ベッドで楽しむ、8時間以上におよぶマックス・リヒター企画のコンサート 眠りの世界に誘われる「SLEEP」予告編
2021年2月4日 12:00
「アド・アストラ」など数々の映画音楽で知られる音楽家マックス・リヒターの“眠り”をテーマにしたコンサート「SLEEP」を体感できるドキュメンタリー「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」の予告編がお披露目された。真夜中から明け方まで、観客が会場に並べられたベッドに横たわり、8時間以上におよぶ眠りのための楽曲を鑑賞する様子がおさめられている。
「SLEEP」は、米ロサンゼルス野外のグランド・パークやオーストラリア・シドニーのオペラハウス、ベルギー・アントワープの聖母大聖堂など、世界各地で開催され話題をさらった。観客はベッドでそのまま眠ったり、歩き回ったりと、自由なスタイルで音楽を楽しむことができる。
「SLEEP」を企画し、作曲と演奏を手掛けたのは、クラシックとエレクトロニック・ミュージックを融合させるポスト・クラシカルの旗手であり、「戦場でワルツを」「メッセージ」などの楽曲でも知られるリヒター。「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」には、コンサートの全貌と裏側だけではなく、リヒターと彼の公私にわたるパートナーであるマールへのインタビュー、彼女がリヒターの創作を撮り続けた15年間のプライベート映像などが収録されている。リヒターが作曲家として成功するまでの苦難の道のりや、マールとの絆も明らかにされていく。
予告編は、「スリープ公演へようこそ。8時間の子守歌です」というリヒターの案内で幕を開ける。舞台の前にずらりと並ぶベッドや、体を横たえながら音楽に耳を傾ける観客など、どこか非現実的な空間が映し出される。
映像のなかで脳科学者のデイビッド・イーグルマンは、「彼が目指したのは深いノンレム睡眠時の脳波と、リズムが調和する音楽を作ることだ」と解説。リヒターは「睡眠状態の心と対話するための音楽」「子宮内の胎児の聴覚環境を再現した」といい、「加速し続ける現代の生活に無言の抗議の意味を込めこの作品を作った」と思いを明かす。最後は夜明けが近付くとともに、“眠りのための音楽”が、美しい歌声を伴った“目覚めるための音楽”へと移り変わっていくさまが美しく切り取られている。
「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」は、ボノやサム・スミスなど様々なミュージシャンとのコラボレーションで知られるナタリー・ジョンズが監督を務めた。3月26日から東京の新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。
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