「パラサイト」の“リスペクトおじさん”、46歳で新人賞! 百想芸術大賞で亡き父の秘話を明かす
2020年6月10日 17:00
[映画.com ニュース] “韓国のゴールデングローブ賞”と称される「百想芸術大賞」(第56回)の授賞式が6月5日、京畿道高陽市大化洞のKINTEXで開催された。
1965年から始まった「百想芸術大賞」は、創設時は映画と演劇を対象とする総合芸術賞だったが、74年の第10回大会からテレビ部門が新たに加わった。02年の第38回から演劇部門を廃止し、現在までその体制は維持している。6月3日にソウルで行われた「大鐘賞映画祭」(第53回)と同様に、今回は新型コロナ感染拡大を防ぐため、無観客で開催された。
映画部門で最多受賞となったのは「パラサイト 半地下の家族」。大賞、作品賞、男性新人賞3部門を獲得している。そのなかでも、パク・ミョンフンの新人賞受賞は、韓国国内のみならず、海外でも話題を呼んでいる。パクは、同作を鑑賞した人であれば、決して忘れることのできない“リスペクトおじさん”である。46歳での新人賞について「一生に1度しか取れない賞なので、非常に感謝しています。ポン・ジュノ監督、そして全ての役者、スタッフの皆さんに、この賞を捧げます」と胸中を吐露した。
パクの父は、闘病の末、今年4月に亡くなっている。授賞式では、その父とのエピソードも明かされた。「実は、世界で初めて『パラサイト 半地下の家族』を鑑賞したのは、私の父です。ポン・ジュノ監督が、闘病中だった父に、先行して見せてくれたんです。父は非常に喜んでいました。素敵な思い出を作ってくださった監督、本当にありがとうございました。最後に『パラサイト 半地下の家族』を愛する世界中の人々に、『Respect』という言葉を送りたいと思います!」とコメントを残した。
また、90年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた「はちどり」(6月20日公開)は、監督賞と女性助演賞(キム・セビョク)の2部門で受賞。イ・ビョンホンは「第53回大鐘賞映画祭」に続き、映画部門の男性最優秀演技賞。ただし、対象作品は「大鐘賞映画祭」の決め手となった「白頭山(原題)」ではなく、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺の裏側を描いた「南山の部長たち(原題)」である。そして、女性最優秀演技賞に輝いたのは、イ・ジョンオン監督作「君の誕生日」(20年内公開)のチョン・ドヨンだった。
テレビドラマ部門は、Netflixで配信されている作品が席巻。大賞に選ばれたのは「椿の花咲く頃」で、脚本賞、男性最優秀演技賞(カン・ハヌル)、男性助演賞(オ・ジョンセ)を含む4冠を達成。日本国内の韓流ブームに再び火をつけた「愛の不時着」は、キム・ソニョンが女性助演賞、ダブル主演を務めるヒョンビンとソン・イェジンがTiKToK人気賞、ソ・ジヘがBAZAAR Icon賞を獲得。「梨泰院クラス」のキム・ダミは、女性新人賞を受賞した。
作品賞:「パラサイト 半地下の家族」
監督賞:キム・ボラ「はちどり」
脚本賞:イ・サングン「EXIT」
男性最優秀演技賞:イ・ビョンホン「南山の部長たち」
女性最優秀演技賞:チョン・ドヨン「君の誕生日」
男性助演賞:イ・グァンス「僕の特別な兄弟」
女性助演賞:キム・セビョク「はちどり」
新人監督賞:キム・ドヨン「82年生まれ、キム・ジヨン」(10月9日公開)
男性新人賞:パク・ミョンフン「パラサイト 半地下の家族」
女性新人賞:カン・マルグム「チャンシルは福も多いね」(第15回大阪アジアン映画祭上映作品)