天才絵師の知られざる苦悩と自由への闘い 「HOKUSAI」予告&ポスター公開
2020年3月20日 08:00
[映画.com ニュース] 日本を代表するアーティスト・葛飾北斎の知られざる人生を描く映画「HOKUSAI」の予告編が公開された。表現者たちが自由を奪われていた時代に、抑圧に負けず、筆一本で闘い続けた北斎の信念と生き様が映し出される。
平均寿命が40歳と言われた時代に90歳という長寿の人生を歩み、72歳で代表作となる「冨嶽三十六景」を描いた北斎は、生涯を通して3万点以上の作品を世に残した。本作では、北斎の青年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じている。
予告は、腕はいいものの、絵を描く本質と向き合わず自由奔放な毎日を過ごしていた北斎(柳楽)が、稀代の版元(プロデューサー)・蔦屋重三郎(阿部寛)と出会い、その才能を開花させ、今も世界中に多くの影響を与える絵師になっていくさまを収めている。
プライドだけは一人前の若き北斎は、蔦屋が絶大な信頼を寄せる美人画の大家・喜多川歌麿(玉木宏)に大手を振って対峙をするが、「てめえの絵は色気がねえ」と一蹴される。さらに彗星のごとく現れ、役者絵で鮮烈なデビューを飾った若き天才絵師・東洲斎写楽(浦上晟周)の挑発的な言葉に、悔しさのあまり競争心をむき出しに。
早くから北斎の才能を見抜き、気にかけている蔦屋は、そんな北斎の姿に「勝ち負けで絵を描いているのか。絵師などやめちまえ」と言い放つ。自信を失い、挫折と苦悩を重ねる北斎だったが、その逆境を糧に、ある時圧倒的な存在感を放つ海、そして波に魅了され、唯一無二の独創性が開眼する。絵の中に“自分らしさ”を表現することができた北斎は、「ただ描きてえと思ったもんを好きに描く。それが人の心を打つにちげぇねえ」と自らの信念を胸に既存の枠にとらわれず、革新的なタッチと奇想天外な世界観で瞬く間に多くのヒット作を生み出す。
しかし、江戸時代後期は幕府によって浮世絵や戯作などの風俗が厳しく取り締まられており、蔦屋が営む耕書堂や、武士の家系であることを伏せて筆を取り北斎とタッグを組んでいた戯作者の柳亭種彦(永山瑛太)も弾圧の対象に。志を共にする表現者たちを失い続けても、なお創作意欲が衰えることのない老年期の北斎(田中)は、筆一本を手に黙々と描き続けた絵で、誰よりも雄弁に“表現の自由”を求め、時代に抗い続ける。
あわせて本ポスターも披露され、北斎の代表作である「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の大浪を背景に、数々の代表作が散りばめられている。青年期と老年期の北斎、蔦屋、歌麿、種彦らキーパーソンを演じる実力派俳優たちが結集し、「この筆で、世界を変える。」というキャッチコピーが印象的な仕上がりだ。
「HOKUSAI」は5月29日から全国公開。
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