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「セノーテ」東京凱旋上映&小田香特集2021開催決定

2020年12月22日 18:00

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最新作「セノーテ」と小田監督の10年にわたるフィルモグラフィー9作品を上映
最新作「セノーテ」と小田監督の10年にわたるフィルモグラフィー9作品を上映

第1回大島渚賞を受賞した小田香監督の最新作「セノーテ」の東京凱旋上映と「小田香特集2021」の開催が決定した。

ラインナップは2020年9月の劇場公開以来、コロナ禍にもかかわらず全国20館超で上映されている「セノーテ」のほか、タル・ベーラが激賞した幻の作品「ノイズが言うには」から日本初公開の「あの優しさへ」まで、小田香の10年にわたるフィルモグラフィー9作品。上映スケジュールは後日、「セノーテ」ホームページにて発表される。

小田香監督コメント
新作「セノーテ」の公開に伴い、2010年から2019年の間に制作した作品の特集上映をしていただけることになりました。これまでつくってきた個性の違う作品らを特集していただくことで、ひとつの作品からのみでは提示できない、いち作り手の世界観に触れていただける機会になることを願っています。様々な映画を撮ってきましたが、そのうちのひとつにだけここで言及したいと思います。映画を志してから、はじめて撮った「ノイズが言うには」(2010)のことです。いくつかの映画祭以外では、これまで積極的に上映をしてきませんでした。制作中、カメラの暴力性に傷つき、人を傷つけたことに意識的になってから、上映によりまた己が傷つくこと、そして人を傷つけることになるのではという懸念がありました。 今回、公開を決めたのは、いまこの作品は人に観てもらう時期になったのではないかという想いと感があるからです。撮影から10年が経ちました。ノイズからずっと抱いてきた「胸のつかえ」に、「あの優しさへ」(2017)で向き合い、その後「セノーテ」が完成し今日へと至ります。映画の地平は見通せず、反省と発見、探究と修練の日々ですが、10年でひとりの人間がたどった軌跡になにかしら面白みを感じていただけたら幸甚です。
画像2
▼上映作品ラインナップは以下の通り
最新作「セノーテ」(2019年/75分)
第1回 大島渚賞受賞
ロッテルダム国際映画祭2020 正式出品
山形国際ドキュメンタリー映画祭2019正式出品作品
メキシコ、ユカタン半島北部に点在する、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉。 セノーテはかつてマヤ文明の時代、唯一の水源であり雨乞いの儀式のために生け贄が捧げられた場所でもあった。現在もマヤにルーツを持つ人々がこの泉の近辺に暮らしている。現世と黄泉の世界を結ぶと信じられていたセノーテをめぐって交錯する、人々の過去と現在の記憶。そこに流れるのは「精霊の声」、「マヤ演劇のセリフテキスト」など、マヤの人たちによって伝えられてきた言葉の数々。カメラは水中と地上を浮遊し、光と闇の魅惑の映像に遠い記憶がこだまする。
[短編]
ひらいてつぼんで」13分/2012年
少女があやとりをしながらバスを待っている。バスは停車する度にひとり、またひとりと乗客を迎え、松明の灯る終着点に辿り着く。京都花背で行われるお盆の火祭り「松上げ」を背景に、彼岸と此岸を少女たちの手が結ぶ。
デビュー作「ノイズが言うには」のあと、小田監督が唯一脚本を書き制作した作品。
呼応」19分/2013年 監修:タル・ベーラ
牛飼い、羊、風、あらゆる生きものが等しく在るように感じられる村。死と生はわけられない。メリーゴーランドに乗って、隣人の手をとり踊ろう。film.factoryに参加するために日本からボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボに移った小田はカメラと小さなボスニア語辞典だけもってウモリャニというボスニアの村を記録する。
FLASH」25分/2014年
サラエボからザグレブまで行く長距離列車の車窓から見える異国の景色を見ながら、なぜか懐かしい気持ちになり、ふと、じぶんの思い出せる限り一番はじめの記憶はなんだろうという疑問が湧いた。思い出せるようで思い出すことのできない始まりの記憶を巡る列車の旅。
色彩論 序章」6分/2017年
ゲーテは自然を愛し、環境の整った実験室で分析された光(学)からは距離をとった。「色彩というのは眼という感覚に対する自然の規則的な現象」だと彼は言う。彼が眼というとき、それは網膜の情報処理のことではない。眼で感じるというのは、光が我々の持つ記憶を通過し、情景を生み出すことではないだろうか。光と闇が我々の個人史を通り抜け、幾千の淡いとなり、色彩として現れるのではないだろうか。16mm白黒フィルムで撮影。
風の教会」12分/2018年
神戸・六甲にある安藤忠雄建築「風の教会」リニューアルオープンに向けて行われた修復工事を記録。コンクリートを侵食した黴や苔が廃教会となっていた時間の長さを告げる。閉じられていた扉が開かれるとき、止まっていた時間が再び動き出す。
Night Cruise」 7分/2019年
大阪の水路を巡る「梅田哲也/hyslom 船・2017」に研究員として参加した際に撮影した素材と、翌年のクルーズ船ツアーで撮影した素材を合わせひとつの作品にした。魅惑的な夜の河に、揺らめく水と光。
[中編]
ノイズが言うには」38分/2010年/日本語
なら国際映画祭2011 NARA-wave部門観客賞
夏休みに一時帰国した主人公は、23歳の誕生日に自身が性的少数者であると家族に告白する。突然の告白を受けとめられず拒絶の母、沈黙の父。その反応に主人公は失望するが、家族の協力のもと己の告白についての映画をつくりはじめる。映画制作を通し、各々が自己を演じ、その言動を追体験するなかで、無きものになりつつあった告白が再び家族の前に提示される。「サタンタンゴ」のタル・ベーラ監督が激賞し、映画学校film.factory入学のきっかけとなった。劇場初公開。
[長編]
鉱 ARAGANE」68分/2015年/監修:タル・ベーラ
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 アジア千波万波部門特別賞
リスボン国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品
マル・デル・プラタ国際映画祭2015正式出品
台湾国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品
ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボ近郊、100年の歴史あるブレザ炭鉱。地下300メートルには、一筋のヘッドランプの光と闇に蠢く男たち、爆音で鳴り続ける採掘重機と歯車、そしてツルハシの響き。死と隣り合わせのこの場所で、人は何を想い、肉体を酷使するのか。小田は単身カメラを手に地下世界をひたすら見つめる。世界中の映画祭で衝撃を持って迎えられた小田監督の代表作。
あの優しさへ」63分/2017年
ライプティヒ国際ドキュメンタリー&アニメーション映画祭2017正式出品
ジャパン・カッツ2018 正式出品
小田の生まれ故郷である日本で撮影した私的な映像とサラエボのフィルムスクールで学んだ3年間の授業の中で撮影した未使用のフッテージを使用し、性の問題を抱える人々、国境を越えての対話、貧しさや労働についてなど、力強いカメラワークとともにドキュメンタリー映画の本質を問うパーソナルな作品。日本初公開。

「小田香特集2021」と小田香監督最新作「セノーテ」は、2021年1月16日~29日、ユーロスペースにて2週間限定公開。期間中に小田香監督登壇イベントが予定されている。

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