同プロジェクトは、クリエイターとサポーターをつなぐ証として、価格変動する“デジタル上のアイテム”トークンを発行。クリエイターはその収益を支援金として受け取る一方で、トークンを保有する購入者は、コミュニティを通じて、保有数に応じた投票権や抽選特典が受け取り、作品づくりに直接参加ができる。企画の肝となる「全プロセスの一気通貫」には、原作づくりに始まり映像制作、コミカライズ、グッズ制作などを、支援するサポーターとともに一元化して実行する際に、どこにも“温度差”を生じさせないという狙いも含まれている。
映画.comでは、プロデューサーを務める森谷雄氏からの「これまでにない新しい形で詳細を発表したい」という思いを受け、3日に同プロジェクトのYouTubeチャンネルで開催されたオンラインイベント「SUPER SAPIENSS NIGHT特別編 -新プロジェクト発表-」で公開インタビューを実施した。
――発表から1カ月半が経過し、トークンが3200万以上集まっていることについて、率直にどう思われますか?
堤:これだけ共犯者になりたいという人がいて、トークンを買って頂いてとても光栄ですし、身が引き締まります。新しいものを皆さんと共に作るんだという思いです。
本広:普通は映らないようなところを皆さんに見せる(プロセスエコノミー)も新鮮ですし、楽しいです。文化祭やっているみたいです。
佐藤:いつも刺激をもらっています。この刺激をどうしたらいいんだろうと思いつつ、突き進むしかないと思っている。
森谷:このプロジェクトに可能性を感じ、これだけの方が集まってくれた事が本当に嬉しいです。
――製作状況について、もう少し詳しくお聞かせください。
堤:第一陣として自分が進めています。ドラマでいう3本くらい、映画でいう2本くらいを今、一気に作っているところ。第1話の脚本を作っているが、決定稿という事ではない。自分は、脚本は現場で変わることが多いが、まずは第一の設計図として皆さんに見て頂こうと。スタッフも含めてつひとの道しるべになるのではないかと。
本広:プロット前の段階で、チームでブレスト中です。堤監督が作られているのを読んで少し変えたりもしています。プロットの作り方も、実験的にやれる事はやろうと思っている。今のところ、高校生の文化祭でバンドの話、音楽ものになる予定です。
佐藤:堤監督の脚本を読みながら、地方都市の孤独というものをテーマにやりたいという気持ちが固まってきている。ロケ地を募集したいくらいです。今月中に第1話の脚本は上がって来る予定。2話、3話もできそう。徐々に形になりつつある。
――撮影時期は、いつごろを想定していらっしゃいますか?
堤:できるだけ早い年内と考えている。予定は色々あるが、こちらを最優先して進めていきたいと考えている。
本広:元々はショクナイ(内職)企画だったので本職の合間にやろうと思っていたのが、大きなプロジェクトになっていて……(苦笑)。隙間で作ろうとは思っている。いきなりスタートすると思う。大きなオーディションはやりたいと思っている。
佐藤:時期の設定は寒い方がいいと考えている。人の温もりが感じることができるようなものと、ひとりの寒さを感じられる時期の方がいいと思っている。堤監督の後にみんなでいい感じでバトンを繋げながら、どんどん内容を提供できるようになりたいと思っている。
堤:3人でうまくループして行きたいとは思っているが、別の形の可能性があっても面白いとは思う。
森谷:3監督の描く世界は、ひとつのユニバースで繋がっているという設定にしている。
――以前、お三方が得意とする刑事もの、サスペンスに転生という要素が加わるという内容は変わらないという解釈で宜しいですか?
堤:人類そのものの大きな負債、負っているもの、という大きなテーマはある。サスペンス、などの要素はもちろんベースにあります。
本広:転生をどうしようか考えているところです。
佐藤:移り変わり、受け渡し、というものを表現したいと思っている。違うアングルでの転生を表現する形になると思って進めている。
この日に発表されたオーディションに関する発表もまた、前例のないものとなった。3月16日までの発行分で2万円以上のトークン購入者は、必要数のトークンを所持している限り3監督それぞれのオーディションに継続して参加することが出来る。これは、共にプロジェクトを盛り上げたいという気持ちを持つ人に参加して欲しいという気持ちが強かったため、大前提として参加条件が設けられた。
――オーディションについて、経験の有無とかは不問ですか?
堤:自分の場合は関係ありません。見た目の面白さ、存在感などで見てみたい。プロダクションに所属しているかどうかも関係ない。せっかく色々な人と会える場になるので、経験を問わず、意外な人と出会いたい。
本広:(バンドものなので)演奏経験がある人がいいのか、見せられたらいいのか、いろんな条件をひっくるめてのオーディションにしたいと考えている。
佐藤:まだ具体的には決めていない。自分の場合は、ロケ地。土地を見せていきたい。田んぼが近くにあってちょっと走るとショッピングモールとか駅がある……、という日本ではよく見かける風景を考えている。FCとか役場とか、ぜひ手をあげてほしい。
――オーディションに期待すること、参加する俳優に求めることを教えてください。
堤:普通だと全体のバランスで見る。過不足ないか、役をつかんでいるかを見ますが、そこから突出した何か強いもの、個性というようなものを臆面もなく開花できる人と出会いたい。
佐藤二朗さん、
窪塚洋介さんのように、思いもよらない演技をする人と出会いたいし、真面目なアプローチの人でもいいと思う。
本広:その役者さんに毎日会いたいか、というのがいつも基準になる。オーラを持った人に出会えるといいなと思う。こういうメタバース的な環境でオーディションをすると、今まで会ったことない人と出会えるかも。ここから出発する人たちが増えるといいなあと思う。
佐藤:新しい人に会って刺激をもらいたいですね。奮ってご応募ください。
――これまでの映画作りと違った要素として期待していることは、どんなことを挙げられますか?
堤:本来の映画の作り方、自主映画の作り方に近い形になるかもしれない。オーダーされて作る作品ではないので、背負っている責任も大きい。そこにワクワクする。バラエティから来た人間なので、学生時代に自主映画や舞台をやった経験はなく、プロがたくさんいる環境で育って来たので、ここで雄叫びをあげたいなと思う。そういう意味でワクワクしている。
本広:自分もバラエティ出身で、映画に憧れながらバラエティを作っていた。佐藤組に入れて、映画監督になれて、若い人たちのために何かやらなきゃと思っているところもある。これまで作った作品の人たちが、スパサピに集まって来てくれたらいいなと思っている。佐藤監督や堤監督の作り方などからも刺激をもらえている。スパサピ映画祭をやりたい。
佐藤:今回のこの作り方はすごく刺激的で、自分が責任を持って進めないと誰も進めない、そういう事にワクワクする。今、やばいなと思っているのが強い。いろんな意味で頑張らないとな……という意味のやばいな、です。早く進めて実ったものを見て、方向修正するなり、違うステージに上がりたいと思っている。
――今後もゲリラ的な発表が続くと思っていていいですか?
堤:そういうプロジェクトだと思っています。
森谷:走りながら考えて、色々なものが出てくるプロジェクトですからね。
本広:そのうち、こういう会議も公開していく予定。今、月9という会議をやっていて、色々話しているところです。
堤:編集作業などで内容が変わるような過程も見せていけたらいいと思う。
佐藤:堤監督が全てを曝け出そうとするので、自分の番にはもう裸でやってなきゃいけないのでは、という恐怖はある。
本広:デイリーラッシュとかやりたい。スパサピの空間でやったりできるんじゃないですかねえ。