「グレイマン」プラハでの撮影は「全ての要素が大変だった」 ライアン・ゴズリングらが語る秘話
2022年7月31日 12:00
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「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ エンドゲーム」を手掛けたアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が監督を務めたNetflix映画「グレイマン」のオンライン記者会見が7月中旬に行われ、ライアン・ゴズリング、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、レジェ=ジーン・ペイジ、ルッソ兄弟が登壇。話題を呼んでいるアクション超大作の制作秘話を語ってくれた。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki)
本作でゴズリングが演じるのは、正体を知る者は誰もいない男(=“グレイマン”)の異名を持つ、CIA随一の雇われ工作員コート・ジェントリー。ある日、組織の超重要機密を知ったことで、命を狙われることになる。エバンスがコートを追う元同僚ロイド・ハンセン、アルマスがコートを援護する工作員ダニ・ミランダに扮し、3人は熾烈な追走劇を繰り広げる。
Netflixが製作費に2億ドルをかけた本作は、ロサンゼルス、フランス、チェコ共和国、タイ、クロアチア、オーストリア、アゼルバイジャンなど世界7カ国以上で撮影が行われている。また、壮大な世界観に息吹を注ぐために、1000人を上回るスタッフが世界各地から集められた。
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本作は“ノンストップ・アクション映画”と言えるだろう。身体的挑戦が求められたゴズリングは、どのような訓練を行っていたのだろうか。
ゴズリング「今作では、素晴らしいスタント・チームの助けがあった。彼らがさまざまなスタイルの武道を事前に経験してから、それらをまとめて整理し、訓練してくれた。また、元デルタ・フォース(対テロ特殊部隊)出身のチリ・パルマーという人物がアドバイザーとして参加し、驚くべき戦術的アドバイスを持ち込んでくれている。そのなかには『短い睡眠をとる場合は、靴紐をドアに結び、何者かの侵入をすぐに察知できるようにする』『いつでも、どこでも食べられるようにskittle(アメリカのお菓子)を持ち歩く』などがあった。それらの詳細は、脚本に書かれたものではなく“デルタ・フォースの経験”からしか学べないものだったんだ」
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一方、アルマスは「チリ・パルマーには、ミランダが持つ軍隊的な側面について訓練をしてもらいました。実際の銃の訓練、重い武器を持ちながら、ただ走り回る。どんな辛さや痛みにも耐えるという精神を、身体的なやり方で習得できました。訓練当初は、どうやって動いたり、しゃがんだりするのかわからなかったので、防弾チョッキを着て、鶏のように(ふらふら)走り回っていたこともありましたね」と振り返る。ちなみに、アルマスは、自身の出演作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」とは異なり、ミランダが“誰かの恋の対象ではない”という点も気に入っているそうだ。
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「キャプテン・アメリカ」シリーズ、「アベンジャーズ」シリーズで“スーパーヒーロー”を長年演じてきたエバンスが、冷酷で非道なハンセンを演じている点も見どころのひとつ。エバンスは「悪役を演じる時の方が、いつもより少し楽しめている気がする。(演じるうえでも)自由があり、より多くのジョークがある。それはルッソ兄弟と仕事することで信頼と自由の感覚が与えられているからだ。信頼できるフィルムメーカーと仕事をすると、リスクを冒すことをいとわなくなる。確かにこのような役を演じることにはリスクもあると思う。ルッソ兄弟との信頼関係がなければ、このようなやりがいのある経験はできなかった」と満足しているようだ。
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Netflixのドラマシリーズ「ブリジャートン家」でお馴染みのペイジ。本作では、ロイドに指示を出すCIAの本部長デニー・カーマイケル役として登場する。役を演じる上では、シェイクスピアの戯曲「オセロ」の悪役イアーゴを意識していたそうで、アメリカ流の英語アクセントにもチャレンジ。では、どのような下準備を行っていたのだろう。
ペイジ「実は、これまで演じてきた役柄と同じような下準備しかしていない。それは、まるで人生で初めて脚本を手にして読んだかのように“新鮮な状態から始める”ということ。そのなかで、この役がどんなバックグラウンドを持っているのかを確認し、どのような理由でそうなっているのかを追求していく。今回の役では、ブルーカラーの要素をバックグラウンドに取り入れ、深みを持たせたいと思ったんだ。それは、どこかアメリカ東海岸のメンタリティーのような、頑張りすぎてしまう感覚。なぜその若さでCIA高官のポジションについているのかという点を、理解できるものにしてみたんだ」
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プラハでのシークエンスでは、ド派手なアクションが繰り広げられている。ジョー・ルッソ監督は「その全てが大変だった」と答えると、アンソニー・ルッソ監督も「確かに全ての要素が大変だった」と同意した。
アンソニー・ルッソ「アクションを実現させるために、プラハ市内の大部分が必要になった。このアクション・シークエンスは、プラハの広場から始まる。コートは市内中で追跡されているため、非常に複雑だった。どれほど大変だったのか。その例を挙げよう。コートが路面電車に乗り、ミランダが車で彼を追いかける場面では、周囲に商売をしている人々が大勢いる。そんなプラハ内を通り抜けるシーンがあるんだ。そこでは、路面電車のように見えるような形で、車輪で走るバスを作っている。実際の路面電車よりも速く走らなければならなかったし、線路のない通りを走らせる必要もあったからだ。普通の路面電車ではダメだった。全てのロケーションでシークエンスを構築し、主要キャストで撮影し、危険すぎる部分はスタントマンが行っているんだが、とても複雑な過程だった。だからこそ、プラハの人々とクルーに感謝したい。皆さん、映画製作に非常に協力的でだった。プラハのような都市でしか、このような複雑なアクションはできなかったはずだ」
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また、ジョー・ルッソ監督は、脚本に関しては「俳優とともに協力することが大切」だと語る。
ジョー・ルッソ「俳優陣には、キャラクターに対して感情的な所有権を持ってほしいと思っている。本作の出演者は、みんな素晴らしい俳優陣であり、素晴らしいストーリーテラーでもある。それに彼らは驚くほどの経験を兼ね備えている。僕らは、そんな俳優陣に共同作業者としてアイデアを持ち込むように勧めている。僕らは、(内容の)何かを捨てるために、脚本を用意しているだけだ。映画製作の古い格言になるが、その瞬間瞬間に起きていることに対して、いつも対応できるようにしたいと思っている。自然に面白いものができたり、誰かが面白いことを言った場合、それらがどこから生まれたのかは関係ない。理に適っていたとしたら、僕らは試してみる。だから、俳優陣の誰もが、それぞれのキャラクターのセリフ、ジョーク、アクセントに工夫を凝らし、生き生きとしたキャラクターにしてくれたんだ」
なお「グレイマン」は、続編とスピンオフの製作が決定している。続編は「アベンジャーズ エンドゲーム」のスティーブン・マクフィーリー、スピンオフは「デッドプール」シリーズのポール・ワーニック、レット・リースが脚本を手掛けるようだ。
「グレイマン」は、Netflixで独占配信中。
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