【「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」評論】ガン監督のテイストを全載せし、万人納得のスースクが爆誕!!
2021年8月7日 21:00

「スーサイド・スクワッド」といえば、スーパーマンやバットマンと敵対するヴィランが集い、デンジャラスなミッションへと駆り出されるDCコミックスの異色編。2016年にデヴィッド・エアー監督によって実写映画化されたが、製作内部の不調整によって出来にムラが生じ、評価も一定ではなかった。
そんなスースクが監督・脚本にジェームズ・ガンを据え、このたび再度の映画化を果たした。正続「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(以下「GotG」)でマーベルコミックスの外れ者チーム映画を成功させたガンが、ライバル社の悪人チーム映画を撮るという、再生請負人のごとき才能の流動。だが自身の演出様式やタッチをDCに適応させた、前作の不満を解消するスースクに仕上げてくれた。
反米主義に凝り固まった独裁者の暗躍を断つため、連中が支配する島に送り込まれた、スースクことタスクフォースXの面々たち。ところが上陸戦で戦力を盛大に失い、フラッグ大佐(ジョエル・キナマン)は消息を絶ったハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)の救出と併せ、ブラッドスポート(イドリス・エルバ)やピースメイカー(ジョン・シナ)ら、ソリの合わない残存メンバーで任務を続行する。その過程で島で秘密裏におこなわれていた謎の実験の全貌が明らかになり、フェーズは地球規模の危機へと移行していく。
ガン監督はこうした内容を絶妙な選曲センスを推進力とし、胃液が逆流しそうな残酷描写でアクセントをつけながら、囚人部隊が重要軍事作戦に挑む「特攻大作戦」(67)ばりの型破り戦争ムービーを我流展開していく。悪党が転じて義賊的な役割を担うところ、ハミ出し者が救世主となる「GotG」の精神を踏まえ、また特殊能力の有無にかかわらず、手に余るような事態に突進する向こう見ずな勇猛さは、インディで撮りあげた自警ヒーロー作品「スーパー!」(10)さえも反復。映画はジェームズ・ガン全部載せの様相を呈していく。極め付けともいえる巨大クリーチャーの登場に至っては、原典があるも完全に氏の怪物コメディ「スリザー」(06)のテイストだ。
なにより監督の、弱き者に対する慈愛のまなざしが映画の末端にまで注がれ、胃液と同時にこみあげる激情を抑えるのに苦労する。過去発言の言質を問われ、コールアウト・カルチャーの波に呑まれたガンのこと、省察からトロマ譲りの下品な感性とバッドテイストを封じているのかと思いきや、そこは隠すどころかフルボリュームだ。結果としてそれが、DC映画の創造性に多大な影響を与えたのだから、何が功を奏すか分からないものである。
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