コロナ禍での運営が注目されたベネチア映画祭、穏やかなムードでコンペ上映終了 黒沢清作品も高評価
2020年9月12日 23:20

[映画.com ニュース] 第77回ベネチア映画祭も最終日を迎え、すべてのコンペティション作品が出揃った。全体的に評価が高いのは、アンドレイ・コンチャロフスキーが1962年のノボチェルカスク虐殺事件を描いた「Dear Comrades!」、ジャンフランコ・ロッシがイラクの国境地帯を3年かけて撮影したドキュメンタリー「Notturno」、コーネル・ムンドルッツォがシャイア・ラブーフとバネッサ・カービィを起用した「Pieces of a woman」あたり。イタリアのプレスが評価しているのはスザンナ・ニッキャレッリがカール・マルクスの娘を描いた「Miss Marx」、インターナショナルのプレスは、モナ・ファストボールドが1850年代のアメリカを舞台に、世間に隠れて愛し合う女性たち(キャサリン・ウォーターストンとバネッサ・カービー)を描いた「The World to Come」を評価している。また黒沢清監督の「スパイの妻」も評判が高く、とくに脚本と映像を賞賛する声が多かった。
コンペティション以外の分野では、ルカ・グァダニーノによるシューズ・デザイナー、サルバトーレ・フェラガモのドキュメンタリー「Salvatore Shoemaker of Dreams」、ロジャー・ミッチェルが実際の名画盗難事件を元にした「The Duke」、15歳(2018年撮影当時)の環境問題活動家として有名になったグレタ・トゥーンべリのドキュメンタリー「Greta」が注目を浴びた。
もっとも、今年のベネチアは新型コロナウフィルスの影響で、ゲストは少なく、参加したジャーナリストの数も2分の1以下だった。作品のラインナップそのものより、今後映画祭はコロナの影響にどう対処していくか、といった面で、運営的な部分がより注目されていたと言える。すべての上映がネット予約制になり、シートは一席ずつ空ける半分の定員にし、入場の際は体温チェックを受ける、さらに会場周辺と室内はどこもマスク着用、上映中も係員が立ち合い、鼻までマスクをかけていないとすぐに注意される、といった厳しい管理体制だった。そのおかげで、最終日まで感染者を出すこともなく、無事に開催を終えることができた。

実際例年よりも人が少ないせいもあり、コロナの脅威をあまり感じることもなく、穏やかで明るいムードが感じられた。
ベネチアを含むベネト州は一時、コロナの感染者がもっとも多かった地域のひとつであったが、リド島内ではまだ感染者が出ていない。そんななか、海外から人が集まる国際映画祭は地元にどう受け取られるのか、という不安もあったものの、タクシーのドライバーやブティック、また私が滞在しているアパートのオーナーなども、映画祭の開催によって地元が賑わうのをむしろ歓迎していた。タクシーのドライバーは、「この夏はほとんど観光客が来ずに商売が上がったりだったから、映画祭でお客が戻ってきたのは本当に嬉しい。映画祭と地元当局のコロナ対策も信頼している」と語っていた。
コロナの影響は今後も当分続くことは確かなだけに、今回のベネチアの運営は今後の映画祭の雛形として参考になるだろう。(佐藤久理子)
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