今泉力哉監督が紡ぐ“下北沢の日常” 若葉竜也&中田青渚、下北沢トリウッドで語る
2021年4月10日 16:00
今泉力哉監督が東京・下北沢でのオールロケ撮影&オリジナル脚本で挑んだ長編映画「街の上で」。共同脚本に漫画家・大橋裕之氏(「音楽」「ゾッキ」)を迎えて紡がれるのは、今泉監督独自のユーモア、優しさで包み込んだ“下北沢の日常”だ。
下北沢の古着屋で働く荒川青のもとに訪れる“自主映画への出演依頼”という非日常的な出来事からはじまる数日間――。主人公の青を演じたのは、若葉竜也。青が出会う女性たちとして、穂志もえか(青の元恋人・川瀬雪役)、古川琴音(古本屋の店員・田辺冬子役)、萩原みのり(美大生の映画監督・高橋町子役)、中田青渚(町子の映画の衣装スタッフ・城定イハ役)が参加している。
企画の始まりは、今泉監督のもとへ届いた「映画祭で披露する映画を、下北沢を舞台にして撮ってほしい」という下北沢映画祭からのオファーだった。18年9月にアイデア出しが始動し、19年7月下旬にクランクイン。19年8、9月の編集作業を経て、同年10月13日に世界初上映が行われた。20年5月1日の劇場公開を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、封切りは延期に。今泉監督は延期決定の発表時、こんなコメントを出していた。
今泉監督「まだまだ先の見えない状況ではありますが、やはり満席の劇場が似合う映画だと思っています。笑い声。知らない人と肩を並べて。それも含めての映画だと思っています。映画『街の上で』期待してお待ちください。映画館でお会いしましょう」
2021年4月9日、今泉監督の願いを込められた「街の上で」が、ついにスクリーンへと走り出した。
今回、映画.comでは、若葉と中田の対談を実施。念願の劇場公開を目前に、その胸中を聞いた。
さて、ここからは余談になるが、以下のインタビューは「街の上で」と縁の深い場所で行っている。劇中にも登場する下北沢トリウッドだ。多くの人々が映画体験を求めて座った客席に、腰を下ろす若葉と中田。映画館で、映画の話を聞く――取材の場として、これほど素敵な環境は他にないだろう。
さらに、本編を鑑賞した身としては「若葉竜也(=荒川青)が下北沢トリウッドにいる」という光景が感慨深い。この理由は「街の上で」を鑑賞すればわかるはずだ。前後列に分かれて座り、撮影の日々を振り返った若葉と中田。そんな2人の姿を想起しながら、読み進めてほしい。(取材・文/編集部、撮影/西邑匡弘)
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2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。
若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。
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