松山ケンイチ、約15年ぶりに本格共演した藤原竜也は「絶対に追いつけない、とんでもない先輩」
2021年11月28日 16:16
藤原竜也と松山ケンイチがダブル主演を務めた映画「ノイズ」のスペシャルトークイベントが11月28日、東京・渋谷スクランブルホールで開催された。大ヒット作「デスノート」シリーズで映画史に残るライバルを演じ、本作では殺人を隠ぺいし、共犯関係にある幼なじみに扮した藤原と松山が、ネタバレに細心の注意を払う厳戒態勢で、撮影を振り返った。
物語の舞台は、絶海にぽつりと浮かぶ猪狩島。過疎化に苦しんでいたが、泉圭太(藤原)が生産する“黒イチジク”が高く評価され、地方創生推進特別交付金5億円の支給がほぼ決まり、島民たちには希望の兆しが見えていた。そんな島にある日、サイコキラーの小御坂睦雄(渡辺大知)がやってくる。そうとは知らない圭太と幼なじみの猟師・田辺純(松山)、新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)は、小御坂の不審な言動を警戒するが、圭太の娘の失踪を機に誤って小御坂を殺してしまう。やがて島と家族の未来を守るため、3人は殺人を隠すことを決意する。
本作は、“ネタバレ厳禁”のサスペンススリラー。藤原は、イベント冒頭で「なかなか話せないことも多いんですけれども、今日は松ケンの発言をしっかりとサポートしつつ、(ネタバレを)食い止めつつ、最後まで頑張りたいと思います」といい、気合十分な様子。松山は「僕が話すのはここまでにして(笑)、ただニコニコしていようかなと思っています」と笑い交じりに挨拶した。
約15年ぶりの本格共演を果たした藤原&松山。藤原は「15年ですか」と天を仰ぎながら、「僕としては廣木監督とこの座組が初めてで、松ケンとも久々の共演。イチジク農園のイチジクを出荷するために、自分の軽トラに積んで、畑をあとにするというシーンが最初の撮影でした。僕がクランクインを迎えて、『緊張するね』と言ったら、松ケンは『ホームに帰ってきた感じですよ』と言ったんですね。それを聞いて、ある種の頼もしさというか、『ホームに帰ってきた感じで堂々とやっているんだ』という嬉しさも感じましたし。自分もそこから『しっかり頑張らなきゃな』と思わせてくれるような、良い年の取り方をしていますね。おこがましい言い方になってしまいますが、いろんな経験を積んで、うまい役者さんになったんだなと感じました」と、しみじみと振り返る。
対する松山は、「まずイチジクはネタバレですよね?」「イチジクをトラックで運んだというのはネタバレ? ここまでは大丈夫?」とジョークを飛ばす。藤原は焦った様子で、「イチジクは大体トラックで運ぶでしょ」と返し、息ぴったりなやりとりで笑いを誘った。そして改めて、松山は藤原との再共演の感想を語った。
松山「『デスノート』のときに初めて共演させて頂いて、俳優として右も左もわからない状態だったんですが、それでも竜也さんの演技の迫力には圧倒されましたし、『本当にすごい俳優だ』と思っていて。15年振りに一緒にやらせて頂いて、少しだけ『自分がどういう演技をすれば良いのか』が分かってきて、改めて竜也さんと対峙して、さらにすごさがわかったというか、圧倒されっ放しなんですよね。絶対に追いつけないところにいらっしゃる、とんでもない先輩だと改めて思いました」
この日はイベントの模様が、“3D猫”で話題の新宿東口・クロス新宿ビジョンで生配信された。途中からは、Twitterで寄せられた質問が書かれたカードを引きながらトークが進んだ。「お互いに『すごい』と思うところは?」という質問に、藤原は「見たまんまじゃないですか。普通にやってのける、成立させる説得力かなあと思いますけどね。今回は僕の方が『緊張するよな』と、顔や態度に出てしまったんだけど、松ケンは一切そういうことがないところがすごいなと思いますよ」と賛辞をおくる。一方の松山は、「僕がすごいなあと思うところは、老けないですよね、竜也さん。全然変わらないですもんね」と返す。「俺、髪の毛真っ白になってきたよ。染めてないけど。え、染めてるの?」(藤原)、「俺は染めてないです」(松山)、「じゃあなんだよそれ(笑)。いや、どんな会話だよ!」(藤原)と、顔を見合わせて大笑いしていた。
さらに、撮影時の印象的なエピソードを問われ、松山は「初めて見たんですが、スタッフ全員が(撮影前の)段取りのときに笑っているという。けっこう緊迫したシーンだったんですけどね、びっくりしましたね」と明かす。藤原も、「余貴美子さんと柄本明さんのシーンがあって。廣木組で何十年もやっているスタッフが『映画史に残るシーンだ』と、爆笑しながら言ってましたね」と、意味深に補足していた。
最後に、配信の中継が終了する直前、藤原が「あと1分で、松ケンがとっておきのネタバレをします!」とむちゃぶり。松山はほほ笑みながら、「神木くんがですね……」と語り出すと、藤原が「やめてくれ!」と叫び、最後まで和気あいあいとした雰囲気で、イベントは幕を閉じた。
「ノイズ」は、2022年1月28日に全国公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。