横浜聡子監督、津軽弁少女の青春を描く「いとみち」を映画化 駒井蓮&豊川悦司が共演
2020年8月11日 08:00
[映画.com ニュース] 横浜聡子監督(「ウルトラミラクルラブストーリー」「俳優 亀岡拓次」)が、越谷オサム氏の青春小説「いとみち」(新潮文庫刊)を映画化することが決定。駒井蓮、豊川悦司が共演し、オール津軽ロケで撮影が行われる。
松本潤、上野樹里の共演で映画化された「陽だまりの彼女」の原作者として知られる越谷氏。2011年に発表した「いとみち」は、大きな話題を呼び、「二の糸」「三の糸」とシリーズ化された作品だ。タイトルの“いとみち”とは、三味線を弾く際に指にできる糸道を意味している。
主人公は、青森県弘前の高校に通う高校生・相馬いと。特技は、祖母、今は亡き母から引き継いだ津軽三味線。強い津軽弁なまりと人見知りのせいで、本当の自分は誰にも見せられず、友人もいない。そこで思い切って始めたアルバイト先は、メイドカフェ。少しあやしげな店長、先輩メイドたち、風変りな常連客たち、娘を心配しつつ見守る父親も登場し、ドジっ子いとの成長を描く。
青森県出身平川市の駒井は、岩井澤健治監督作「音楽」、河瀬直美監督作「朝が来る」にも参加した新進女優。「原作『いとみち』は、小学校の時から知っていた作品だったので、オファーを頂いた時はとても驚きましたし、光栄だなと思いました」と胸中を吐露。津軽三味線にも初挑戦しており「生まれ故郷での作品に出演させて頂けて、本当に嬉しいです。撮影の中で、私に刻み込まれた青森と共に、新しい青森も発見出来たらなと思っています。また、青森や、そこに住む方々に今まで育ててくれたことへの感謝も伝えていきたいです」と思いの丈を述べている。
豊川は、いとの父・耕一役として登場。「いとみち、という映画で僕のやりたいことはこの3つです。役者として横浜監督に恋をすること、父親として駒井さんに恋をすること、旅人として青森に恋をすること。きっと素敵な映画になる気がします」と語っている。青森市出身の横浜監督は「原作を読んだ時は、越谷さんの描く主人公・相馬いとの心の機微がユーモアを交え描かれていて、大いに笑わせてもらったと同時に、かつて青森で生きていた十代の頃の自分をいとに重ね合わせずにはいられなかった。私の知っている青森やまだ知らなかった青森と、改めて出会えた感覚があった」と振り返り、撮影への意気込みを明かす。
横浜監督「今年は新型コロナの影響で、生活にも甚大な影響があったと思うが、目下みんな元気だろうかと青森の人々の顔が頭に浮かぶ毎日。青森が舞台のこの映画を観てもらうことでほんの一瞬でも皆さんの日常が彩られればと願う。今回で、青森で映画を撮るのは4回目。毎回皆さんの沢山のご協力に支えられており、人々の優しさに改めて気付く。作品でなんとか恩返ししたい」
劇中には、いとが高校に通う五能線、悩みをかかえて見つめる陸奥湾、古川市場、岩木山といった“青森の名所”が次々と登場。原作者の越谷氏は、今回の映画化について「埼玉から青森まで通いながら書いた小説が、青森で生まれ育った横浜監督と駒井蓮さんの手にかかるとどんな映画になるのか、県外人として固唾を呑んで見守っております」とコメントを寄せている。
「いとみち」は、9月中旬にクランクインし、青森市、弘前市、板柳町などで撮影。製作風景は、アークエンタテインメントのYoutubeチャンネルでも配信される。完成は12月を目指し、21年に青森先行上映を経て、全国公開を予定している。なお、8月下旬からは、東北地方限定サイト「HANASAKA!」(https://www.toonippo.co.jp/feature/hanasaka/top)で、クラウドファンディングが実施される。
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