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シャロン・ストーンがキャリア、映画界の女性蔑視を語る 現在はエージェントなしでハリウッドをサバイブ

2021年10月1日 19:00

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ゴールデン・アイコン・アワードを授与された
ゴールデン・アイコン・アワードを授与された
(C)Tim Hughes ZFF

スイスのチューリッヒで開催された第17回チューリッヒ映画祭で、シャロン・ストーンがそのキャリアに与えられるゴールデン・アイコン・アワードを授与された。ストーンは現地を訪れ、授賞式に参加するとともに一般観客向けのトークとプレス会見を開催した。

受賞式に艶やかなゴールドのドレスで登場した彼女は、「こんな賞を頂けるなんて本当に有り難いことで、生涯の思い出です。とても謙虚な気持ちにさせられます」と、見るからに感激した様子で言葉を詰まらせながら語った。また記念上映に自ら選んだマーティン・スコセッシの「カジノ」(1995)について、「少なくとも15年以上は観ていないので、今晩あらためて観直すことが楽しみでもあり、ドキドキしています」と興奮を露にした。

画像2(C)Luiz Freire ZFF

ストーンといえば、映画ファンにはもちろん「氷の微笑」(1992)や「カジノ」(1995)が彷彿されるはず。だが今の若者には、カンヌのレッドカーペットやチャリティ・イベントで見かけるセレブ、という印象が強いかもしれない。たしかに2000年以降、彼女の主演作はなかった。というのも、2001年に生存率5パーセントと言われる脳動脈瘤に倒れ、回復するまでに何年も時間を擁したからだ。しかも当時の夫とはすでに冷えた仲で、彼女は両親に面倒を見てもらったという。

今年3月に出した自伝「The Beauty of living Twice」でもこのことに触れているが、チューリッヒではこれまでのキャリアを振り返りながら、大病の経験やハリウッドの女性蔑視などに触れ、その誠実なトークで観客を魅了した。

「現在は3人の息子たちを持ってすっかり家事に明け暮れているので、昨日『カジノ』を観て、わたしは映画スターだったんだ、と思い出しました(笑)」と、翌日のトークで切り出したストーン。「この仕事を始めたとき、目標は何?と訊かれて、ロバート・デ・ニーロと共演することです、と答えたんです。それがまさか実現するとは思ってもいませんでした。スコセッシのような監督と、デ・ニーロ、ジョー・ペシジェームズ・ウッズら素晴らしいキャストとともにこの映画の一員になれたことは本当に光栄でした。じつは撮影中、デ・ニーロに褒められたことがあって、わたしは天にも昇る気持ちになりました(笑)。彼らとはいまも友情が続いています。アーノルド(・シュワルツェネッガー)はとても知的でプロフェッショナルな人。彼ほど用意を周到にする人を知りませんし、多くを学びました」

さらに1992年、「氷の微笑」がカンヌのオープニングを飾った思い出に触れ、「文字通り上映が終わるや否や大フィーバーとなり、ホテルに戻るのも大変でした。そして翌朝、ホテルのプールから部屋に戻ったら、部屋のなかが空っぽ。下着も歯ブラシもすべて盗まれて、ここは危険すぎるとホテルを移ることになりました」

小さい頃から映画スターになることに憧れていたというストーンは、実際入ってみたら、250人のスタッフのなかで女性は自分ひとり、という状況に驚いたという。またこれまでも自身の#MeToo体験を語ってきた彼女は、「『氷の微笑』で男女不平等のギャランティに気づきましたが、こういうものだ、受け入れるしかないと言われた。でもわたしは闘いました。フェミニストの父からは、やりたくないものはやるな、待っていれば道は開ける、と言われ、母からは、人に頼らず自分の足で立ちなさい、と言われて育った。プロデュースを兼ねた『クイック&デッド』(1995)では『スパイダーマン』以前のサム・ライミに監督をしてもらうことと、望むキャスティングを実現させるためにスタジオと闘いました」

画像3(C)Kuriko Sato

さらに現在エージェントに入っていないというストーンは、ハリウッドのエージェントに対する辛辣な批判を展開。「彼らは人々を天秤にかける。わたしはエージェントがいない今の方が、よほど仕事が来るようになりました」と語った。

現在は「仕事は好きだが、仕事がなくても焦らない。自分にはチャリティや病気のリサーチ、子育てなど、やることが沢山あります。人生はタフです。わたしはキャリアの面では本当に恵まれていたと思いますし、人にアドバイスをする立場ではない。でも生きて行くためにはサバイブの感覚が必要とされます。そして人生がタフな分、わたしたちはお互いに理解し合い、慈しみの心を持ち、必要なときにそこに居ることが大事だと思うのです。それは宗教や人種、どんな違いも越えてわたしたちが持つべきものです」と語ると、会場に大きな拍手が響いた。

ハリウッドをサバイブし続け、いまも変わらぬオーラを讃える彼女の秘訣を、垣間みせられた気がした。(佐藤久理子)

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