【パリ発コラム】ジャン=ポール・ゴルチエがキュレーション、シネマテークの衣装展が開催
2021年11月7日 13:00

映画のコスチュームとは、キャラクターを表現する大事な要素であるにもかかわらず、映画を語るときにしばしば忘れられがちだ。しかし優れた監督になればなるほど、見えないディテールにまで細かく気を配っている。実際映画の衣装がファッション・デザイナーにインスピレーションを与えることも少なくない。
これまでマドンナの衣装をはじめ、「コックと泥棒、その妻と愛人」や「フィフス・エレメント」、ペドロ・アルモドバルの作品群などで、映画の衣装も手掛けたジャン=ポール・ゴルチエに至っては、映画を観てデザイナーになることを決意したとか。

そんなゴルチエがフランスのシネマテーク(国立映画博物館)と組んでキュレーターを務めた、「CINEMODE(シネモード)」と題された展覧会が開催され、話題を呼んでいる。もともとゴルチエと親しかったトニー・マーシャル監督の誘いで、数年前から企画されていたものの、残念ながらマーシャルが昨年他界。コロナのロックダウンの影響も重なり、ようやく今年10月に開催の運びとなった。
ゴルチエは全体をテーマ別に5つに分け、映画にオマージュを捧げた自身のコレクションも混ぜながら、映画を観たときの興奮や感動が伝わるような楽しい展示を手掛けた。最初の展示室は、13歳のゴルチエが将来を決めるきっかけとなったジャック・ベッケルの1945年の作品、「偽れる装い」(Falbalas)に捧げられている。マーシャル監督の実の母であるミシュリヌ・プレールが、レモン・ルロー扮する女たらしのデザイナーに振り回されるヒロインを演じた。ゴルチエによれば、「このデザイナーは女性蔑視の鼻持ちならない男だが、アトリエの描写やショーの様子など、ファッション界の雰囲気をとてもよく表現していて虜になった」とか。

2つ目の展示室では、スーパーマンやマリリン・モンローからブリジット・バルドー、グレース・ジョーンズのボンドガール、「氷の微笑」のシャロン・ストーンなど、映画史に印象的なアイコンを取り上げ、男性らしさ、女性らしさといった時代感を振り返る。「とくにモンローとバルドーを比較すると、モンローが男性にとってのセクシュアリティの対象であるのに引き換え、バルドーは自由に溢れたタブーを打ち破る存在として魅了される」とゴルチエは語る。
3つ目は性の越境や概念の転換をテーマに、「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」や「オルランド」「ロッキー・ホラー・ショー」といった作品を取り上げ、第4のメタル特集では、パコ・ラバンヌによる「バーバレラ」の衣装や、「ポリーマグー お前は誰だ?」のクレージュの衣装のほか、「欲望」や「時計じかけのオレンジ」など、時代をリードした作品も振り返る。最後の展示室はファッション・ショーと題し、自身のコレクションや、ユベール・ド・ジバンシーらの作品とともに、ファッションをテーマにしたポスターなどが飾られている。

「映画もファッションも時代を反映するという点で共通する」と言うゴルチエだけに、たんに衣装を見せるだけではなく、主題やファッション・アイコンを通して、さまざまなことを観る者に示唆する興味深いものだ。
また本展開催とともに、ゴルチエが選んだ作品の特集上映やトークセッションも行われた。トークでは「頭のなかに明確なイメージがあり、とても注文が詳細だった」と語るアルモドバルとの仕事や、マドンナのエピソードを回想。
「1991年のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットでマドンナが着る衣装をデザインして、彼女にはとても確固としたファッション・センスがあり、自分がどんなものを着たいか、どんなメークにしたいかなどがはっきりしていると感じた。早くからタブーと闘ってきたスターであり、今も闘い続けているところが素晴らしい」と語った。
展覧会は2022年1月16日までパリ国立映画博物館(https://www.cinematheque.fr/)で開催中。(佐藤久理子)
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