「サマーウォーズ」から「竜とそばかすの姫」へ…細田守監督による2作品の共通点を解説
2021年7月15日 06:00
細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」が、7月16日に公開される。さらに同日、日本テレビ系「金曜ロードショー」では、同じく細田監督の「サマーウォーズ」を放送。細田監督が「今回の作品(『竜とそばかすの姫』)は、いろんな過去作品の連続性上にある」と語っている通り、本記事では、特につながりの深い2作品の共通点を紹介する。
「サマーウォーズ」の軸となるのは、仮想世界“OZ”で保守のアルバイトをしていた高校生・健二。ある日、憧れの先輩・夏希から、彼女の田舎まで一緒に旅行をするというバイトに誘われる。その内容は、曾祖母の栄ばあちゃんら個性豊かな大家族の前で、夏希のフィアンセを演じるというものだった。その夜、健二の携帯に謎の数字が連なったメールが届く。数学が得意な健二は解読に夢中になるが、翌朝、健二を騙る何者かが“OZ”を混乱に陥れるという大事件が発生。「私たち一家でカタをつけるよ!」という栄の号令のもと、健二と夏希、そして親戚の面々は、一致団結して世界の危機に立ち向かう。
一方の「竜とそばかすの姫」の主人公は、自然豊かな高知の村で父と暮らす17歳の女子高生・すず。幼い頃に母を事故で亡くしたことで、大好きだった歌を歌えなくなっていた。ある日、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界“U”に、“ベル”という名前で参加することに。心に秘めてきた歌を歌い、瞬く間に世界の人気者になっていくベルの前に、竜の姿をした謎の存在が現れる。
「サマーウォーズ」では“OZ”、「竜とそばかすの姫」では“U”という仮想世界が舞台となっていることが、2作品の最大の共通点。「サマーウォーズ」は、インターネットがいまほど身近な存在ではなかった2009年に公開され、劇中で描かれたネット上の様々な問題は、いまや現実のものとなりつつある。それから12年を経て、「竜とそばかすの姫」ではどのような仮想世界が広がっているのか、期待が高まる。
“OZ”にはクジラの姿をした守り主であるジョンとヨーコが登場。また「竜とそばかすの姫」の予告編で、“U”にもクジラが現れることが示唆されている。クジラは、「バケモノの子」でも重要なシーンで登場するなど、細田監督作品おなじみのモチーフだ。
「竜とそばかすの姫」のすずは高校生で、細田監督作品で高校生が主人公となるのは「サマーウォーズ」の健二以来となる(※「バケモノの子」の九太は、高校に通っていないため)。ともに高校生ならではの悩みを抱えた主人公が、仮想世界に接することで、物語が動き出す。
“OZ”の参加者が“アバター”として描かれたように、“U”の参加者は“As”と呼ばれている。それぞれ健二を騙る正体不明の“アバター”偽ケンジ、横暴に振る舞う“As”竜が現れ、その正体を探るというストーリーが展開する。
「サマーウォーズ」では夏希の親戚の大家族の絆が、物語のカギを握る。そして「竜とそばかすの姫」でも、新たな家族の姿が描かれる。この2作品に限らず、「家族」は、細田監督作品を貫く大きなテーマとなっている。
「竜とそばかすの姫」に登場する人気YouTuberのぐっとこらえ丸とひとかわむい太郎。声優の宮野真守が2役を演じることでも話題となっている。このキャラクターは、「サマーウォーズのキングカズマと仮ケンジをデザインした岡崎能士と岡崎みなが、新たに作り上げたもの。さらに「竜とそばかすの姫」の“As”として、サマーウォーズの“アバター”が登場していることも明らかになった。
「竜とそばかすの姫」は、7月16日に全国の東宝系で公開される。「サマーウォーズ」は同日の午後9時~10時54分、「金曜ロードショー」で放送。なお放送のなかで、「竜とそばかすの姫」の“U”の世界に誘う映像がテレビ初公開される。
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