人質体験者の言葉で映画化を決意した 「ある人質」監督が明かす舞台裏
2021年2月18日 14:00

IS(イスラム国)の人質となりながら、奇跡的に生還したデンマーク人写真家ダニエル・リューの実話を映画化した「ある人質 生還までの398日」が、2月19日から公開される。メガホンをとったニールス・アルデン・オプレブ監督が、モデルとなったリュー氏との交流や撮影の舞台裏を語った。
原作は、ジャーナリストのプク・ダムスゴーが書き上げた「ISの人質 13カ月の拘束、そして生還」(光文社新書刊)。オプレブ監督は「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」などで知られ、本作では人質救出の専門家という重要な役で本作に出演しているアナス・W・ベアテルセンと共同監督を務めた。

ISの真実を人質の視点で初めて内側から本格的に描いた映画としても注目されている本作について、オプレブ監督は「若く理想主義に燃え、世界を変える一助になればと思った青年が危険な世界に足を踏み入れる。しかし、その行為によって家族は彼を救うために大きな挑戦に立ち向かい、苦労の末、最終的には成功する。そういった物語が映画的だと思ったのと、これまでスカンジナビアの映画はテーマ的に小さいものが多いので、生や死が描かれているこの物語は意外なものとして見てもらえるのではないかと考えました」と、映画化した理由を説明する。
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」と似ている撮影方法があるといい、「ダニエルの肩や耳だけを撮っている部分が似ています。顔の半面をクローズアップで撮りながら意外な場所に焦点を当てることによって、この映画の場合はダニエルやダニエルの家族の一部に観客がなっているかのような、そういったカメラワークに私自身が魅力を感じていました。この方法は『ミレニアム』から始め、テレビシリーズ『ミスター・ロボット』のパイロット版でも試してみて、今回その方法がより確立された感じですね。ちなみに本作と『ミレニアム』の撮影監督は同じなんですよ。主人公とともに、観客がより主観的に起きていることを体験できるような狙いがあります」と、映像のこだわりを明かす。

モデルとなったリュー氏とは撮影前から話し合いを重ねたそうで、「撮影中にも、原作者のプクさんと劇中でも描かれている交渉専門家の方(本人)と一緒にヨルダンまで来てくれて、ちょうど見に来たシーンが空撃されるかもしれないと拘束場所から急いで人質を移送する場面でした。それを見ていたダニエルには、非常にインパクトがあったそうです。というのも、当時は目隠しをされていて実際起きていることを見ることはできなかったから。モニターを見ながら、彼にはグッとくるものがあるようでした」と振り返る。
救出後、リュー氏には世間から批判の声もあったそうだが、オプレブ監督は「本や映画が世に出ることで、なぜジャーナリストがこういう危険な場所に行く必要があるのか、ということがわかってもらえたんじゃないかなと思うのです。そういった意味で報われた気持ちになってくれたのではないかと私は思うし、ダニエル自身もこの映画を誇りに思ってくれていると思います」と慮り、今も心に残っているというリュー氏の言葉を紹介する。
「デンマークに戻って、彼は(テロリストの)ジハーディ・ジョンが爆撃によって亡くなったということを聞いたとき、それに対して満足する気持ちは全くなく、それよりも悲しい気持ちになったと言っていました。ダニエルや他の人質たちに対してあれだけのひどい行為をした彼が亡くなったときに、一人の人命が失われたことに対して悲しさを感じた、というダニエルの言葉がとても重要だと思ったし、自分にはぐっときたんです。このことは、この映画のメッセージの部分に深く関与しているのではないかと思ったし、自分がこの映画を作らないといけないと思った理由でもありました」

最後に、オプレブ監督は現在編集中だという新作についても「『ROSE(原題)』というタイトルで、脚本も担当しました。自分の2人の姉たちからインスピレーションを得た、これまででもっともパーソナルな作品です」と言及し、「今年の晩夏公開を目指しています」と話していた。
「ある人質 生還までの398日」は2月19日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町にて公開。
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