。ダイアナは私たちみんなが経験する出来事や価値観に直面してきました。彼女はいわゆる特権階級に生まれたものの、とても一般的な一面も持ち合わせていました。経験したことも、そしてそれらに対してみせた態度も、どれも普通だったからこそ我々は彼女に共感できたのだと思います。そして彼女の物語がとても魅力的なのはそこにミステリアスな要素も組み合わさっているからです。

――「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」をきっかけに、監督のもとに今作「スペンサー ダイアナの決意」の企画が持ち込まれたと思います。まず何があなたの興味を引いたのか、なぜこの物語を伝えたかったのか、教えてください。

私も世界中の何百万人もの人々と同じように、ずっとダイアナ妃に憧れ、なぜかとても興味をそそられました。私たちはなぜ彼女のことがこんなにも気になるのだろうか、なぜ彼女を追いかけてしまうのだろうか、彼女の行動や彼女に起こることにみんなが興味を持つのはなぜだろうか、ずっと考えていたんです。私の母も彼女に夢中でしたね。ヘアスタイルやファッションをなど、とにかくダイアナ妃の真似をしていました。

考えてみれば彼らは英国王室です。プライバシーが守られた特別な生活を送っているので、我々と共通することはそう多くありません。しかし、ダイアナ妃には我々の好奇心を刺激する何かがあったんですよね。なぜ私たちはこんなにも彼女に注目しているのか。これは最大な疑問であり、同時に素朴な疑問でもありました。これにはいろんな理由があると思うんです。でも確かなのは誰もが彼女に感情移入してしまう何かがあったことでしょう。

彼女は貴族階級出身であり英国王室という特殊な環境にいたわけですが、それと同時にとても自然な美しさや平凡さを持ち合わせていました。そこに私たちは共感し、彼女との結びつきを感じたのでしょう。

ダイアナ妃が感じたことを公の場で伝えるとき、それはいつも人々にとって共感できるものでしたし、彼女が乗り越えようとしていたことは、もしかしたら我々の中にも同じような経験をした人がいるのでは、と感じられました。この結びつきが信じられないほど美しく、同時にとてもミステリアスで謎めいた人物像を生み出したのです。これは映画にとって素晴らしい組み合わせです。

画像4Photo credit:Pablo Larrain
――謎めいているのに親しみやすく、普通でありながら同時に浮世離れした、稀有な存在であるダイアナ妃を具現化する女優として、クリステン・スチュワートがすぐ候補として浮かんだのでしょうか?

もちろんです。でも、クリステンの人生がそうかは分かりません。ただクリステンはミステリアスであると同時に親しみやすさをあわせ持つ、とても独特な存在だと思います。私たちには知りえない経験をしてきたクリステンだからこそ、私たちがダイアナ妃と共感できる部分と私たちが感じる一種の隔たりの間の橋渡し的存在となれたのだと思います。このような力を持つクリステンがカメラの前に立ち、そしてこの物語に興味を持つ観客がいること。その好奇心こそが映画にとって最初のエネルギーになるんです。

傷ついた心を誰かと共有したい、誰かの力になりたい、誰かに助けて欲しい、実際には遠く離れていたものの、こういった感情をみなで共有するようになったことで、ダイアナ妃への想いが大きくなったのでないでしょうか。だからこそ、今でも彼女は私たちの心をとらえて離さないのだと思います。

画像5Photo credit:Pablo Larrain
――ダイアナ妃が亡くなった日、そしてそれから数週間のあいだイギリスが経験したこと―――ご存じの通り、イギリスでは特にダイアナ妃に対する思いが非常に強く、多くのことが論じられてきました。この物語を語る上で、あなたのようにイギリス人ではない視点はどのような意味を持つとお考えですか?

私はチリ出身ですが、だからといって自分がチリを代表しているとは思っていないんです。というより、イギリス人以外のすべての人の代表と言ってもいいのかもしれません。私たちは皆、伝統や歴史などの背景を持つ現代の英国王室にとても惹かれていますが、彼らの慎み深さゆえにその実情をあまり知りません。彼らが作り出し、取り巻いてきた大きな謎は、ありふれた誰かの手によって解かれました。そして最終的に彼女はそこでの暮らしを捨て去り、自らの人生を歩むことを決断するのです。

この一連の出来事を理解し、感じるのに必ずしもイギリス人である必要はないでしょう。現代の英国王室に関する出来事は、公に向かって語られた最初のストーリーだと思います。英国王室に起きていることは普遍的な物語の世界と同じで、そこにあるドラマはシェイクスピアやセルバンテス、ビクトル・ユーゴーの物語と重なります。とても複雑で洗練された構造の中でプライバシーと公の世界の奇妙なバランスの中で生きているという同じ流れに集約していくのです。この二つの世界の交わりはとても魅力的で、同時におとぎ話の原点へとつながっていきます。

私たちは子供たちが気持ちよく眠れるようにおとぎ話を聞かせますよね。おとぎ話の世界では、たいてい王子様がお姫様に出会って結婚し、女王や王様になり、家族を持ち、永遠に幸せに暮らします。でも、現実ではそれがうまくいかず、壊れてしまいすっかり傷ついた女性を目の当たりにするのです。彼女に感情移入せずにはいられない、私たちが伝えたいのはそんな物語でした。

画像2Photo credit:Frederic Batier
――この映画では周りで起こっていることのすべてに疎外感を感じている孤独な人物が描かれますが、その表現方法は非常に独特なものでした。撮影現場では、そのバランスをとるのにどれだけ繊細な作業が必要だったのでしょうか。

スティーブン・ナイトの素晴らしい脚本はまるで手術のように非常に緻密なものになりました。その内容は非常に的確でした。もちろんその細かさも重要でしたが、同時に私たちは撮影時も編集時も、作中のテンポを保ち、常にダイアナ妃に向き合おうと努めました。彼女が内側に抱えている亡霊が誰なのか。この屋敷が象徴的な牢獄となり、ある時点で…ネタバレはしませんが、彼女は自由になることができたのです。

廊下、建物、絵画、装飾品、バスルーム、タイル、ドレス、色彩、ショットガン、ランプ、ビリヤード台など、すべての要素が彼女にとって亡霊のように取り巻き、彼女自身の体験の中でモンスターと化すのです。映画としても魅力満載ですし、それに加えて音楽のジョニー・グリーンウッドが見事な仕事をしているので、劇場作品として大いに楽しんでいただけるのではないかと思います。

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