中田青渚、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を糧に抱く新社会人の自覚
2022年3月19日 10:00
第43回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞した中田青渚は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で授賞式が中止となったこともあり、受賞した実感を得るのにしばらく時を要したという。受賞の喜びをあらわにし、感謝の気持ちを語るべきスピーチの機会を失った中田はいま、何を思うのか――。(取材・文/大塚史貴)
今泉力哉監督作「街の上で」と「あの頃。」、ウエダアツシ監督作「うみべの女の子」の3作品での最優秀新人賞。演技を評価されての受賞は初めてとあって、「正直実感が湧かなくて……」と苦笑いを浮かべる。
「授賞式がなくなって残念な気持ちはもちろんあるのですが、まだどこか自分が賞をいただいたということが腑に落ちていないというか……。それでも、トロフィーと賞状をいただいて、ようやく少し実感が湧いてきました」
受賞の一報は、撮影現場で受けたそうで「支度が終わった頃に、マネージャーさんからのメールで知りました。その時も『ん?』って感じで、にわかには信じられませんでした。母にも報告したのですが、『ほんま?』という感じで、私と同じようによく分かっていない感じでした」と振り返る。
今泉監督には後日、顔を合わせた際に感謝の気持ちを伝えたという。撮影中と変わらないテンションで祝福されたそうだが、現場では今や売れっ子となった今泉監督のどのような一面を垣間見たのだろうか。
「撮影中、演出されたという記憶があまりないんです。それよりも、私が緊張していたりすると、それを見抜いたかのようにフッと声をかけてくださる方なんですよね。逆に私がノッている時は、特に演出されることはなくて、ただただモニターを見つめているという印象です。以前はインディーズ映画を作られている監督さんというイメージでしたが、どんどん今泉さんの色が出て来て、名前も大きくなってきているのに、監督は何も変わらないからこそお仕事しやすいし、いつお会いしてもリラックス出来ちゃうんでしょうね」
朗らかな面持ちで話す中田は兵庫県出身で、高校進学のタイミングで上京を果たす。地元には映画館がなかったそうで、「学校帰りに行けるような距離ではなくて、1日がかりで『行くぞ!』と気合を入れないと行けない距離でした。でも、子どもの頃は毎年『ドラえもん』だけは家族で観に行っていましたね」とほほ笑む。むしろ映画好きの父親の影響を受けることが大きかったといい、「父が家でDVDを見ているのを一緒に見ることの方が多かったかもしれません。蒼井優さんの作品とかを見ていたのを、よく覚えています」。
銀幕デビューは、2015年の「orange オレンジ」(橋本光二郎監督、土屋太鳳主演)。1シーンだけの参加となったが、そこから着実にキャリアを積み重ね、昨年の「うみべの女の子」までで12本の映画に出演したことになる。中田にとっては、「お芝居の部分で自分に委ねられている部分が多い気がすることもあって、私の中で映画のお仕事はすごくやりがいを感じています」と映画への思いを明かす。
そのうえで、今後は「キラキラした青春ものや恋愛映画って、実はやったことがないので、憧れも含めて興味があります。高校生や学生の役も、やれる年齢が限られてくるものなので、出来る限りやりたいと思っているんです。あとは、ホラー映画。地方ロケや、行きっぱなしの現場も好きなので、そういうお話があれば、ぜひ参加してみたいですね」と展望を語る。
3月で大学を卒業し、女優を職業としていくための覚悟は既に胸に秘めている。
「新社会人で、もう学生ではなくなるわけです。周囲が就職していくなかで、私はこの仕事を続けていくわけですから、責任感というか、より気を引き締めていかないと! という思いは大きいです。まずは、目の前にあることを必死にやっていきたいです」
こちらを見据える眼差しは意外と力強く、「割と折れないタイプで、ちょっと厳しいことを言われても大丈夫なんです」と言い切れる芯の強さがうかがえる中田の今後の飛躍に、大きな注目が集まる。
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