【第17回大阪アジアン映画祭】名カメラマン山崎裕の監督作「トルソ」オンライン座のオープニング作品に
2022年1月31日 14:00
第17回大阪アジアン映画祭(3月10日~20日)の開催概要とプログラム概要が、このほど発表された。
「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに掲げる大阪アジアン映画祭。第17回は、例年のスクリーン上映(コンペティション部門、インディ・フォーラム部門、その他特集企画・部門、協賛企画)に加え、過去に大阪アジアン映画祭で上映された作品を中心に“今こそ世界に知られるべき作品”をピックアップしたオンライン上映「大阪アジアン・オンライン座」(3月3日~21日の期間限定)を実施する。
「大阪アジアン・オンライン座」のオープニング作品は「トルソ」(全世界初オンライン上映)。是枝裕和監督作品、多くのテレビドキュメンタリー、記録映画などのカメラマンとして知られる山崎裕が、69歳にして企画・製作・脚本・撮影も務めた劇映画監督デビュー作だ。カメラマン出身監督らしい繊細な映像で、トルソ(顔も手も足もない男性型の人形)をよりどころにして生きるヒロコと奔放なミナの恋や家族との揺れる関係、心の移ろいを詩的に描いている。姉妹を演じたのは、渡辺真起子と安藤サクラ。蒼井そら、井浦新(ARATA)、石橋蓮司、山口美也子が脇を固める。トリノ国際映画祭、香港国際映画祭、JAPAN CUTS(ニューヨーク)でも上映され、高い評価を受けた。
なお、今回の上映に先立ち、山崎監督が、以下のコメントを寄せている。
「第17回大阪アジアン映画祭で『トルソ』が『オンライン座・オープニング作品』に選ばれたと聞き大変驚きました。私はカメラマンとして映画に関わってきていましたが、長編の劇映画の監督をしたのはこの1本だけなのです。『トルソ』は1970年代のなかば、ヨーロッパで女性解放、性解放、ポルノ解禁等の動きが盛んな頃に、思いついた企画です。男と女の関係において、女性の意識の高まりを尊重したい、という思いで考えていましたが、なかなか具体的にはなりませんでした。2000年代に入り日本の女性も大きく変わり、日本を舞台にしても出来るかもしれないと思い始めた頃に、渡辺真起子、安藤サクラ、というふたりの素晴らしい女優に出会い、一気に具体的なイメージが広がって完成出来た作品です。私自身が限りなく、愛し、敬う、女性すべてに捧げる作品です。今回、あらためて多くの方々に見て頂ける機会を頂いたことに大変感謝しています」
関連事業は「ABCテレビ賞受賞作放映/ベトナムのサスペンス映画『姉姉妹妹』を朝日放送テレビ(関西圏のみ)にてテレビ放映」(2月11日深夜2時9分~予定:日本語字幕版)、「大阪アジアン映画祭ポスター展」(大阪市役所市民ロビー:2月28日~3月4日/土日除く、あべのキューズモール:2月28日~3月6日)、「アジア映画ブックフェア」(2月13日~3月27日: MARUZEN & ジュンク堂書店 梅田店5階 芸術書フロア)を行う。また、アジア諸国の映画人と共にアジア映画のさらなる可能性について語るシンポジウム、主に児童を対象に短編映画を撮る映画制作ワークショップなども予定している。
第17回大阪アジアン映画祭は、3月10日~20日に梅田ブルク7、シネ・リーブル梅田、ABCホールほかで開催。鑑賞料金は1300円(「青春22切符(22歳までの方)/当日券500円:全席指定)。「大阪アジアン・オンライン座」は、3月3日~~21日にオンライン上映。長編は1作品1000円、短編は1作品500円。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。