志田彩良、今泉力哉監督作「かそけきサンカヨウ」に主演! 井浦新と親子役
2021年5月5日 09:00

精力的に映画製作を続ける今泉力哉監督が、人気作家・窪美澄氏の短編集「水やりはいつも深夜だけど」に所収の「かそけきサンカヨウ」(10月15日公開)を映画化し、進境著しい若手女優・志田彩良が主演を務めていることがわかった。「ひかりのたび」以来、4年ぶりの映画主演となる志田は、今作で俳優・井浦新と親子に扮していることも発表された。
近年、日本映画界で引っ張りだこの存在になった今泉監督が、自ら映画化を希望したのが今作。2017年に発売された原作は、日々悩みながらも前を向いてひたむきに生きようとする人々の姿に迫る6つの物語で構成されている。芸能事務所・テンカラットの設立25周年企画の第2弾として製作された映画は、家庭環境の影響で早く大人にならざるを得なかった高校生・国木田陽の葛藤と成長を描く。

志田は現在、「ドラゴン桜」「ゆるキャン△2」に出演する期待の若手で、今泉監督とは「パンとバスと2度目のハツコイ」(18)、「mellow」(20)に続き3度目のタッグとなる。主人公・陽を演じ、「誰かの言葉や存在で少しだけ心が軽くなる。自分よがりでない相手を思う気持ちの大切さに改めて気づかされました。戸惑いながらも前に進んでいく陽の強さも弱さも全部が愛おしくて、大好きな今泉組で陽として過ごした時間は大切な宝物です」と振り返る。
さらに、「密かに目標のひとつとしていた今泉組での主演が、まさか本当に、そしてこんなにも早く叶う日が来るとは想像もしていなくて、嬉しさと有難い気持ちでいっぱいです」と喜びをかみ締めている様子。だからこそ「大変な状況下ではありますが、少しでも多くの方に届くことを祈っています。そして、この作品が誰かの救いとなりますように」とコメントを寄せている。

原作者・窪氏、今泉監督のコメント全文は以下の通り。
人と人との境目はがっちりとした強固なものではなく、淡く滲んでいたほうがいい。年齢を重ねるにつれ、そんなことを強く思うようになりました。そう思っていたほうが人は深く息ができるからです。親子、恋愛、友情、この映画にはさまざまなことが描かれていますが、人と人との縁の不思議さ、淡く行き来する感情のようなものを今泉監督は原作のなかから丁寧にすくいあげてくださいました。やさしさ、誠実さ……、雑多な日常のなかでそういうものを私たちは忘れてしまいがちですが、この映画を見終わったあとには、自分のなかのそういう光の部分をもう一度大切にしてあげようと思えます。ぜひ、たくさんの方に見ていただければ、原作者としてこれほどうれしいことはありません。そして、こんなにやさしい映画にしてくださった今泉監督、ありがとうございました。
窪さんの小説はいつも、どこか弱い人、何かが欠けている人、人生がうまくいかない人について描いている気がします。私もずっとそういう人を描いていきたいと思っていて、今まで映画をつくってきました。強さではなく弱さについての物語。小説「かそけきサンカヨウ」を読んだ時に感じたのは、その弱さが単純なものではなく、曖昧で、強さとも表裏一体であること。嫌いになってもおかしくない相手に確実にもっている愛情。恋愛と呼べるかわからないようなモラトリアムの時間。気丈に振舞っているけど実は張りつめている感情の機微。言葉にするなら、ある家族の再生の物語、とかなのかもしれませんが、言葉では説明できない細微な感情をめいっぱい詰めこんで映画にしました。何度もご一緒して絶対的な信頼を置いている志田さん、いち映画ファンとして憧れでもあった井浦新さん、また、スタッフに支えられて生まれたこの映画を見た誰かの体温を少しだけあげることができたら。秋の日の陽気の中で。
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