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ウクライナでのホロコーストを全編アーカイブで描く セルゲイ・ロズニツァ「バビ・ヤール」9月24日公開

2022年8月8日 07:00

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ポスター画像
ポスター画像
(C)Atoms & Void

ドンバス」「国葬」のセルゲイ・ロズニツァ監督の新作「バビ・ヤール」が9月24日から公開される。ポスターと予告編が披露された。

ロズニツァ監督はドキュメンタリーとフィクションの両方を手がける監督で、日本では2020年に「国葬」(19)、「粛清裁判」(18)、「アウステルリッツ」(16)の3作のドキュメンタリーが日本初公開され注目を集めた。そして、今年の5月にロシアによるウクライナ侵略戦争が勃発しことを契機に、2014年からウクライナ東部ドンバス地方で親ロ派武装勢力とウクライナ軍との間で行われている情報戦争の実相を描いたフィクション「ドンバス」(18)も緊急公開。都内1館の公開から全国50館で拡大上映された。

2021年、カンヌ国際映画祭ルイユ・ドール審査員特別賞を受賞した「バビ・ヤール」は、1941年9月、独ソ戦争の最中、混乱するキエフ(キーウ)近郊で9月29日と30日の2日間で3万3771名のユダヤ人が射殺され、ホロコーストにおいて1件で最も多くの犠牲者を出した“バビ・ヤール大虐殺”への過程とその後についてを、全編アーカイブ映像で描いた作品。

1941年6月、独ソ不可侵条約を破棄してソ連に侵攻したナチス・ドイツ軍。占領下のウクライナ各地に傀儡政権をつくりながら支配地域を拡大し、9月19日についにキエフを占領する。9月24日、統治体制の変化で混乱するキエフで多くの市民を巻き込む大規模な爆発が起きた。これは NKVD(ソ連秘密警察)がキエフから撤退する直前に仕掛けた爆弾を遠隔操作で爆破したのだが疑いの目はユダヤ人に向けられた。翌日、当局はキエフに住むユダヤ人の殲滅を決定し、全ユダヤ人に出頭を命じた。1941年9月29日から30日にかけて、アインザッツグルッペ(移動虐殺部隊)Cのゾンダーコマンド4aは、警察南連隊とウクライナ補助警察の支援を受け、地元住民の抵抗もなく、キエフ北西部のバビ・ヤール渓谷で 3万3771名のユダヤ人を射殺した。現在のロシア=ウクライナ戦争で、ロシア側が主張する“ネオナチとの戦い”の意味について理解が深まる一作だ。

さらに、今年の12月初旬には、1980年代後半から91年のソ連崩壊まで、超大国ソ連を相手に粘り強く戦い、祖国リトアニアを独立に導いた初代リトアニア元首で音楽家、“現代の英雄”ヴィータウタス・ランズベルギス氏が30年前の熾烈な文化的抵抗と政治的闘争を語る4時間に及ぶ超大作ドキュメンタリー2021年に発表されたロズニツァの新作「Mr. Landsbergis」(原題)の劇場公開も予定されている。「バビ・ヤール」は9月24日からシアター・イメージフォーラム他全国公開。

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