小川紗良、初長編作で大学の恩師、是枝裕和監督に子どもの接し方のアドバイス受ける
2021年6月8日 20:20
女優、文筆家として活動する小川紗良の長編初監督作品「海辺の金魚」の完成披露舞台あいさつが6月8日、新宿武蔵野館で開催中の「新宿東口映画祭」内で行われた。この日は小川監督のほか、小川未祐、福崎那由他らキャスト陣も来場した。
本作は、女優としてNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」や、本広克行監督の映画「ビューティフルドリーマー」などに出演する一方で、自主映画の制作や文筆業など幅広く活動している小川紗良の長編映画初監督作品。児童養護施設で暮らす少女たちの世界と心の成長を描いた人間ドラマとなる。今回の題材を選んだ理由について小川監督は「わたしは昔からいろんな状況に置かれた子どもたちに関心があって、本やドキュメンタリーなどを見てきました。その関心や思い入れと相まって、施設から自立していく女の子の話になりました」と語る。
もともと本プロジェクトは、小川監督の過去作でタッグを組んだ小川未祐と一緒に短編映画を作ろうというところから始まったという。「最初は勢いだけで始めたんですけど、企画を進めていくうちに、これは長編の尺だなと思って。自分たちの力では作りきれないなと思ったところで、プロデューサーの小出大樹さんや、カメラマンの山崎裕さんにお声がけをして。それから(鹿児島県)阿久根市にも協力していただいて。初長編作と言いながらも、顔が見える範囲で、信頼できる方々に集まっていただいて。どうにか撮りきることができました」と振り返る小川監督。
また本作は、小川監督の大学時代の恩師である是枝裕和監督が脚本協力として参加している。「わたしは大学時代に(是枝監督に)授業で教わっていて。わたしにとっても、プロデューサーの小出(大樹)にとっても恩師なんです」と語る小川監督は、「今回も、脚本に行き詰まった時に脚本を見ていただいて。シーンのここを削ったらいいよとか。子どもたちが出てくるので、撮影前の子どもたちとの触れ合い方について相談して。アドバイスをいただきました」と本作の関わりについて明かした。
本作に出てくる子どもたちは、主に阿久根市の地元の子どもたちに依頼したという。「子どもたちの撮影は本当に大変でした」と切り出した小川監督は、「その日その日によって子どもたちの機嫌も違うし、本当に素直なので。撮影も3回くらいテイクを重ねるともう嫌だとなったりするんですけど、予想外のことも楽しみながら。予定調和でないことを子どもたちが繰り広げてくれたので、それをどうフィクションに切り取るかと思いました」と述懐。さらに「誰も知らない」をはじめ、数多くの是枝裕和監督作品に参加してきた山崎キャメラマンの力も大きかったそうで、「山崎さんは今までたくさんの子どもたちを撮ってきましたし、ドキュメンタリーもたくさん撮ってきた方なので、子どもたちをとても魅力的に撮ってくれた。チームにも助けられたなと思います」と笑顔を見せた。
そしてこの日の上映が行われた6月8日は、小川監督25歳の誕生日。サプライズで花束を贈られた小川監督は「ちょうど2年前の誕生日に阿久根市にいて。その時もたまたま誕生日だったので、盛大に祝っていただいたんですが、あれから2年たったのかとしみじみ思います。自分の誕生日に映画を上映するなんて出しゃばっているような気持ちですが、今日はキャストもそろってお披露目に立てたのでうれしいです」と笑顔で付け加えた。
「海辺の金魚」は6月25日より新宿シネマカリテほかにて公開。
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