小川紗良、本広克行監督のもとで体得した何気ない演出の凄味
2020年11月3日 12:00
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映画実験レーベル「Cinema Lab(シネマラボ)」の第1弾作品として製作された「ビューティフルドリーマー」が、11月6日から劇場公開される。本広克行監督がメガホンをとった今作で主演した女優の小川紗良が、撮影を振り返った。(取材・文/編集部)
「監督絶対主義」で映画を製作する「Cinema Lab」には、本広監督のほか押井守監督、小中和哉監督、上田慎一郎監督が参加。今作は押井監督の「夢みる人」を原案に、美術大学の映画研究会の面々が、「撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる」といういわくつきの台本の映画化に挑む姿を描く。
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NHK連続テレビ小説「まんぷく」での好演が記憶に新しい小川だが、ベテラン撮影監督の山崎裕とタッグを組んだ「海辺の金魚」では長編映画初監督を務めるなど、多方面で目覚ましい活躍を見せている。本広監督との出会いは、昨年まで本広監督がディレクターとして孤軍奮闘していた「さぬき映画祭」にある。
「さぬき映画祭で私の監督作も出演作も上映していただいて、その頃から『映画サークルの話を撮りたいんだよね』とおっしゃっていたんですよね。お話をいただいた時には『ついにこれが来たんだ!』という感じでしたね」
その当時は、本レーベルについては聞かされていなかったという。
「女優をやっていても、監督をやっていても、思い通りに出来ないことがあるというのは身をもって知っていますから、そんななかでこういうレーベルが生まれるのは風穴というか、希望になるような気がしています。既に世に出ていらっしゃる4人の監督さんが道を切り開いてくださったので、今後さらに若い世代の監督、女性の監督というところまで繋がっていければ、すごく意味のあるものになるんだろうなと感じています」
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早稲田大学在学中、映画サークルに所属していた小川は、主人公・サラに息吹を注ぎ込んだ。監督経験もあるなかで、役者として参加した本広組はどう映ったのだろうか。
「本広監督は稽古の時から、芝居に対して細かい演出をするのではなく、場づくりみたいなものを構築されて、あとは役者に委ねてニコニコされていました。私たちが戸惑っているときも、ニコニコしながら見守ってくれていて、いつもどっしり構えていらっしゃる方でした。でも思えば、その場づくりの部分から演出が始まっているんですよね。誰と誰を掛け合わせるのか、どういうセットにするのか、ひいてはお弁当をいかに美味しくするのかまで、すごいところにまでこだわっていらっしゃる。これまで、そういうタイプの監督さんに出会ってこなかったので、『そうだよなあ、確かにここから既に演出なんだよな』って思いました」
学生時代の思い出として、映画サークルの同期と過ごした時間を挙げる。「同期3人で、学校の近くにあった早稲田松竹のオールナイト上映を見に行ったことがあるんです。その日は石井聡亙(現在は石井岳龍)監督特集だったんですが、ATGにも繋がる『逆噴射家族』の感動が思い出深いですね」。新型コロナウイルスの感染拡大による自粛期間中、自宅で過ごしながら映画館で過ごす、かけがえのない時間について思いを馳せていたという。
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「自粛期間が明けてから映画館に行ったとき、すごくホッとしたんです。映画の中の、非日常の世界に出かけていけるような癒しがありました。最初にロウ・イエ監督の『スプリング・フィーバー』を見たのですが、淡々とした静けさのある作品でした。ああいう作品こそ、映画館で見るべき作品。すごく良かったです。映画って時代や文化を越えて、残っていくものだし、現代を生きる私たちのもとへ『届く』ものなんですよね。そのことを考えながら、これからも映画作りに携わっていけたらなと感じています」。
自身の監督作「海辺の金魚」は、6月ごろに完成したという。「出来るだけ良いタイミングで皆さんにお届けしたいという思いでいっぱい」と語る小川にとって、現時点での代表作といっても過言ではない「ビューティフルドリーマー」の生き生きとした姿を、劇場で確認してもらいたい。
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