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深川麻衣、20代最後に思うこと 先輩たちの“背中”から何を感じた?

2021年1月28日 12:00

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取材に応じた深川麻衣
取材に応じた深川麻衣

女優の深川麻衣が主演した映画「おもいで写眞」(熊澤尚人監督)が、1月29日から全国で封切られる。深川にとっては、銀幕デビュー作「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018)以来となる主演映画。所属事務所の先輩たちに囲まれて乗り切った、富山県での撮影を振り返った。

今作は、芸能事務所テンカラットの設立25周年を記念して製作されたもの。メガホンをとった熊澤監督が長年にわたり構想を温めてきた企画で、東京で夢に破れた主人公の結子が、故郷・富山で亡き祖母が遺した写真館で“遺影写真”を撮る仕事を始めるという設定だ。当初は「縁起でもない」と嫌がった老人たちだが、思い出の場所で写真を撮る企画「おもいで写眞」に変えたことで、たちまち人気を呼ぶ。結子は老人たちと触れ合うなかで、次第に人生の意味を見出していく。

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深川が扮した音更結子は嘘が大嫌いで融通が利かない、真っすぐな性格。劇中では所属事務所の高良健吾が演じた、地元の役場で働く幼馴染みに食ってかかり、怒鳴るシーンもあるが、実際のところ日常生活のなかで「怒る」ことってあるのだろうか。

「ほとんどないんですよね。もちろん、怒ることはあるんですが、映画の中で演じているような人を怒鳴ったり、ものを投げつけるということはないので、感情の引き出し方とかをすり合わせていく作業は時間をかけました。でも、今までの現場で経験したことのないものを引き出してもらったという実感があります。悔しい思いもいっぱいしましたが、結果的にとても大事な経験だったと思っています」

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女優デビューからの深川の出演映画を振り返ってみると、「パンとバスと2度目のハツコイ」に続き、再び今泉力哉監督作となった「愛がなんだ」はインディペンデント作品ながら、興行収入3.9億円のスマッシュヒットを記録。西島秀俊佐々木蔵之介の主演作「空母いぶき」(若松節朗監督)では緊張感みなぎるシーンが続くなか、名優・中井貴一が店長に扮するコンビニのシーンに出演し、観る者にとって肩の力を抜くことのできるパートを担った。そして、「水曜日が消えた」(吉野耕平監督)を経て、今作に至る。

今作は、所属事務所の創立25周年を記念して製作される映画という“冠”も付くだけに、“座長”として相当な重圧も付きまとったはずだ。撮了後に話を聞いてみると……

「25周年を記念して映画を撮る、しかも先輩方と初めてご一緒する作品ということでワクワクもしましたが、すごいプレッシャーでした。ただ、気負い過ぎるといつも空回りしてしまうので、緊張感を取り払うようにしていました。今回は20日間くらい富山に滞在して、朝から晩までずっと撮影していたのですが、そういう経験は初めてで、濃厚でした。監督やスタッフさんとの距離も近かったですし、ずっと映画のことを考え続ける毎日でしたね」

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熊澤監督とはクランクイン前から対話を重ねていたようで、「撮影に入る前にご飯に連れて行ってくださって、『とにかく何でも言ってほしい、一緒に作っていこう』とおっしゃってくださいましたので、私も思ったことはなるべく伝えるようにしていました。それに対して違うと返されたこともありましたけど、答えはいつも明解で、細かい演出を受けながらここまで濃厚な日々を過ごすことが出来たのは初めてだったかもしれません」と明かす。

19年7月、撮影現場を筆者が訪れた際には、時おり思い悩む表情を見せることもあったが、深川の隣には事務所の先輩の高良であり、香里奈の姿があった。

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「本当にいっぱいいっぱいになっていたんですが、色々な経験をされてきた高良さんや香里奈さんはすごく全体を見ていらっしゃった。それに1日だけでしたが(井浦)新さんも。テイクを重ねていったときに高良さんはさりげないアドバイスをくれましたし、香里奈さんは早く撮影が終わった日にご飯に行ってくださいました。私が細かく心境を話さなくても、きっと察してくださっていたんでしょうね。同じ事務所の先輩だし、友達ではない。だからこそ、心強かった。作品に対して、すごく誠実でしたし。心が折れかけたときも、先輩方の存在、言葉に助けられました。背中で見せてもらったって感じです」

撮影当時は28歳だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などもあり、ようやく公開となる。封切り日となる1月29日からちょうど2カ月後、深川は30歳の誕生日を迎えることになる。

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「20代前半の頃に思い描いていた形と程遠いかといったら、環境はガラッと変わりましたが、それ以外はそうでもないんです。もっと大人のイメージがありましたけどね。こうして役者のお仕事をさせて頂くなかで、きっと求められていく役も変わってくるんだろうと思います。お芝居のお仕事を始めてまだ年数が浅いので、それに対する焦りは正直あります。ただ、お芝居も私生活も、焦ると近道しようと思いがちですが、必要なことに対しては遠回りしてもいいのかなと思っています。年を重ねていくうえで、理想の自分、未来を目指して学んでいきたい。ちゃんと地に足を付けて、変に自分を大きく見せず、教養を身に付けていきたいですね。映画、ドラマ、舞台と、もっともっとやりたいですし、時代劇も挑戦したいので!」

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