映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

草なぎ剛が思いを巡らす、1980年代の少年時代のこと。

2022年8月13日 12:00

リンクをコピーしました。
取材に応じた草なぎ剛
取材に応じた草なぎ剛

新鋭・金沢知樹が映画初監督を務めた「サバカン SABAKAN」が、8月19日から封切られる。1986年の長崎を舞台に、ふたりの少年の友情を軸に据えながら、それぞれの家族との愛情の日々を描く、ひと夏の瑞々しい青春映画。主人公のひとり、久田孝明(番家一路)の大人になった姿を演じることで作品を支えた草なぎ剛は、どのような少年時代をおくったのだろうか――。(取材・文/大塚史貴、写真/根田拓也)

1980年代を実際に生きた世代にとっては、得も言われぬノスタルジックな感情が押し寄せて来る作品だ。金沢監督をはじめとする作り手たちは、現代を生きる子どもたちにとって「初めて観る実写映画が『サバカン』になったら」という思いで作ったというが、その真摯な思いが観る者の心に染み込むような仕上がりになっている。

物語は86年の長崎、斉藤由貴とキン肉マン消しゴム(以下、キン消し)が大好きな小学5年生の久田の視点で描かれる。夫婦喧嘩は多いが愛情深い父(竹原ピストル)、怒ると長崎一怖いと評判の母(尾野真千子)、弟(番家)と暮らす久田のクラスには、貧しいためにノートを買うことが出来ず、いつも机に魚の絵を描いている竹本健次(原田琥之佑)という少年がいた。

夏休みのある日、久田家に竹本がやってきて、山を越えた海沿いの町にあるブーメラン島まで「一緒にイルカを見に行こう」と誘われる。不安と期待に胸を膨らませながら、イルカを探す旅に出ることを決意。ふたりだけの小さな冒険には、海を必死に泳いだり、ヤンキーに絡まれたりと波乱が待ち受けていた。

画像2
■これは映像になるべくしてなった!

今作が製作されるきっかけとなったのは、金沢監督が5年前に執筆した「サバの味噌煮の缶詰」を題材にしたラジオドラマの存在にある。

草なぎ:僕もラジオドラマに呼んでいただいて、朗読を担当していたんですね。最初に読んだ時はすごく感動しちゃって、別れのシーンでは涙が出て来てなかなか読めなくなっちゃいました。ジーンとする良い作品だなあと思っていたのですが、ラジオドラマはなくなっちゃったんです。ただ、こうやって映像にしてみたとき、ラジオドラマももちろん良かったんですが、これは映像になるべくしてなった! という事なんでしょうね。

画像3
■少年時代は毎日、泥だらけ

この「幻のラジオドラマ」を映画化するに際し、金沢監督は萩森淳とともに完全オリジナル脚本を執筆。子役の番家が主演し、原田、尾野、竹原、貫地谷しほり岩松了が、草なぎとともに結集した。映画で描かれる80年代を知る“大人キャスト”たちが、リアリティのある芝居で主人公の子役2人を引き立たせている。

劇中の舞台となる86年というと、一般的にバブル景気が始まった年といわれている。富士フィルムが世界初のレンズ付きフイルム「写ルンです」を発売したのも、83年の発売から社会現象となった「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)用に開発されたロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」が発売されたのも、この年だ。当時12歳でデビュー前の草なぎは、どのような少年だったのだろうか。

画像4

草なぎ:映画の中の2人とすごく近いですよ。自転車に乗って遊び回っていて、元気だったからカブトムシやザリガニとかをつかまえに行ったりしてね。大きな山や海があるわけじゃないけど、自然の中で育ったから、そういうものから色々なことを吸収して育っていった感じです。

でも、ファミコンは大好きで買ってもらったなあ。キン消しも好きだったし、この辺の趣向も似ているかもしれませんね。まあ、とにかく毎日、家に帰る頃には膝を擦りむいたりして、泥だらけでした(笑)。

画像5(C)2022「SABAKAN」Film Partners
■母に怒られた記憶はない

主人公・孝明の母は、派手な夫婦喧嘩を繰り広げながらも、家族を包み込む愛情に溢れている。昭和のステレオタイプのような母親像を、尾野が奇をてらうことなく体現。草なぎに、母親についても聞いてみた。

草なぎ:真千子ちゃんが演じたお母さん、なんかいいよね。ああいうお母さんに抱き締められたら、子どもは幸せだよね。うちの母は料理が上手で、栄養のある美味しいものをたくさん食べさせてくれましたねえ。僕も家族も食べることが大好きだったから、いつも工夫してくれていたなあ。怒られた記憶もないんですよね。好きなことをやらせてくれましたしね。

画像6

これまで草なぎが出演する映画の会見などを取材してきたが、山崎貴樋口真嗣西谷弘ら多くの監督、演出家が口を揃えて、草なぎを「非常にストイックだ」と評している。少年時代に集中力を高めるきっかけとなるような出来事があったのか知りたくなったが、草なぎは謙遜を繰り返し、煙に巻かれてしまった。

草なぎ:監督さんはいつも褒めてくださいますが、適当にやっているだけなんですよ。怒られなければいいなとか、そのくらいの方が肩の力が抜けるんです(笑)。それにね、家に早く帰りたいんですよ。集中して良い演技が出来てカットがかかれば、早く帰れるじゃないですか。だから頑張っているだけなんです。それで皆さん、褒めてくださいますが、僕はとにかく早く帰りたいだけなんですよね(笑)。

画像7
■サングラスを見ると……

笑みを浮かべながら話す草なぎからは気負いは感じられないが、本編冒頭に登場する「サバの缶詰を見ると、思い出す少年がいる」というナレーションも同様に観る者の心を落ち着かせてくれる。と同時に、草なぎには何かを目にすると思い出す人物がいるのだろうか……。

草なぎ:サングラスを見ると、タモリさんを思い出します(笑)。初めて会ったのは、20歳前後だったんじゃないかなあ。「笑っていいとも!」よりも前に、「タモリの音楽は世界だ」の収録の時だったように思います。でも、それよりももっと前、「ミュージックステーション」だったのかもしれない……。先輩のバックについた時とか、この世界に入って間もない頃だったような気もします。でも、とにかくサングラスといえば、タモリさんなんです。

画像8

デビューから35年、映画出演は、大森一樹監督作「シュート!」から数えて26本目となった。内田英治監督作「ミッドナイトスワン」では難役を演じ切り、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞。48歳になった現在、何を見据えているのか多くのファンが関心を抱いているはずだ。

草なぎ:あんまり考えていないんですよ。先の事なんて、どうなるか分からないですしね。目の前の仕事をちゃんとやらないと、次にも繋がらないじゃないですか。いただいた仕事に感謝して、出会った人々に感謝してこれまでずっとやってきたので、これからも感謝の気持ちを忘れずにやっていくだけですよ。

フォトギャラリー

草彅剛 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

それでも夜は明ける

それでも夜は明ける NEW

第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る