劇場公開日 2019年12月20日

テッド・バンディ : 特集

2019年12月9日更新

“最悪のシリアルキラー”衝撃の真実を暴く――気づけば、虜になっている
ザック・エフロンがすべてをかなぐり捨て、実在の“天才殺人鬼”を熱演!
編集者も女性客も映画監督も… 危ういカリスマ性の“沼”にハマる――

30人以上の女性を惨殺した実在の殺人鬼を描く「テッド・バンディ」が、12月20日に公開を迎える。主演は「グレイテスト・ショーマン」などのザック・エフロン。これまでの“爽やかな好青年”というイメージはかなぐり捨て、計り知れない不気味な“存在”を怪演してみせた。

バーで出会い、瞬時に恋に落ちたテッド・バンディ(エフロン)と、シングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)。幸福な日々を送るある日、リズは新聞紙面に、愛するバンディの顔を見つける。よく見ると、それは彼に酷似した似顔絵だった。そしてそこには、「連続女性失踪・誘拐事件の犯人」という文言が添えられていた――。


テッド・バンディとは何者か? 強烈なカリスマ性は、数々の伝説を残した…
シリアルキラーの“語源” 弁護士を解雇し自分で弁護 脱獄と獄中結婚

“シリアルキラー”と聞けば、ほとんどの人が“常軌を逸した猟奇殺人犯”と連想するだろう。広く認知されている名詞だが、初めて使用されたのは1984年と、かなり新しい言葉である。元FBI捜査官ロバート・ケネス・レスラー氏が、ある男を形容するため、このシリアルキラーという概念を提唱した。

男の名はテッド・バンディ。“極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣”として断罪された彼は、醜悪な内面とは裏腹に、美しい容姿とIQ160の天才的頭脳を持っていた。女性たちを惹きつける術に長け、そのカリスマ性を惜しげもなく振りまいては、凄惨な犯行を繰り返した。

数々のエピソードが残されている。

・30人以上の女性を惨殺したとされる 当時の言葉では形容不可能の残虐性 ・IQは160 天才的な頭脳で犯罪を重ね、脱獄を繰り返す ・容姿端麗 裁判では女性ファンが大挙して押しかけ、声援が飛んだ ・裁判中に証人との結婚を宣言 法的に認められ、婚姻を結ぶ ・裁判長をして「法廷で活躍する君を見たかった」と言わしめる ・3度の死刑宣告 執行後、刑務所の外では花火が打ち上げられた

裁判は全米にテレビ中継され、女性ファンが法廷に駆け付けた。バンディのショーアップされた自己弁護に、女性たちは恍惚のため息を漏らした。吐き気をもよおす残虐性が白日のもとにさらされても、彼女らはこの男に夢中だった。

一体、それはなぜなのか? 映画「テッド・バンディ」は、バンディの最も近くにいながら、殺されることのなかった女性リズの視点を通じ、“最悪のシリアルキラー”にまつわる衝撃の真実に迫っていく。


【予告編】 極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣 世界を震撼させた凶行の真実とは――

なぜ人々は、この男に翻弄されてしまうのか――?
「テッド・バンディ」という“沼”にハマった人々が語る、“危うい欲望”

頭では拒絶しているのに、気付けば虜になっている――。底なし沼に足を踏み入れ、意思とは無関係にずぶずぶと沈んでいった人々の証言を、紹介しよう。


・映画.com女性編集スタッフは…「理屈ではなく心がハマっていく」

バンディは、女性がハマるすべての要素を兼ね備えているんですよね。見た目はもちろん、法学部出身だから将来性もあり、「愛している」など女性が欲しい言葉をかけてくれる。さらに子どもも可愛がってくれる。一度結婚に失敗したリズにとって、最高の恋人なんです。

女性ならみんな、「わかる~!」と思うようなシーンだらけでした。だからこそ、観客はリズに共感し、理屈ではなく心がバンディにハマっていくんです。また、ザック・エフロンの目がとにかくきれいで、ビー玉みたいで……ズルい!


・男性編集スタッフは…「ラストの展開にゾッとした」

バンディのことは知っていましたが、僕の認識が音を立てて崩れていくのを感じました。徹底して無罪を主張し、周囲に懇願する姿を見ると、「本当は冤罪なのでは?」と混乱していく。

見る者の善悪の境界線を融解させ、深い混沌に包み込まれるようなシビアな演出に翻弄されていると、最後の最後にゾッとする“告白”が待ち受けています。あれ、裁判記録にも絶対に残っていないメッセージですよね。正直、目の奥がチリチリするほど衝撃でした。


・試写会でも…観客の8割が虜に

鑑賞後の観客(約100人の男女)にアンケートを実施した結果、およそ8割が「バンディに魅力を感じた」と回答。具体的には「頭が切れる」「自信に満ちた行動」というポイントに評価が集中していた。容姿はもちろん、法廷でのバンディの堂々たる振る舞いに、多くの観客がなす術もなくハートを撃ち抜かれたようだ。


・映画界の巨匠も、この男の沼にハマった…!

監督を務めたのはジョー・バーリンジャー。ある伝説的ドキュメンタリーを手掛けた、知る人ぞ知る巨匠だ。後述するが、バーリンジャー監督は“バンディを知り尽くした男”でもある。本作を通じて、この事件に新たな地平を切り拓いた。


本作が他の映画とは一線を画す、“異例の作品”である理由とは
映画ライターが語る、バーリンジャー監督の“あまりにも優れた手腕”

では、そのバーリンジャー監督がいかに優れたクリエイターなのか。同監督に詳しい映画ライター・高橋諭治氏に語ってもらった。

 高橋諭治氏:シリアルキラーを題材にした映画は、主にふたつに分類できる。シリアルキラー本人の視点で語るか、またはそれを追う刑事らの視点で語るかだ。しかし「テッド・バンディ」は、そのどちらでもない第3の新しい視点(恋人)を取り入れた極めてユニークなクライム・スリラーだ。  作り手であるバーリンジャー監督は、本作に先立ってバンディをめぐるもうひとつの映像作品を世に送り出している。Netflixで配信中のドキュメンタリー「殺人鬼との対談 テッド・バンディの場合」。バンディがいかに異常な殺人鬼で、社会に重大な影響を及ぼしたかを伝える“決定版”というべき仕上がりだ。  実はドキュメンタリーが本職であるバーリンジャーは、「パラダイス・ロスト」3部作(日本未公開/1996~2011)で脚光を浴びた映像作家だ。1993年に米アーカンソー州で発生した児童殺害事件を扱ったこの作品は、悪魔崇拝者と断定されて逮捕、死刑宣告された地元の少年3人が冤罪ではないかという疑惑に迫ったドキュメンタリーで、バーリンジャーらの粘り強い取材に基づく衝撃的な内容は、全米を震撼させ大反響を呼んだ。  そんな犯罪ドキュメンタリーの分野で優れた実績を持つ同監督が、本作のような劇映画を撮り上げたことは実に興味深い。この異例のシリアルキラー映画には、ひとつの事件を多面的に見ることの重要性を熟知しているバーリンジャーの特性が、存分に生かされている。  映画はバンディを信じた恋人・リズの視点で進行する。もしもこの文章を読んでいるあなたがバンディに関する情報をまったく知らなければ、彼についての予習などせず、先に本作を見ることをお勧めする。なぜなら、まっさらな状態で本作と向き合うことができるあなたこそ、リズの視点に同化するにふさわしい“理想の観客”だからだ。ぜひとも無防備なまま、バンディを調べ尽くしたドキュメンタリー作家が誘う濃密な映像に身を委ね、愛と恐怖の狭間で容赦なく引き裂かれる、ひとりの女性のジェットコースターのような感情の軌跡を体感してほしい。

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