カンヌ映画祭前半、レオス・カラックスとポール・バーホーベンに高評価 コロナ対策の会場PCRで陽性者も
2021年7月12日 13:00
7月6日から開催中のカンヌ国際映画祭は、蓋を開けてみれば各国からスターが集まり、前半は例年に劣らぬ華やかな雰囲気に包まれている。映画祭が主催する恒例のマスタークラスには、開幕式で栄誉パルムドールを授与されたジョディ・フォスターや、アウト・オブ・コンペティション部門で上映された「Stillwater」に主演したマット・デイモンが参加した。またコンペティション部門に監督・主演作「Flag Day」が入選したショーン・ペンは、ヒロインに扮した娘のディラン・ペンを伴ってレッドカーペットに現れた。
ペンの作品は実話を基にしたもので、子どもを愛しながらも銀行強盗などの犯罪を繰り返す父親と、そんな父に振り回されながらもなんとか自立の道を歩み始める娘の絆を描く。ペンの力技が好き嫌いを分けているものの、ハリウッド映画というよりはインディペンデントなフィーリングを感じさせる作りであり、親子の入魂の演技に魅せられる。
一方「スポットライト」でアカデミー賞を受賞したトム・マッカーシー監督による「Stillwater」も、フランスで実際に起きた事件を元にしている。恋人を殺した容疑で有罪となったレズビアンのアメリカ人留学生の父親が、娘の無罪を信じて単身マルセイユに乗り込む。コンペでも十分に通用したのではと思えるマッカーシー監督のリアリスティックな演出の力、なにより父親役として新たな魅力を見せるデイモンが映画を牽引し、感動的な作品に仕立てている。
前半のコンペ作品で評価が高いのは、レオス・カラックスの「ANNETTE」とポール・バーホーベンの「BENEDETTA」。後者は17世紀の記録を元にした、狂信的な修道女があるきっかけで同僚の女性と恋に落ち、断罪されるストーリーで、ドラマとブラックユーモアの融合がいかにもこの監督らしい。
映画祭後半はイザベル・ユペールやスティーブ・マックイーンのマスタークラスが開催されるほか、コンペには待望のウェス・アンダーソンの「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」、ショーン・ベイカーの「Red Rocket」、アピチャッポン・ウィーラセタクンの「Memoria」など注目作が待機する。
とはいえ、バカンス・シーズンに入ったフランスはここ1カ月で7000人以上コロナ感染者数が増えているため、マクロン大統領は革命記念日を前に新たな対策を発表すると約束した。カンヌ映画祭のプレジデント、ピエール・レスキューはツイッターで、カンヌのコロナ対策をアピールし、開幕以来PCR検査で陽性が出た人は1日平均2人、0人の日もあると書いている。だが、これは外からアクセスするジャーナリストやゲストに限った数であり、詳細は明らかにされていないが、スタッフのなかで陽性も出たと言われている。
なんとか無事に映画祭が最後まで開催できるか、正念場というところだろう。予定通りに運べば、7月17日に閉幕セレモニーが開催され、そこで各賞が発表される。(佐藤久理子)
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