【「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」評論】前代未聞の事故。インタビューと再現映像が浮き上がらせる救出者たちの内面
2022年2月13日 16:00

2018年、タイ北部チェンライのタムルアン洞窟で起こった少年たち13人による遭難事故。その全貌を「フリーソロ」のジミー・チン、エリザベス・チャイ・バサルヘリィ夫妻が共同監督した迫真のドキュメンタリー。
地元サッカー・チーム「ワイルド・ボアーズ」のメンバー12人とコーチは、練習の後チームメイトの誕生日を祝うために洞窟に入っていった。(持ち込んだお菓子が結局、彼らの命を救うことになる)季節は雨期の真っ只中、彼らは突然のスコールで冠水した洞窟の深部に閉じ込められてしまう。事件は大々的に報道され、タイ王国海軍の特殊部隊が出動するが、場内の地形は複雑で降雨による浸水も続いており、兵士といえども前例のない潜水には危険が伴う。雨季が明けるのは4カ月先で八方ふさがりの中、洞窟ダイバーのカリスマ、スタントンとボランセンが依頼を受け英国から到着する。この時から18日間にわたる、前代未聞の国際的救出プロジェクトが開始される。
この顛末を描いた作品はもう1本ある。バンコク出身のトム・ウォーラー監督による「THE CAVE サッカー少年救出までの18日間」がそれで、こちらは何人かが本人役で出演するものの完全なフィクション形式のドラマ。緊迫感溢れる現場や家族の様子に加え、軍事政権による弊害や仏教国特有の事情なども描かれる。
その点、本作は前掲のダイバー、スタントンとボランセンにフォーカスしている。「フリーソロ」「MERU メルー」を手がけた監督コンビは、これまではクライマーの孤高な生き様と、彼らに影響される周囲の人々の不条理さも描いてきた。それは登山家でもある夫を持ったバサルヘリィ監督の視点かもしれない。スタントンとボランセンもそれら登山家たち同様、洞窟潜水の魅力に取りつかれ、世間一般からは外れた価値観の人生を送ってきたが、多くのスタッフと協力しながら慣れない指揮を執り、見ず知らずの少年たちを命がけで捜索する体験を通して、2人の内面が変化していく姿が、救出劇以上にドラマティックに描かれる。これは登場人物の超人性が目立つ、監督たちの前2作には感じられなかった要素だ。「なぜ潜るのか」から「何のために潜るのか」へ。その過程は感動的だ。
映像素材は各国メディアが現場を遠巻きに撮影したものしかなかったため、本人たちによる再現フッテージを改めて撮影することになった。もはやドキュメンタリーと言えるかは微妙だが、語られる人間たちの存在は生身の真実だ。そんな虚実皮膜もこの作品の大きな魅力となっている。なお、事故から1年後、感染症で治療を続けていた隊員が死亡し、2人目の犠牲者となった。ここに冥福を祈りたい。
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