うみべの女の子
劇場公開日 2021年8月20日
解説
「ソラニン」「おやすみプンプン」の浅野いにおによる漫画を「イソップの思うツボ」の石川瑠華、「アイスと雨音」の青木柚主演で実写映画化。海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅。彼女は憧れの三崎先輩に振られたショックから、かつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺と関係を持ってしまう。初めは興味本位だったが、何度も身体を重ねるうち、磯辺を恋愛対象とは見ていなかった小梅は徐々に磯辺への思いを募らせていく。その一方、小梅が好きだったはずの磯辺は小梅との関係を断ち切ろうとする。2人の気持ちがすれ違う中、磯辺は過去にイジメを苦に自殺した兄への贖罪から、ある行動に出る。小梅役を石川、磯部役を青木がそれぞれ演じる。監督は「富美子の足」「リュウグウノツカイ」のウエダアツシ。
2021年製作/107分/R15+/日本
配給:スタイルジャム
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2021年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
原作未読で、ぼんやり観始めて俳優たちの見た目から高校生の話と思っていたら、途中で高校進学の話題などが出てきて中学生だったかと気づく。早々にセックスシーンがあるので、役の実年齢より年上の俳優を起用するのは十分理解できる。特に小梅役の石川瑠華は1997年生まれの現在24歳、女優としては17歳から活動してきたそうで、この2、3年映画出演が増えてきたタイミングで6月公開の「猿楽町で会いましょう」に続き本作でもヌードになっている潔さは、日本のメジャーな若手女優では希少な存在だ。
青春と呼ぶにはまだ早い、恋愛とか付き合うとかもまだよくわからない14歳の思春期の男女。それぞれの心の隙間を埋めようとするかのように体を求め合うが、孤独や罪悪感は消えず、相手への感情をこじらせてゆく。ことに及ぶまでの経緯は特殊でも、関係を持った男女の心の機微が普遍的なものとして伝わってくる。
原作に負う部分が大きいのだろうが、独特のひねりも映画に奥行きを与えている。海辺の町に台風が来る場面で流れる、のんびりとした「風をあつめて」の対位法的効果。“うみべの女の子”とは小梅のことかと思いきや、磯辺が拾ったSDカードの画像に写っていた女性に付けた呼び名だとか。
小梅の親友役に扮した中田青渚も好演だが、「君が世界のはじまり」「街の上で」に比べて魅力が十分に伝わっていない気がしたのは、台詞が関西弁ではなかったせいもあるか。今まで主人公とちょっといい感じになる女の子の役や親友役が多かったが、そろそろ主演作が撮られてもよい頃合いではなかろうか。
なんか、性交してるだけで、どうしたの中学生、なんて思う。
それより少年が、まるで神木隆之介のクローンなんで、物語がまるでスルー、心をスルー、何これ。
ただ、それだけでした、半分早送りで。
神木隆之介のクローンを観るために、是非。
2021年12月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
映画にも相性があるじゃん?
結構早い段階でこの映画に対して嫌悪感を抱いてしまったのでなんか見ててキツかった。つまらないわけではないんだけど相性が悪い。
2021年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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海辺の街に暮らす小梅は、好意を寄せる三崎先輩に振られ、同級生の磯部と体の関係を持つ。
その後何度も体を重ねるようになった2人。
時に避け合い時に惹かれ合って、好きという感情に翻弄されながら、2人は少しずつ大人へと近づいていく。
浅野いにおの同名マンガが原作。
中学生という大人への転換期に直面する性の問題。
何にも染まれない不安定な年頃を非常に上手く描いていた。
「好き」の気持ちが分からない。その反動で体を重ねるというのは中学生の性事情ではなく、分からないという不安からの妄想とさえ思う。
それが恋だよ、小梅ちゃん。
この映画はキャストについて触れずには語れない。
石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴…etc
2021年を代表するような注目若手俳優大集結。
サマーフィルムと並んで今年期待していた作品だが、それはこのキャストだったからというのが大きい。
実際、実年齢は離れているにも関わらず本当に中学生に見えてしまう。
特に凄かったのが主演のおふたり。
小学生でも通用しそうな石川瑠華さん。
メイクや髪型もあるが、中学生時代と高校生時代をしっかり演じ分けていた。
一方、青木柚さんは、中二病的な幼稚さとふとした時の大人びてどこか達観したような表情の二面性が美しい。
内容が内容であるし、安っぽくも見えてしまう撮り方なので、かなり好みは分かれると思う。
ただ、私は好きだ。
純粋だけど汚くて、丁寧だけどがさつ。
海の匂いと精子の匂いの鬱空間に胸が締め付けられる。
重いテーマではあるものの、桂子の救いのようなノリや小梅の何気ないボケなど、所々フッと気が抜けて少し心地良い。
「佐藤はいつかそれなりの男を好きになって、まるで初めてみたいなセックスするんだ」
この話はきっと“はっぴいえんど”だ。そう信じよう。
↓以下ガッツリネタバレします。
好きなシーン BEST5
①嵐の中の文化祭
小梅が校内放送にリクエストした「風をあつめて」が流れ、小梅が磯部を探す。
「風をあつめて」のゆったりしたメロディと荒々しい台風のギャップが堪らない。
間違いなくこの映画のクライマックスであり、「風をあつめて」のイメージがガラリと変わる瞬間。
②浜辺でメモリーカードを探すラストシーン
小梅が何かを見つけた瞬間の映像表現が美しい。
海が青みを得て視界が開ける解放の時。
故郷であるはずなのに、小梅が「海だー!」と叫ぶ姿になんだか少し安心した。
③磯部に小梅がキスを求めた別れの港
うみべの女の子を見つけ、台風一過のように変わってしまった磯部。
キスの重みが伝わってくる。
そういえば、劇中で情事の際も2人にキスは無かった。
キスをせず、別れた2人。小梅には悪いけどそれで良いんだと内心ガッツポーズ。
④磯部と鹿島の衝突
磯部の挑発スキルの高いこと。
鹿島はあそこまでやられて耐えた方よ。あれで殴らない奴はいない。
その後再会した時には自分に否を認め、桂子とも一緒になった。
よくよく考えたら鹿島ってめちゃくちゃくちゃくちゃ良い奴やん‼︎‼︎
⑤磯部が黒い正義を振りかざすあの行動
国道沿いのビリヤード店。三崎先輩をボッコボコにした例の事件。
やり方は絶対間違っているけど、一連の復讐と制裁がカッコ良すぎて…
終盤、警察に事情を聞かれ、夕焼け空を見上げながら間を置いての「はい」はなんとも男前!
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