「映画監督有志の会」が映連へハラスメント防止に向けての提言書を提出
2022年4月22日 18:00
是枝裕和、諏訪敦彦、岨手由貴子、西川美和、深田晃司、舩橋淳(五十音順)らが名を連ねる「映画監督有志の会」が、4月13日、一般社団法人日本映画製作者連盟(映連)にハラスメント防止に向けての提言書を提出。映像業界が自らの問題として真摯に向き合い、具体的な対策を実施してゆくための、ハラスメント撲滅に対する声明の発表、実態の検証・調査、防止対策の具体化、そして第三者機関による相談窓口の設置を提言した。
「映画監督有志の会」は、1年以上前より映画業界の労働環境改善を含む包括的な改革のために、フランスのCNC(国立映画映像センター)に相当する統括機関の設立を求め、協議してきた。また、今まで見過ごされてきたハラスメントや暴力に関する問題が取りざたされ、自らの反省と根絶する意思を表すべく3月18日に「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」という声明を発表した。
さらに3月24日、文化庁がフリーランスを守るための契約書の雛形を作成中とのことで、特にハラスメントの問題について調査、検証の必要性を同庁に対し要望している。提言書提出時には、出席した映画監督有志の会のメンバーがそれぞれ発言し、今、行動していく必要性を訴えた。映連側も、鋭意改善に向けての対応策を協議中と回答し、今後の動向が注目される。
なお、映連への提出資料である「フリーランス芸能従事者の労災と安全衛生に関するアンケート2022/調査主体:芸能従事者協会」は、(https://artsworkers.jp/questionnaire/20220404/)、「『表現の現場』ハラスメント白書 2021 ※『映像分野』のハラスメント抜粋/調査主体:表現の現場調査団」は、(https://www.hyogen-genba.com/surveys)で閲覧できる。
私たちが3月18日に緊急に公表した声明「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します。」に対し、映画業界各所より400通以上の賛同の声が寄せられました。賛同者はプロデューサーから現場スタッフ、俳優まで多岐にわたり、その声のひとつひとつが映画業界の改革を求める切実な声です。ハラスメントや暴力は個人の資質の問題ではなく、職務上の優越的な関係の悪用を許す環境を放置してきた映画業界全体の責任です。
私たちは、貴連盟および会員各位において、労働環境保全・ハラスメント防止に向けた明確な改善策が打ち出される社会的責務があると考え、以下の4項目について提言いたします。
責任ある団体として、映画映像の製作、撮影現場におけるあらゆる暴力ハラスメントに対してこれを容認しない、という基本的な態度を表明してください。
現状を把握し、改善するそのために、現場を支えるスタッフや俳優たちの声に耳を傾けてください。
さらに業界全体で既に行われたヒアリングと調査を検証してください。撮影現場のみならず企画開発からキャスティング、興行に至るまで、映画業界におけるあらゆる労働現場において、スタッフならびに俳優の安全が十分に守られていない現状を、最大限の危機感をもって認識するようお願いします。
製作現場の安心安全を守り高めるため、リスペクトトレーニングの実施、ハラスメント防止ガイドラインの作成、キャスト保護のためのインティマシーコーディネーターなど新しい取り組みの導入を検討し、業界全体への普及と浸透に尽力してください。
被害を受けた俳優やスタッフが過大なリスクを負って告発をしないで済むよう、製作過程で起きたあらゆる問題を相談できる窓口としての第三者機関が必要です。その設立に向けて主体的に行動し、全面的に協力してください。
いま経産省主導により映画制作現場の適正化機関の開設準備が進んでいると聞いております。「誰もが気持ちよく働ける映画の労働現場」を目指すための重要課題として、上の4点について十分な検討を求めます。
提言2.にあるように問題改善に取り組むその前提として、撮影現場や興行の場における劣悪な状況を知る必要があります。そのためには、2019年に経済産業省主導で行われたアンケートのみでは不十分であると私たちは考えます。映画製作者連盟の責任者や現場担当者が、実地にスタッフ、俳優たちの声を聞くことが重要ですが、まずはすでに行われている各種の調査に目を通すことをお願いいたします。
資料として複数の団体による調査結果を提出します。ここに集められている声は、私たち映画監督にとっても、映画製作者連盟の皆様にとっても、真摯に向き合うべき内容です。
・フリーランス芸能従事者の労災と安全衛生に関するアンケート2022(調査主体:芸能従事者協会)
残念ながら今の映画業界は、若者が働いてみたいと夢見る世界でもなければ、私たちが胸を張り就職を勧めることができる場所でもありません。この現実を、私たち映画関係者は直視しなければなりません。
この業界でキャリアを築いてきた私たちには、安全な環境で映画を制作し、安心して映画ファンに届けられる映画界を未来に継承してゆく責任があります。改善に向けどう具体化していくか、私たちも当事者として反省しつつ、映画製作者連盟とともに継続して業界の改革に力を尽くします。
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