ファッションも真似したい! 南仏を舞台にしたバカンス映画

2021年7月14日 10:00


ファッションも素敵なバカンス映画4作を紹介
ファッションも素敵なバカンス映画4作を紹介

コロナウイルスの影響で昨年は中止となったカンヌ国際映画祭が、今年は7月6日に開幕し、同17日まで開催されています。カンヌ市のある南フランスの地中海沿岸は温暖で風光明媚なリゾート地で、カンヌのほかにもニース、トゥーロン、イエールなど魅力的な土地がいっぱい。

今回、青い空と海、眩しい太陽、そしてひと夏の恋を描いた、南仏が舞台のバカンス映画4作をご紹介。おしゃれなコーディネートと色使いを真似したくなるような、各作品のヒロインのファッションにも注目です!


■「悲しみよこんにちは」(1957) オットー・プレミンジャー監督

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フランソワーズ・サガンが18歳で執筆した同名小説を、アメリカ人女優のジーン・セバーグ主演で映画化。原作の舞台である南仏リビエラ海岸とパリで撮影されました。

17歳のセシルは、ハンサムな父、父のガールフレンドのひとりであるエルザと3人で別荘での休日を楽しみ、自身も地元の青年と淡い恋に落ちる。そんな休暇の半ばにセシルの母の友人のアンヌが登場。父は才色兼備なアンヌに惹かれ、再婚を決めてしまう。セシルは嫉妬に苛まれ、振られたエルザと共謀し、父の再婚計画を潰そうとする物語。

セシルが、とある事件が起きてしまった南仏での夏休みを回想するという構成になっており、バカンス中の出来事は目も覚めるような鮮やかなカラー、現在のパリは色を失ったモノクロで表現。南仏の陽光の中、セバーグがはつらつとしながらも複雑な内面を持つハイティーンを魅力的に演じます。多くの映画作品を手掛けたデザイナー、ソール・バスによるオープニングロールも必見です。

<ファッション>
 セバーグのベリーショートのヘアスタイルが「セシルカット」として、当時の流行となったそう。ジバンシーが衣装協力していることもあり、パーティシーンでのドレスはため息の出るような美しさです。ボーイッシュなセバーグが着ることによって、ドレスの優雅さが引き立ちます。

真っ赤な水着にダンガリーシャツを合わせたりとラフなスタイルもおしゃれなセシル、エルザの飾らないサマードレス、アンヌの洗練された着こなしなど、それぞれのスタイルをお手本にしたくなるようなファッション映画です。


■「気狂いピエロ」(1965) ジャン=リュック・ゴダール監督

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ヌーベルバーグの金字塔的作品として知られる一作。「ピエロ」と呼ばれるフェルディナンは、退屈な結婚生活から抜け出したいという衝動に駆られ、偶然再会した昔の恋人マリアンヌと一夜を過ごす。翌朝、見知らぬ男の死体を見つけた2人は逃避行を始めるが、やがてマリアンヌはフェルディナンに嫌気がさし、ギャングと通じてフェルディナンを裏切る。

映画史に残るラストシーン、文学、音楽、絵画、時事問題からの様々な引用と、赤、青、黄を印象深く用いた色彩設計、ゴダールの自由な映像表現、そして、主演のジャン=ポール・ベルモンドアンナ・カリーナの美しさ……どのシーンを切り取っても詩的な魅力、遊び心にあふれた若々しいゴダールの初期代表作。窃盗を繰り返しオープンカーであてどもない旅を続けるふたりと破滅的な最後まで、時を超えてバカンス&アバンチュール気分を楽しめる永遠の傑作です。

<ファッション>
 ココ・シャネルが名付け親で、もともとはモデルだったアンナ・カリーナ。白Tシャツ、スリムなジーンズに黒いフラットなバレエシューズとシンプルなアイテムも劇中でフェルディナンが「君の胸や脚は感動的」と歌うように、その見事なスタイルで着こなします。帽子やカーディガンなど小物使いのセンスも抜群。白いパイピングがキュートな真っ赤なワンピースは、かつてアニエスベーが復刻して販売されたことも。


■「コレクションする女」(1967) エリック・ロメール監督

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「六つの教訓話」シリーズの第4作。画廊のオープンを控えた男アドリアンは恋人からの誘いを断り、骨董収集家との商談のため南仏サン・トロペを訪れる。友人の別荘に滞在することになったアドリアンは、そこで自由奔放な美少女アイデと出会う。アドリアンは次から次へと男を乗り換えるアイデを批判しながらも、その一方で彼女に惹かれてしまう。

ロメール監督自身が、本人役で出演しているアイデ・ポリトフの強烈な個性に着想を得て撮りあげた作品とあって、どんな男性も虜にしてしまうアイデのコケティッシュな魅力に目が離せません。直接的な性描写のシーンはありませんが、自然豊かなビーチで遊ぶビキニ姿のアイデのしなやかな肢体を、まるで欲望を持った眼差しのように撮りあげるカメラワークがとても官能的。インテリの理性をもってしても抗えないアイデの健康的なエロスと、一方でアイデとの距離が縮まっても素直になれないアドリアンの男心の拮抗を楽しむ作品。

<ファッション>
 鮮やかなグリーンのトップス、黄色の小花模様やオレンジシャーベット色のビキニ、真っ白なパンツなど、ラフな普段着でありながらも、アイデの日焼けした肌と栗色の柔らかなショートヘアに似合うカラーのアイテムに注目です。


■「マジック・イン・ムーンライト」(2014) ウッディ・アレン監督

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ウッディ・アレン監督がコリン・ファースエマ・ストーンをメインキャストに1920年代の南仏リゾート地を舞台に描いたラブコメディ。

皮肉屋で悲観的な天才マジシャンのスタンリーはある時、幼なじみから、ある大富豪が入れあげている霊能力者ソフィの真偽を見抜いてほしいと依頼される。非科学的なことを信じないスタンリーは、ペテンを見抜いてやろうと自信満々だったが、ソフィの透視能力に驚かされ、容姿も性格にも惹かれていく。

物語の時代や場所や登場人物が変わっても、いつものアレン節が全開のラブコメです。車が故障し、通り雨に遭ったふたりが、天文台で雨宿りするシーンはなんともロマンティック。エマ・ストーンはその後、ベネチア映画祭最優秀女優賞や、アカデミー主演女優賞を「ラ・ラ・ランド」(17)で受賞しましたが、こちらでも天文台でのシーンが印象的でした。もしかしたらこの映画が元ネタのひとつなのかもしれません。南仏の海沿いをドライブするクラシックカー、夕暮れのマジックアワーとバカンス気分たっぷりの風景も楽しめます。

<ファッション>
 第1次大戦後の「レザネフォル」(狂乱の時代)と呼ばれ、豊かな芸術文化が花開いた20年代が舞台ということから、ソフィが着こなす繊細なレースやビーズをたっぷりとあしらった、ビンテージ感たっぷりのワンピースに注目です。パーティシーンのドレスは毒舌家のスタンリーにも「言葉を失った」とセリフで言わせるほど。また、赤いセーラ襟のトップス、同色のスカートにベレー帽といったマリンルックもエマ・ストーンのキュートさを一層引き立てています。

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