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「孤狼の血」続編でリスペクト・トレーニングを実施! 白石和彌監督「いい業界に変えていきたい」

2020年12月21日 17:00

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全キャスト・スタッフが「差別」「パワハラ」「セクハラ」などの定義、受けた場合の対処法を学んだ
全キャスト・スタッフが「差別」「パワハラ」「セクハラ」などの定義、受けた場合の対処法を学んだ
(C)2021「孤狼の血II」製作委員会

白石和彌監督作「孤狼の血」の続編となる「孤狼の血II(仮題)」では、“日本映画界の変革の第一歩”となる取り組みが行われている。それは、クランクイン前に実施された「リスペクト・トレーニング」。白石監督の提案から実現し、全キャスト・スタッフが講習を受けたようだ。

「リスペクト・トレーニング」は、日本では主にNetflix製作の作品で実施されているもの。約1時間にわたり「差別」「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」の定義、受けた場合の対処法などが説明される。今回の講習は、職場でのハラスメント対策をサポートしてきたピースマインド株式会社によるもの。実際に撮影現場で問題が発生した場合の対処方法なども、資料とともに解説された。

白石監督が「みんなが楽しい、働きやすい環境で映画を作りたい、という思いが強く、今回のリスペクト・トレーニングを『孤狼の血II(仮題)』の撮影前に全員で勉強したい」と東映に提案したことにより講習が決定。日本における映画会社としては、「孤狼の血II(仮題)」での実施が初の試みとなった。コロナ禍ということもあり、同講習はリモートに。参加したキャスト・スタッフともに、真剣な表情で講義に耳を傾けた。

画像2(C)2021「孤狼の血II」製作委員会

白石監督は「自分の出来る範囲の中で、セクハラ・パワハラなどのハラスメントをしないようにしようねと声を掛けてきた。勿論人間なので、感情的になってしまうときは絶対にある。こういった研修はスタートするきっかけがないといけないので、今日がいい機会になったと思う」と語る。また「とある監督が現場で怒鳴るとか、1人の俳優以外とはコミュニケーションをとらないという話も聞いたことがある」といまだに残っている映画界の慣習にも触れつつ「自分の作品だけで行っているだけでは変わらない。今回の実施をきっかけにマスコミの皆さんにも是非広げていただくことで、日本の映画界にとっていい広がりになるのではないかなと思っています」と訴えかけた。

さらに、自身の経験として「監督が黒いカラスを白だといえば白といわなければならないと思っていましたね」と振り返る。日本映画界においてハラスメントが起きやすい原因は「上下関係ですかね? 基本フリーで、口約束で仕事を貰うみたいなところがあると思うので、告発したら次に繋がらなくなってしまうということもある。そういったハラスメントを今まで受けてきた方たちがいらっしゃるので、連鎖を断ち切るということが重要だし、そのタイミングは今なのではないかなと思っています」と説明しつつ、“問題点”に言及する。

画像3(C)2021「孤狼の血II」製作委員会

白石監督「日本の映画界って貧しくて、とにかく時間がない。撮れなかったら現場の責任・監督の責任みたいになってしまうところも問題点の一つだと思います。そもそも働く環境から変えないと、日本映画は世界で戦えないと、僕自身何年か映画を作ったり見たりしている中で強く感じています。当たり前に尊敬される職場、自慢できる職場であってほしい。そういった豊かな環境にしていかないと、日本映画界は変わらないと思います」

日本の映画界ではあまり知られていないハラスメント講習。しかし、ハリウッドでは映画やドラマの撮影前に、スタッフに向けた講習が行われることが習慣化してきている。白石監督は、今後の課題について「続けていかないと意味がないので、まずはこの講習の内容を浸透させ、現場が変わったということを感じでもらえるようにしたい。若い人たちが映画界から居なくなっているので、今後もみんなで考えてやっていき、いい業界に変えていきたいと思っています」と力強く語っていた。

孤狼の血II(仮題)」の舞台は、前作から3年後。題材となるのは、広島の架空都市「呉原市」の裏社会を治めていた伝説の刑事・大上亡き後、その遺志を受け継いだ若き刑事・日岡の“その後”。権力を用い、暴力組織を取り仕切っていた日岡だったが、出所してきたたった一人の“悪魔”によって事態が急転していく。2021年に公開。

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