君の誕生日
劇場公開日:2020年11月27日
解説
「オアシス」「ペパーミント・キャンディー」のソル・ギョングと「シークレット・サンシャイン」「ハウスメイド」のチョン・ドヨンという韓国映画界を代表する演技派の2人が、「私にも妻がいたらいいのに」以来18年ぶりに共演し、夫婦役を演じたドラマ。2014年に韓国で起こったセウォル号沈没事故を初めて正面から題材に取り上げた作品で、事故で息子を失った夫婦の喪失感や愛情を描いた。先にこの世を去ってしまった息子スホへの思いを抱きながら生きるジョンイルとスンナム。スホがいなくなってから初めて迎える息子の誕生日が、母スンナムは息子がいない現実を認めるようで恐ろしくてたまらない。一方のジョンイルは、息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかったことに罪悪感を抱いており……。
2019年製作/120分/G/韓国
原題:Birthday
配給:クロックワークス
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2020年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
2014年に韓国の南西沖で起きたセウォル号沈没事故。本作は同事故を初めて正面から取り上げたとの触れ込みだが、「正面から」という表現は語弊がある。事故自体の描写も救助の様子も一切ない。これが長編監督デビュー作となる新鋭イ・ジョンオンは、ボランティア活動を通じて遺族と接した体験を脚本化し、遺族の喪失感や葛藤を描く物語を組み立てた。猟奇殺人事件などを容赦ない描写で実録映画化する韓国映画界のことだから、かの沈没事故をどれほどリアルに描き出すかと期待して観ると、はぐらかされた気になるかも。それほど国民が負った傷は大きく深く、いまだ癒えずということか。
息子スホを失った現実を受け入れられず家族や周囲につらく当たる母と、負い目を感じながらも家族を繋ぎとめようとする父が、支援団体からの提案で実現したスホの誕生日会を通じて悲しみと絶望を超克する姿が感動的。遺族に寄り添う姿勢こそが今求められているのだろう。
ネタバレ! クリックして本文を読む
…残された人たちの苦しみがリアルで、観るのが辛かった。
それでも生きていくための映画なのだろう。
人命にかかわる事故がもう2度と起きませんように。
2022年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
2014年に韓国で起きた船の沈没事件を題材にした本作品。
実際に起きた事件や事故を映画化するのは、普通に映画を作るよりも配慮したり、下調べなどいろんな苦労があるだろうなと想像する。それだけに、丁寧に作り込まれているなと感じた。
今回の事件は、犠牲者に多数の高校生が含まれており、また、あまりにその杜撰な船の乗組員や船長などの様子が報道され、他国の事件だったが、私もよく耳にした事件だった。
2014年に渡韓した際には、首都ソウルでデモや追悼のイベントのようなものも目にした。
ある日突然、大切な我が子スホがこの世を去ってしまった、母親スンナム。その現実をかんたんに受け入れることも出来ず、また、遺族の会にも近づかずに一人悲しみを抱きながら生きている。一緒に暮らす娘のイェソルに、どうしても気持ちの持っていきようがなくなり、辛く当たるシーンは本当に辛い。
夫のジョンイルは、理由があって海外におり、事件があった時に家族のそばにいられなかった。その彼がある理由で家族の前に戻ってきた(理由は最後の最後にわかります)
夫婦にとって大切な我が子の突然の死。政府は、遺族へ賠償金を払ったり、事故の被害者に対して国からの進学金援助などをするが、それも本当に心を込めて行うわけでもなければ、社会の中では批判も少なくない。
大切な家族を失って、その後どうやってその現実と向き合うのかは人それぞれ。
友達にしろ、元クラスメートにしろ、それぞれの思いがあり、それが終盤に明かされる。
しっかし、母親の叫び声に近い亡き声には、計り知れない悲しみと喪失感と、やり場のない気持ちが溢れていて、観ているのが本当に辛かった。今もなお、こんなふうに悲しんでおられる方がいるかと思うと気の毒でならない。
離れていた夫も夫で、理由があったにせよ後悔の気持ちが溢れて、最後は感情が爆発。
誕生会で、優しかった息子の姿が、いろんな人の話から聞くことができて、こんなにも慕われていたのだということを知った夫婦。
悲しみの中に、少しの光を見いだせるようなそんな時間を過ごせたようだった。
後半どのくらい泣いてしまっただろうかと思うくらい、ひたすら泣きました。
韓国の名優、ソル・ギョングとチョン・ドヨンの演技は素晴らしかったです。
エンターテイメントである映画を通して、社会の中では起こる悲しみを、敢えて事故の様子や具体的なニュースを伏せて伝えてある。それでも十分に、その事故が与えた悲しみややるせなさ、衝撃、憤りは伝わってくる。
さすがやなぁー、韓国映画。
2022年6月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
…突然の息子の死
なかなか受け入れることができず
心を閉ざし周りと距離をおいて
時には娘に当たり夫に当たり
気持ちの拠り所がなかった
…誕生会で
息子の生きていた時の
映像や友達の手紙や詩など
彼のいた時間を共有し
閉ざされた心が少しずつ
氷が溶けるように…
…哀しみを流してくれた
息子の死を受け入れることができた
身近な愛しい人を亡くした悲しみ
まして突然なくした場合
喪失感で精神的にも
病んでしまう
彼と生きた時間…いつまでも彼が
彼女の心に
…優しく身近にいてくれる