簡単にモンスターは見極められない――「テッド・バンディ」監督が明かす、映画化の理由
2019年12月19日 17:00

[映画.com ニュース] ザック・エフロンが連続殺人犯を演じた映画「テッド・バンディ」のジョー・バーリンジャー監督がこのほど来日を果たし、映画.comの取材に応じた。“シリアルキラー”の語源になった稀代の殺人鬼テッド・バンディの実話を、彼を愛してしまった女性目線で描く。バンディのドキュメンタリーも手掛け、「彼はとても恐ろしい人物」と語るバーリンジャー監督が、本作に込めた思いを明かした。
1970年代のアメリカで30人以上の女性を惨殺したとされ、“極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣”として断罪されたバンディについて、バーリンジャー監督は「とても恐ろしい。ここでは口にできないようなことをして、周りの人を欺いた人物だと思う。でも、だからといって、彼を普通の人間とは違う存在として見てしまうのは間違いだと思っている」と話し、その理由を以下のように述べる。

「なぜかというと、この作品では『信頼している人が加害者の場合もある』ということを伝えたかったんだ。邪悪なことをする人物をモンスターだと思いたい気持ちもあるけれど、簡単にモンスターを見極められると思ってしまうと、そういう人を自分は避けられると偽の安心感を抱いてしまうかもしれない。バンディの事件に僕が惹きつけられたのは、そういう側面なんだ。人殺しをしていない時間も、彼は人生を生きていた」
監督を引き受ける前、当時24歳と20歳だった2人の娘にバンディを知っているか質問したそう。「2人共バンディのことを知らなくて、タイミング的にも映画にするのは今だと思ったんだ。バンディを知らない若い世代にも知ってほしかった。彼をよく知らないから、“いい人”かもしれないと思って裏切られるからこそ、バンディのやったことをずっと覚えてくれると思う。それがこの映画でやりたかったことなんだ」。

バンディはIQ160の頭脳と美しい容姿で司法やメディアを翻ろうし、女性たちをひきつける魅惑的なカリスマ性を持ち合わせていた。そんなバンディを演じきったエフロンについては「すばらしい演技だった」と絶賛し、演出面でのこだわりを説明する。
「観客にはバンディの行為を信じてほしかったから、僕も演じているザックを心から信じていたんだ。このセリフはバンディが騙そうとしているなんていう会話は一切していなくて、ずっとテッド・バンディとしてのアプローチをしてもらった。観客にとってリズ(リリー・コリンズ)との愛が本物だと思ってほしかった。それが僕の演出のすべてだったんだよ」

題材自体が過激なだけに、バーリンジャー監督のもとにも観客から多くの反響が寄せられている。「アメリカでは見た人の感想が二極化していて、真ん中の反応は今のところあまりないんだ。僕の描こうとしたことを理解してくれるか、テッド・バンディを美化していると批判するかのどちらかなんだよ。そういう意見もあるけれど、僕は長年映画作りをやってきたなかで、ストーリーテラーとしてどうやって作ればいいのかわかっている。今回も、被害者の方を尊重しているし、観客が映画に寄り添えるようバイオレンスシーンは少なくしているんだ。とにかく、責任を持って作ることが1番大事だと思っているよ」。
「テッド・バンディ」は12月20日から全国公開。R15+指定。
(C)2018 Wicked Nevada, LLC
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