ジョニー・デップ主演作「MINAMATA」がベルリンでお披露目 真田広之ら日本人キャストも多数参加
2020年2月25日 13:00
[映画.com ニュース]2月20日に開幕した第70回ベルリン国際映画祭で、今回もっとも注目を浴びていた作品のひとつである、水俣病をテーマにしたジョニー・デップ主演作「MINAMATA」が、招待部門で披露された。
本作は第2次大戦の戦場や水俣病の患者のルポルタージュで有名なアメリカ人フォトグラファー、ユージン・スミスを主人公に、彼が熊本を訪れ、地元の人々をフィルムに収めるようになるまでを描く。もともとスミスの写真のファンであったデップが、自身の制作会社でプロデュースをしたもので、夫人のアイリーン・スミス役に河瀬直美監督の「Vision」で注目された美波、その他真田広之、加瀬亮、浅野忠信ら、日本人キャスト多数が参加し、音楽を坂本龍一が担当している。ベルリンにはデップ、真田、美波、さらにスミスの写真を紹介したLife誌編集長役のビル・ナイとアイリーン夫人が参加した。
記者会見でデップは、スミスの写真への愛着やその人生について触れ、「彼の生き方や写真への献身に惹かれた。彼は晩年、水俣に人生を捧げていた。水俣病のことを知ったときは悪夢だと思った。有毒な水銀が水に垂れ流されていたと知って本当にショックだったよ。この出来事を人々に伝えるべきだと感じたし、映画の力によってメッセージを広められると信じている」と語り、拍手を浴びた。
反対運動のリーダー的存在となるキャラクターを演じた真田は、「脚本を読んで本当に心を動かされましたし、ショックを受けました。また水俣だけではなく、似たような事件は今日も世界各地で起こっています。こうしたことをけっして忘れてはならないし、二度と起こらないようにしなければならない。そのために、わたしはここに来ました」と、その思いを語った。続いて美波も、「この映画が、今日再び波紋を起こす石のようになって欲しいと思います」と訴えたのち、アイリーン夫人について触れ、「彼女は影のヒーローです。夫を支えただけでなく、一緒に事を成し遂げた。彼女に会って、幸せな気持ちになりましたし、とてもパワーを感じました」と語った。
一方アイリーン夫人は、「映画化されたことは信じられないような出来事で、いまだに自分をつねって(夢でないことを)確かめたくなるような気持ちです」と、感動を露わにした。
映画は、戦場での後遺症やアルコール中毒によりどん底状態にあるスミスが、日本から訪れたアイリーンの、水俣を撮影してほしいという頼みを受けるところから始まる。はじめは不承不承、日本を訪れるものの、水俣の現状を目にし、写真家として再び意欲を取り戻していく様と、地元の人々がチッソを相手どり戦う過程がクロスして描かれる。
白髪混じりのヘアスタイルにヒゲとメガネで変装し、疲れたボヘミアンに扮するデップはまさにハマり役で、「デップ復活」「キャリアのハイ・ポイント」などと称された。自身、写真家でもあるだけに、実際に彼が撮影した写真も映画のなかに使われたという。
また日本人キャストの評価も高く、ハリウッド・リポーター誌は、「日本のサポーティング俳優陣は、この物語に必要なリアリズムをもたらした」と賞賛。坂本の音楽に対しても、「リアルな雰囲気をもたらしている」と讃えている。
日本での配給はいまだ未定だが、ぜひいつか公開されて欲しいものだ。(佐藤久理子)
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