少女に行き過ぎた取り締まりを行う警察官に絶句…カンヌ受賞作「レ・ミゼラブル」本編映像
2020年2月27日 20:00

[映画.com ニュース]第72回カンヌ国際映画祭の審査員賞に輝き、フランスで観客動員数200万人を突破した「レ・ミゼラブル」の本編映像が公開された。犯罪多発地区で、警察官が少女に行き過ぎた取り締まりを行う衝撃の姿が映し出されている。
第92回アカデミー賞の国際長編映画賞や、フランスのアカデミー賞と言われ、2月28日(現地時間)に授賞式を控える第45回セザール賞の作品賞や監督賞を含む12部門にノミネートされた、新鋭ラジ・リ監督の長編映画デビュー作。ビクトル・ユゴーの傑作「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は移民、低所得者、元犯罪者が多く住む、パリ郊外の街モンフェルメイユが舞台となっている。ある少年の些細ないたずらがきっかけとなり、貧困、格差、弱者に容赦なく行使される権力、力なき者の行く末などが、圧倒的な緊迫感と勢いのある映像で描き出されていく。
本編映像は、新人警官ステファン(ダミアン・ボナール)と、犯罪防止班としてチームを組むベテラン警官クリス(アレクシス・マネンティ)のパトロールシーンをとらえたもの。クリスはバス停でタバコを吸う少女に目を留め、足元に落ちていたタバコを拾い、少女に煙を吹きかける。さらに少女の手をとり鼻に近付け、ハシシ(大麻)の臭いをかぎ取ると、無遠慮に身体検査を始めようとする。「令状は?」と反論されるが、クリスの激しい追及が止まることはなく、一部始終を撮影しようとした少女の友人のスマホを取り上げ叩き壊してしまう。「やめろ」と声を掛けるのが精一杯で、クリスの過激な捜査に言葉を失うステファンの姿とともに、横暴な警官と住民たちの軋轢が垣間見える映像となった。
ラジ・リ監督は、どんな人に対しても先入観や偏見を持たないようにしているといい、その理由を「なぜなら現実はいつも複雑だからです。どちらの立場にも善と悪があり、私はそれぞれの登場人物を偏見なく描くよう心がけています」と語る。クリスというキャラクターに関しては、「本当にイヤな奴ですが、どこか人間味があるところを描きたかったんです。アレクシスが見事に演じてくれたので、憎たらしい一面があるキャラクターであっても観客は次第に彼に感情移入していけるのではないかと思います」と解説。映像でも、クリスは「タバコは体に悪い」と告げ少女たちを見逃している。異なる派閥が緊張状態にあり様々な危険が潜む街で、クリスなりに治安を守り、警官としての威厳を持ち続けるための言動であるとも言える。
「レ・ミゼラブル」は、2月28日から新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
(C)SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
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