長澤まさみ&瀬戸康史が語る、「全てのキャラクターに愛情を注ぐ」古沢良太脚本の魅力

2022年1月16日 15:00


「コンフィデンスマンJP」ワールドの魅力を語り合った長澤まさみ&瀬戸康史
「コンフィデンスマンJP」ワールドの魅力を語り合った長澤まさみ&瀬戸康史

「ダー子ちゃんみたいな人になりたいって思います」。そう語るのは、1月14日に公開される「コンフィデンスマンJP 英雄編」で、天才的な頭脳を持つコンフィデンスマン(信用詐欺師)・ダー子を演じる長澤まさみ。ダー子を追いつめる“インターポールの狼”と呼ばれる捜査官・マルセル真梨邑役を務めた瀬戸康史とともに、キャストたちが惹きつけられるキャラクターを生み出す、古沢良太氏による脚本の魅力や、「英雄編」の見どころを語り合った。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基

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ダー子、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)という3人のコンフィデンスマンたちが仕掛ける、予測不能な騙し合いを描いたドラマ「コンフィデンスマンJP」(2018)。3人のハイテンションなキャラクターとコミカルな掛け合い、“オサカナ”(ターゲット)に近付くための七変化、古沢氏が手がける緻密なオリジナルストーリーが人気を呼び、熱狂的なファンを生んだ。

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2019年に公開された初の劇場版「ロマンス編」、20年の第2弾「プリンセス編」に続くファン待望の劇場版第3弾では、コンフィデンスマンたちがヨーロッパに進出。地中海に浮かぶマルタ島の首都バレッタを舞台に、シリーズを通して協力関係にあったダー子、ボクちゃん、リチャードが、当代随一の腕を持つコンフィデンスマンによって密かに受け継がれる“ツチノコ”の称号をかけ、真剣勝負を繰り広げる。さらに、これまでの「コンフィデンスマン VS オサカナ」という対立構造に、インターポールを率いるマルセル真梨邑、警視庁捜査二課の無骨な刑事・丹波(松重豊)ら“追っ手”も加わり、変幻自在な「コンフィデンスマン」ワールドは、ますます広がりを見せている。

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――瀬戸さんは、本作で「コンフィデンスマンJP」シリーズに初参戦となりました。もともと抱いていたイメージや、出演が決まったときの思いを教えてください。

瀬戸「ドラマも劇場版も見ていましたし、面白いことをやっている作品には、やっぱり出たいんです。『呼ばれたら嬉しいな』と思っていましたが、本当に出演が決まって、『出られるんだ』と興奮しました。キャストの皆さんのファミリー感が良いので、参加できて嬉しかったです。僕の周りにもファンが多いので、すごく羨ましがられました」

長澤「ファミリー、どんどん増えている気がする(笑)」

瀬戸「物語もつながっていきますもんね。例えば、最初の『ロマンス編』でモナコが仲間になって、『プリンセス編』でコックリが仲間になって、そのあとの物語にも登場して、仲間としていろんな仕事をするじゃないですか。ヒーローもののような雰囲気もあって、とっても好きです」

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――長澤さんは、ドラマが放送された18年からダー子を演じられています。改めて、ダー子というキャラクターの魅力は何でしょうか。

長澤「やっぱり底抜けに明るいところが、この役の魅力かなと思いますね。暗さが1ミリもなく、闇を抱えていないところが、すごいところだなと思います」

――ドラマが生まれそうな背景や過去が描かれない、不思議なキャラクターですよね。

長澤「映画に詳しい友だちが、『女性主人公だと、どうしても暗い過去があって、それを乗り越えて、いまがある……みたいな描かれ方をされがちだけど、そうじゃない、すかっと明るいこういうキャラクターができたことは、すごく画期的なんだ』と言っていて。確かになるほどと思いましたし、女性の描き方や価値観が時代とともに変わってきていることが、大きく影響しているのかなと思います」

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――劇場版を追うにつれて、人間臭いところや、愛情深いところが見えてきました。長年演じられて、役への愛着や思い入れは増してきていますか。

長澤「ダー子ちゃんみたいな人になりたいって思います。『駄々っ子ダー子』というところから名前が来ているそうなんですが、駄々っ子もときには良いことがあるんじゃないかなと思います。周りの人を巻き込んで、手を借りて、結局皆も(無理やり)やらされていると思いながらも、それぞれ自分の意思で動き始めている。協力し合って、持ちつ持たれつで、お互いを信じて道を歩んでいく。ダー子は周りを奮起させるのがうまくて、皆を良い方向に導いてくれるんです。自分自身にはそういう部分はないので、『すごいなあ、ダー子は』と、いつも羨ましく思っています」

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――瀬戸さんは、コンフィデンスマンたちを追いつめる、オッドアイのエリート捜査官役。演じるうえで意識したことはありますか。

瀬戸「マルセル真梨邑は謎めいた役なんです。『コンフィデンスマンJP』の世界では、何が本当か分からないから、逆に全部本当にしたいなと思って。そのときそのときで、いろんな姿を見せられればいいなと思いました。語学的にも大変な部分がたくさんありましたが、撮影は本当に楽しかったです」

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――マルセル真梨邑の、いちばんの見せ場を教えてください。

長澤「真梨邑さんは、見せ場しかないもんね(笑)。いろんな国の言葉を話していますよね」

瀬戸「フランス語、スペイン語、英語ですかね。フランス語は絶対できないと思いました」

長澤「すごかったです、フランス語」

瀬戸「ありがとうございます(笑)。あとスペイン語は、城田さんがセリフの練習に付き合ってくれました。あとは見せ場というと、赤星(“日本のゴッドファーザー”と呼ばれるダー子たちの宿敵/江口洋介)の髪の毛をつかんで、料理に顔を叩きつけるシーン。いろんな意味で緊張しました」

長澤「私も台本を読んだときに、『これは大変そうだな』と思いました。先輩に思いっきりは行きづらいですよね」

瀬戸「しかも江口さんとは初共演だったんです。江口さんからは『思いっきりでいいから』って言われたんですけど……」

長澤「逆に怖いよね」

ふたり:爆笑

瀬戸「でも中途半端はダメだと思ったので、思いっきりやりました。そういう非情な部分にも注目してほしいですね」

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――本シリーズの大きな魅力としては、やはりダー子、ボクちゃん、リチャード3人の絶妙な空気感が挙げられます。東出さん、小日向さんとのチームワークは、いかがでしたか。

長澤「本当に相変わらずゆるいというか(笑)。今回から参加されている方々は、『こんなにゆるくて大丈夫?』って、心配したと思うんです(笑)」

瀬戸「出来上がっているチームに入るときは、不安や緊張があるじゃないですか。でもそういう雰囲気だから、すっと入れた感じがします」

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長澤「あとは、3人とも納得しないと進めないタイプですね。小日向さんもときどき、納得できなかったり、違うなと思ったりしたときは、意見を出して導いてくれますし。私自身も、割とカメラワークで動きが決められがちなので、『こういう流れがあるといいんじゃないか』など、田中(亮)監督に話したりしますね。本当に若い頃からお世話になっている監督なので、一緒に話し合いながら、撮影しています。セリフの間やトーンはその場で生まれるものだと思うので、結局はグルーブですね。打ち合わせはしないですが、役の動機をつなげたいという思いは伝えます。作品ごとの撮影期間が空いても、小日向さんがいると、すぐにそういう(和やかな)空気になるんですよね。小日向さんに引っ張ってもらっていますが、一方で純粋な方なので、皆の弟みたいな存在でもあるんです。小日向さん自身もそうおっしゃっていますから。私のこと、お姉ちゃんだと思っているので(笑)」

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――瀬戸さんは、同じくコンフィデンスマンを追う刑事・丹波役の松重さんとの共演シーンが多かったですね。

長澤「松重さん、瀬戸さんのことを本当にかわいがっていらっしゃいますよね」

瀬戸「僕も松重さんも福岡出身で、同郷なんですよ。松重さんの方が福岡のなかの都会に住んでいたから、会うたびに『田舎者』ってバカにされる(笑)。松重さんがそういういじりをしてくれて、距離を縮めて下さって、先輩の優しさが伝わりました。けれど、芝居では丹波を雑に扱わなきゃいけなかったから……」

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――今回も誰が敵で誰が味方か、全く予想のつかないストーリーに仕上がっています。古沢さんの脚本の魅力を、教えてください。

長澤「嘘をついているようで嘘がない、すごく誠実さのある台本だと思います」

――以前、インタビューで長澤さんが、古沢さんの脚本は感情やセリフに無理がないから、自然に演じられるとおっしゃっていました。

長澤「それぞれのキャラクターの成り立ちがしっかりしていますよね。そういう骨組みが言葉で表されています。話す言葉がそのキャラクターの芯にそぐわなかったりすると、言っていて変だなと思ったりするじゃないですか。そういう瞬間がないのは、各キャラクターに、同じように愛情が注がれていて、物語がちゃんと誠実に進んでいるからだと思います。そういう部分が、古沢さんが愛される理由なのかなぁと思いますね」

瀬戸「古沢さんとは『ミックス。』でもご一緒しました。自分が出ていなくても、古沢さんの作品を見ると、小さな役でもキャラクターを覚えているんです。監督の演出の仕方にもよると思いますが、古沢さんが、キャラクターそれぞれに対する愛情を持って書いていることが、見ていて伝わります。『この人、また出てきてくれたんだ』『この人ね、覚えてる覚えてる』ということが、けっこうありますね」

長澤「敵キャラもかわいいんですよね(笑)」

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――では最後に長澤さんにとって本シリーズや、ダー子というキャラクターは、ご自身のキャリアのなかでどのような存在になりましたか。

長澤「ダー子はやっぱり、私に元気を与えてくれますね。でも、演じると疲れるんですよ(笑)。明るいぶん、エネルギーを消耗しますから。でも、やりがいはすごくあって、『こうすれば良かったなあ』という反省点はいくらでも出てきます。ダー子は、私にはない人を元気にするというパワーを持っているんです。だからダー子になるだけで人を笑顔にできるのは、ありがたいなと思います」

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