是枝裕和監督、「ベイビー・ブローカー」韓国の反響を明かす ソン・ガンホの“協力”にも感謝「芝居に対する基準がかなり高い」
2022年6月13日 18:44

「ベイビー・ブローカー」で自身初となる韓国映画を手掛けた是枝裕和監督が6月13日、都内で行われた記者会見に出席。第75回カンヌ国際映画祭の後、韓国でのプロモーションと公開初日を終えて凱旋帰国した是枝監督は、韓国での反響や主演を務めたソン・ガンホの印象、撮影の裏話などを語った。

自らの手で育てられない赤ん坊を匿名で預けることができる“赤ちゃんポスト”に預けられた赤ん坊を横流しし、マージンを稼ぐベイビー・ブローカーの男2人、サンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)。ある雨の夜、2人は若い女性ソヨン(イ・ジウン)が預けた赤ん坊をこっそりと連れ去るが、翌日思い直して戻ってきたソヨンに疑われ、なりゆきから一緒に養父母探しの旅に出ることになる。
第75回カンヌ国際映画祭では、主演のソンが最優秀男優賞を受賞。さらに同部門とは別に、「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られるエキュメニカル審査員賞にも選ばれた。韓国では6月8日から公開を迎え、初登場1位を記録している。
カンヌ国際映画祭でのソンの受賞について、是枝監督は「この作品にとっては最高のゴール。その夜にパク・チャヌクさんのチームと合同でお祝いをしたいのですが、みんな幸せな夜でした。役者を褒められるのが一番嬉しいんですよね」とにっこり。「僕の演出でソン・ガンホさんが獲ったというより、(ソン・ガンホが主演を務めてきた)パク・チャヌクさん、ポン・ジュノさん、イ・チャンドンさん、どの監督で獲ってもおかしくなかったと思います。むしろ申し訳ないです、僕が監督したタイミングで受賞して。韓国の監督にとっては“僕らのソン・ガンホ”という気持ちがどこかにあるのでは」と苦笑した。
ソンについては、撮影前にポン・ジュノ監督から「不安はあると思うけれど、ソン・ガンホが現場に来たらすべてはソン・ガンホのペースで進むから、何も心配はいらない」と言われていたそうで、「その通りでした」と以下のように振り返る。
「予定よりも1時間くらい早く現場に来て、昨日僕がつないだ映像を見たいと編集担当に言って。自分のお芝居だけではなく、つないだものを全部見たうえで基本褒めてくれるのですが、『最高だったけれど、僕のセリフのあそこだけは今使っているテイクじゃなくてもう2つ前くらいに良いのがあったと思う。監督が切り取ったものだけだとセリフのニュアンスまではわからないと思うから、一度比べてみて。でも、最終的な判断は監督に任せるから』ということを基本毎日やってくれた。とても助かりました。彼はテイクごとに違うので、言葉のわからない僕が追えていない部分を補ってくれているのかなと思いました。でも、意外とどこの現場でもやっていると聞いたので、自分の芝居に対する基準がかなり高い。それをクランクアップまで続けてくれたのは、本当に頼りになりました」

最後の仕上げの際にもソンがダビングルームを訪れて「今言うことじゃないかもしれないけれど、僕のセリフを一つ途中で切ったほうが余韻が残っていいと思うから、間に合えば確認してほしい」と言われたそうで、「それは映像を見て切りました。最後の最後まで一緒に走ってくれた」と感謝を込めた。
同映画祭後、韓国に到着すると「空港は揺れていました。職員の人が職場を離れてついて来ちゃって。出口を出たところでもファンの方々が待ち構えていて。国民的なスターがカンヌの映画祭で韓国人初の男優賞を受賞したのは、オリンピックの金メダル以上なのかなというのはなんとなくわかりました」と反響の大きさを伝える。
また、カンヌでは韓国映画の注目度の高さを実感したそうで、「(韓国の映画界が)この10年やってきたことが『パラサイト』で結実した。カンヌに来ているジャーナリストの数も『パラサイト』のときの倍。向こうで囲み取材をしましたが、韓国の取材陣だけでも50人くらいいたんじゃないかな。相当な力の入りよう」と驚いていた。
「ベイビー・ブローカー」は6月24日から全国公開。
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