映画「沈黙のパレード」キャスト&キャラ紹介 ずん・飯尾の名演など見どころも解説
2022年9月18日 11:00
東野圭吾氏の人気小説を原作に、福山さん演じる天才物理学者・湯川学が難事件の謎を解き明かしていく姿を描くなかで、今作はシリーズで最も多くの登場人物たちが作品世界を彩ります。
映画.comでは、キャラクター紹介(登場人物)&演じた俳優陣を紹介。注目すると物語が実に面白く、さらに“深く”なる見どころをお届けします。
「ガリレオ」シリーズは2007年、フジテレビの月9枠で放送された連続ドラマ「ガリレオ」(第1シーズン)が平均視聴率21.9%を記録したことで、初めての劇場版「容疑者xの献身」が製作されます。同作も興行収入49億2000万円という大ヒットを飾り、13年6月に公開された映画第2弾「真夏の方程式」も興収33億1000万円を突破。同年の実写邦画で第1位に輝きました。
天才物理学者・湯川(福山)のもとに、内海薫(柴咲コウ)が事件の相談にやってきた。行方不明になっていた女子高生が、数年後に遺体となって発見され、草薙俊平(北村一輝)がかつて担当した少女殺害事件で無罪になった男が容疑者に浮上しているという。
その男は過去の事件と同様、完全黙秘を貫き、証拠不十分で釈放。さらに男が女子高生の住んでいた町に戻り、堂々と遺族たちの前に現れ、彼らを挑発したことで町全体を憎悪の空気が覆う。そして迎えた秋祭りのパレード当日、蓮沼が殺されてしまう。
犯人は誰か。女子学生を愛していた家族、仲間、恋人。全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。そして、全員が沈黙する。湯川は、“沈黙”に隠された真実を解き明かすことが出来るのか……。
帝都大学の教授。変人でありながら天才的な頭脳を持つ物理学者。論理的な思考と科学的検証で難事件を解決し、警察関係者から「ガリレオ」先生と呼ばれる。
警視庁捜査一課の刑事。正義感が強く、事件の真相解明のためには労をいとわず奔走。湯川を信頼しており、捜査に行き詰まると湯川に相談に訪れる。湯川のバディ的存在。
警視庁捜査一課の刑事。湯川と同じ帝都大学出身で、親友。今作では、草薙が担当した事件で無罪になった男が、再び他の事件の容疑者として浮上する。
殺害された女子学生の父で、菊野商店街の定食屋「なみきや」を営む。
並木祐太郎の妻。祐太郎とともに「なみきや」を切り盛りする。
並木夫妻の長女。歌手になることを夢見る女子学生。幼い頃から商店街の人々に愛されて育った。
並木夫妻の次女。明るく人懐っこい性格で「なみきや」の看板娘に。姉の死を乗り越え、明るく振る舞う。
菊野市にある印刷会社デザイン部に勤めている。佐織の恋人。
並木祐太郎の幼馴染で親友。菊野市で冷凍食品会社「トジマ屋フーズ」を営む。
菊野商店街にある老舗の本屋「宮沢書店」の店主。菊野市で開催されるパレードではチーム菊野を取り仕切っている。
菊野市に住む音楽プロデューサー。佐織の才能を見出し、スターに育て上げようとする。
新倉直紀の妻。自身もかつて歌手として活動していた。
かつて草薙が担当した少女殺害事件で完全黙秘を貫き無罪となり、今回の事件で女子学生を殺害した容疑者として浮上する男。
蓮沼寛一の元同僚。
柴咲さんが扮する内海は、前作「真夏の方程式」に登場しないため、福山さん、柴咲さん、北村さんの3人が劇場版で相まみえるのは「容疑者xの献身」以来、実に14年ぶりということになります。
しかし、ブランクは一切感じさせることはなく、軽妙洒脱なやり取りからシリアスな芝居場まで、あうんの呼吸で観る者の視線を釘付けにします。なかでも、やはり湯川と内海が対峙するシーンは、シリーズを見守ってきたファンにとっては感慨深いものがあるのではないでしょうか。
福山さんと柴咲さんが今作で初めて対峙したのは、ファミレスで話し込むシーン。西谷弘監督は、「グッときた。泣いちゃったよ」とこぼしており、会話のテンポからは年月の空白を全く感じさせません。
3人の共演シーンもまた然り。“お約束”ともいえる、湯川の実験(検証)シーンで、顕著に確認することが出来ます。
「何の実験なんだ?」と尋ねる草薙に対し「すみません、私に説明は無理です」と苦笑いを浮かべる内海。その直後、湯川と一瞬目を合わせる内海だが、湯川のわずかにバカにしたような表情と微妙な間が絶妙です。
また、湯川が専門用語満載の長ゼリフに突入する直前まで、3人は和やかに談笑。カメラが回り始めた瞬間、スッと役に入っていく姿は、15年間にわたり熟成するように構築してきた関係性があるからこそ、成立したといえましょう。ちなみに、淀みなくセリフを言い続ける福山さんでしたが、珍しく一度だけセリフを噛んだ際には、柴咲さんがニッコリと微笑んでフォローするひと幕もあったといいます。
「忍法・眼鏡残し」などのギャグで知られる「ずん」の飯尾和樹さんですが、俳優としても存在感を発揮しています。TBSのドラマ「アンナチュラル」で、上司からパワハラを受ける臨床検査技師・坂本役を好演したことは記憶に新しいです。
今作では、殺害された女子高生の父で、菊野商店街の定食屋「なみきや」を営む並木祐太郎に息吹を注ぎました。当然ながら笑いを一切封印し、怒りと悲しみに支配されていく父親役を演じ切りました。
出演が発表された際、「今回頑固な父親役で、普段の自分とは全く違う性格なので演じるのがとても楽しみでした。ただ普段のにやけ顔が抜けなくて、西谷監督からも「もう少し怒ってください」と注意を受けました(笑)。西谷監督や戸田菜穂さんを始め共演者の方々と不自然ではない日常の動きを追求し、感情も動きにもこだわって演じたので撮影はとても楽しかったです。どの目線で見ていても面白いと思うので、最低3回見ていただけると嬉しいです」とコメントを発表していますが、今作におけるキーパーソンのひとりとして、重責を担ったことは特筆すべきポイントとして挙げておきます。
「なみきや」に現れた蓮沼(村上淳)に対し、血相を変え飛びかからんとばかりに厨房から向かって行く姿からは、悲しみと怒りに支配された父親の“激情”がうかがえます。パブリックイメージとはかけ離れた飯尾さんの姿を、ぜひスクリーンで堪能してください。
「なみきや」店主・並木祐太郎・真智子夫妻(飯尾さんと戸田菜穂さん)の長女・並木佐織に扮した川床明日香さん、次女・並木夏美を演じた出口夏希さんの非凡な才能についても、触れておかなければなりません。
ともにオーディションを勝ち抜き、出演を果たした2人。川床さんは第18回二コラモデルオーディションで、1万人を超す応募者の中からグランプリを獲得し、NHK連続テレビ小説「なつぞら」のスピンオフドラマ「十勝男児、愛を叫ぶ!」に出演しています。
今作では、幼い頃から商店街の人々に我が子のようにかわいがられ、自分の可能性を試してみたいと歌手を夢見る姉・佐織に扮しています。劇中では、夢に向かってひたむきに頑張る姿から、初恋に胸をときめかせ、そして悲しい最期を迎えなくてはならなくなるという難しい役どころを、気負うことなく体現してみせました。
一方の出口さんは、是枝裕和監督が初めてNetflixシリーズを手がけたことで話題になった「舞妓さんちのまかないさん」に森七菜さんとともに主演し、大きな話題を呼びました。
姉の佐織がいなくなってからも、両親のことを思い明るく振舞う夏美に息吹を注いだ出口さん。湯川と連れだってパレードを見物に行く明るく人懐こい様子から、「なみきや」に現れた蓮沼に気づき顔をひきつらせる様まで、説得力のある演技を確認することが出来ます。
将来性たっぷりの若手2人の芝居にも、目を凝らしてみてはいかがでしょうか。
最後になりますが、「ガリレオ」シリーズが生んだ福山さんと柴咲さんによるユニット「KOH+」による主題歌「ヒトツボシ」に込められたメッセージが、胸を打ちます。柴咲さんの歌声、表現をイメージして作った完全あて書きの楽曲ですが、ある登場人物に優しく寄り添うことで、多くの登場人物たちの心も救う歌詞になっていることにも注目してみてください。
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