赤い服の女は何者? 実在の幽霊団地事件を基にした「N号棟」不気味なビジュアル披露
2022年2月10日 08:00
萩原みのり(「成れの果て」「街の上で」「佐々木、イン、マイマイン」)が主演するホラー映画「N号棟」(後藤庸介監督)の公開日が、4月29日に決定。「これは夢か、幻か、現実か、それとも…」というコピーが添えられたキービジュアルとともに、キャストの山谷花純、倉悠貴、筒井真理子のコメントが発表された。
2000年、岐阜県富加町で起きた「幽霊団地事件」。「夜中に誰もいない部屋から音が聞こえてくる」「ドアが勝手に開閉を繰り返す」「テレビのチャンネルが勝手に変わる」など、数多の怪奇現象が報告されたことで、警察、マスコミ、霊能者までが団地に押し寄せ、大パニックとなった。やがて、住人の生活は「怪奇現象」よりも取材陣や野次馬によって脅かされるように。「建て付けの問題など、欠陥住宅であることが原因だった」として、ある日突然事態は収束するが、その噂を流したのは、他でもない住人たちだった。そんな事件を基にした「N号棟」は、考察型恐怖体験ホラー映画。萩原は、死恐怖症(タナトフォビア)を抱える大学生の史織役に挑む。
元カレが卒業制作に撮影するホラー映画のロケハンに同行した史織。そこはかつて心霊現象で話題になった廃団地だった。そんな廃団地に住む不可思議な住民らは死者の霊魂の存在を信じ、共生していた。興味本位でロケハンに訪れた一行は気味悪がり、早く団地を去ろうとする。しかし、死への恐怖と闘いながらも、その側面を覗くことによって得られる生の刺激に抗えない史織は、同行者を巻き込みながら、廃団地に隠された謎を追っていく。
キービジュアルには、“N号棟”と称される廃団地に、ぼうっと浮かぶ不気味な赤い服を着た女性の影が切り取られている。「この無機質な廃団地ではいったい何が起きているのか?」「おとずれた若者たちにこの先何が起こるのか?」。そんなことを想起させる不可思議な仕上がりとなっている。
キャスト陣のコメントは、以下の通り。
私が演じさせて頂いた真帆は、みのりちゃん演じた史織と真逆な女性でした。何に対しても疑問を抱かず、すんなりと受け入れてしまう。高く着飾っているだけで、本当は凄く幼い心を持っている人なんだろうなって演じながら感じました。生と死の間に誕生した世界がN号棟だと思います。死を肯定するのではなく、閉鎖的な空間の中だからこそ崇められた特殊な死の価値観。観てくださる方々の心にそっと冷たい風が吹いたら良いなと願っております。
撮影をしているはずなのに、皆何かに取り憑かれているような、不思議な体験をしたのを覚えています。人間の不気味さや狂気、集団心理、思想、生と死など、撮影をしながらも自分もよく考えさせられました。この映画はホラーというジャンルに括れないと思います。是非、ご覧いただければと思います。
この映画は後藤監督の死生観が凝縮した、ホラーでありながら「生きることと死ぬこと」への祈りのような作品だと思っています。加奈子が巻き起こす混乱が、死の恐怖を抱える主人公史織の心を揺さぶります。家族の問題を突きつけられた主人公を萩原みのりさんは、その内面のすべてを丸抱えしてリアルに体現していました。撮影現場での萩原さんの追い込まれた姿には現実と虚構の世界が混ざり合い、それを乗り越えようと真に迫りくるものがありました。加奈子が史織を抱きしめるシーンでは、私は萩原さんを心から加奈子として抱き締めていました。それはとても幸せで清々しい瞬間でした。史織を生きる萩原さんの演技をぜひ大きなスクリーンでご覧いただきたいです。
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