韓国の9分の1、フランスの8分の1… 日本映画に対する文化予算の現状、構造問題を深田晃司監督が憂慮
2020年10月20日 14:00

10月31日に開幕する第33回東京国際映画祭の記者会見が10月19日、日本外国特派員協会であり、「Japan Now部門」で特集される深田晃司監督、映画祭チェアマンの安藤裕康氏、作品選定コミッティメンバー・安藤絋平氏が出席した。
深田監督は、2010年に手掛けた「歓待」が、第23回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞を受賞。今回「Japan Now 気鋭の表現者 深田晃司」と題された特集で短編含め5プログラムが上映される。深田監督は「(2010年の)受賞が大きな後押しとなって、私の映画を見たいと言ってくれるお客さんを世界中に育てることができるようになりました。あれから10年という節目に特集として選んでいただき、『これから先10年間も頑張れ』という励ましを頂けたような気分になりました」と喜びを語る。
作品選定を担当した安藤絋平氏は「日本の今を語り、人間を深く見つめながら、社会の不条理を解いていく監督。人と社会の関係性をスクリーンと観客の関係性として見せる極めてまれな映画作家。気鋭の表現者がどんな未来を語り、フィロソフィーを見せてくれるか……それが今年の特集の狙いです」、安藤チェアマンは「今年、日本映画界が厳しい状況にあるときに、春先から先頭に立ってキャンペーン(「ミニシアターエイド基金」)を展開してくださった。5月末から6月、東京国際映画祭が参加したニューヨークのオンラインフェスティバルに短編を出してくださった。今年のもろもろの情勢を考えて登場していただいた」と深田監督の独特の作風と映画界での取り組みを評価した人選であると説明した。

会見後には、昨年公開された日仏合作の「よこがお」上映が行われ、深田監督が外国人記者を含む報道陣向けのQ&Aを開催。本作は今年8月にフランスでも公開され、全仏で119館、初週動員数2万7767人(CBO Box-Office発表)でランキング10位と好スタート、その後も200館近くまで拡大上映しスマッシュヒットを記録した。
フランスでの手ごたえを問われると「(公開館数が)北野武監督作品より多かったのは映画の数が減っていたコロナ禍の珍事」と謙遜しながら、「『淵に立つ』も日本よりフランスの方がお客さんが入っています。私の名前が日本と比べてフランスの方が有名だということもないと思いますが、フランスで、北野さんや是枝さんではない、まだ若い日本人監督の、しかもエンターテインメントではない作品をこれだけの人数が見に行くという土壌があるのが重要」と、フランスに目の肥えた観客が多いことを挙げる。その理由として「フランスの学校では映画の授業が行われていて、小学生のころから小津安二郎を見ています。そのことによって、大人になってから見る映画鑑賞のレンジが広がる。映画人口を増やすという点においても、多様性、異文化を知るという観点においても、日本の教育にも取り入れるべき」と語った。
「よこがお」はフランスの映画振興組織CNCから助成金を得て製作。外国人記者から、日本の助成金制度について質問を受けると「日本の映画人、特にインディペンデントの映画人は苦しみを抱えながら映画を作っています」と答え、文化予算、助成金の少なさについて、他国と比較しながら具体的な数字を提示し解説した。
「国家予算における文化予算の割合で言うと、日本は韓国の9分の1、フランスの8分の1しかありません。アメリカは日本より文化予算の割合が少ない国ですが、アメリカは民間からの寄付が充実しています。日本は寄付の規模もアメリカの10分の1あるかないか。そして、日本では興行収入の8割を大手3社が占め、アメリカでは禁じられている、大手映画会社直轄での映画館経営が合法的に許されています。また、日本の文化庁が映画のために使っている予算は年間20億円。これが韓国の映画振興協会KOFICだと400億、フランスのCNCは800億。その多額の予算はすべて文化予算から賄われているかというとそうではなく、財源はチケット税です。興行収入の数%、韓国では3%、フランスは10%のチケット税を映画のための行政機関でプールして、再分配するのです」
そして、「映画の振興と多様性をつかさどる行政機関が日本にはないので文化庁や経産省に映画人の声が届きません。チケット税のような、メジャーとインディペンデントの垣根を超え、映画業界が一体となった制度設計も日本では作ることができません。このような問題を抱えています」と映画文化をバックアップする日本の機関や制度の薄さを指摘し、日本映画界の現状を憂慮した。
第33回東京国際映画祭は、10月31日~11月9日に、東京・六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほかで開催。
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