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「1917」究極の没入感を実現した“徹底準備” サム・メンデス監督「狂った人々と思われていたかも」

2019年12月16日 10:00

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第一次世界大戦を舞台にした話題作
第一次世界大戦を舞台にした話題作
(C)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

[映画.com ニュース] 「アメリカン・ビューティー」「007 スペクター」といった秀作を手がけ、第一次世界大戦を舞台にした話題作「1917 命をかけた伝令」を発表したサム・メンデス監督。このほど、ポップカルチャーイベント「ニューヨーク・コミコン」に出席し、名撮影監督ロジャー・ディーキンスとともに、同作で試みた驚きの撮影手法について語った。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki)

本作は、第一次世界大戦下に参加した2人の若きイギリス兵の“ある1日”を描いた作品。若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクが、進軍する仲間と兄弟が所属する1600人の友軍兵士たちに「作戦中止」の重要な伝令をするべく、危険が待ち受ける敵の陣地を抜けようとする。「マローボーン家の掟」のジョージ・マッケイ、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのディーン=チャールズ・チャップマンのほか、ベネディクト・カンバーバッチコリン・ファースマーク・ストロングリチャード・マッデンらが出演している。

約2時間の尺で描かれるのは、1917年春の1日の出来事だ。「当時、ドイツ軍は(アルベリッチ作戦の最中に)ヒンデンブルグ線まで戦線を後退させた。イギリス軍はそれまでの約72時間、ドイツ軍が報復するのか、あるいは後退したのかもわかっていなかった。実は、ドイツ軍は3年間戦ったこの地を去り、(ほうぼうを)さまよっていたんだ。ヒンデンブルグはもぬけの殻になっていたが、そこには、ドイツ軍による地雷や仕掛け爆弾などが設置されていた。また、ほどんどの男性はスナイパーに殺され、女性や子どもは置き去り、街は何の価値も残らないほど崩壊していた。(映画では)そんな場所で戦っていた1600人の兵士を守るため、2人の若い兵士が派遣されてくるんだ」と語ったメンデス監督。構築した物語は、祖父との関係に影響を受けていたようだ。

サム・メンデス監督らが「ニューヨーク・コミコン」に出席
サム・メンデス監督らが「ニューヨーク・コミコン」に出席

メンデス監督「10、11歳の頃、祖父が第一次世界大戦での体験を語ってくれた。それで戦争という概念を理解したんだ。1916~18年まで戦地に赴いた祖父は、18歳の時に最前線へと駆り出された。僕を膝の上に乗せて語っていたのは、メッセージの伝令について――その記憶の断片が、今でもずっと胸に焼きついてる。祖父の言葉の核心が、映画へと発展していった。ただし、本作は、祖父自身の話ではない。若き2人の兵士は、僕が作り上げたキャラクターで、祖父ではないんだ。あくまで祖父の精神と、自分よりも何か大きな物事を信じ、無私無欲で、自らを犠牲にした当時の女性たちなど、僕の心にずっと残っていたものを反映させたものだ」

本作では、兵士たちの動き、それぞれの息遣いを観客に体感させる“究極の没入感”を生み出すべく、ワンショット撮影を敢行。メンデス監督は「最初は、ひとりの兵士がメッセージを伝令するはずだったが、それが2人になった。それから『もし、第一次世界大戦の特別なストーリーを、2時間でリアルに描いてみたら?』というアイデアが生まれ、同時に『もし、一度もカットしなかったら、どうなるか?』ということも思いついたんだ。それらのアイデアは、1分間くらいで全て頭に宿り、そこから変更はなし」と振り返る。

メンデス監督「脚本の1ページ目には“ワンショットで撮影するために書かれた”と記されていて、(俳優、スタッフの)誰もが撮影前から何をするのかを理解していた。僕はワンショットであることを念頭に置き、共同脚本のクリスティ・ウィルソン=ケアンズとともに、セリフだけでなく、(ワンショット撮影の)アイデアを脚本に織り込んでいった」

脚本を読んだディーキンスは「『本当か?』と思ったよ。でも脚本を読み込んで、監督と一度話してみたら、理にかなっていると思った」と述懐。「このストーリーには、不可欠な手法だった。実際に本作を鑑賞したら、ワンショットで撮影されたことに気づかないかもしれない。それぐらい“没頭できる体験”なんだ。僕自身でさえ、撮影終了から1週間後に各カットを見返した際、ワンショットで撮影したということを忘れるほど見入っていたくらいだ」

メンデス監督「観客には、全てのキャラクターと足並みをそろえ、彼らとともに呼吸をしながら旅路を歩んでもらいたかった。そこでロジャーは、カメラを“3人目のキャラクター”としてとらえることで、ワンショットを成し遂げてくれたんだ」

イベント登壇時の様子
イベント登壇時の様子

屋外ロケが中心となったため、天候に左右されることが多く、ワンショット撮影は困難を極めた。しかし、ディーキンスは「後悔したことは全くなかった」と断言する。「素晴らしい挑戦だと感じたし、ストーリーの方向性も理解していたからね。塹壕(ざんごう)で2、3ショット撮影し始めてからは『とてもクールだ!』と思ったし、没頭できる体験として成り立っていた。カメラのトリッキーな動き、俳優陣の演技、全てがバレエのように揃わなければいけない。その瞬間瞬間が大変で、ショットの最後に近づくと、誰もが『失敗したくない』と思っていたくらいだ」と語っていた。

これまで関わってきたどの作品よりも、入念なリハーサルを行ったメンデス監督。兵士2人が街を徘徊するシーンでは、移動する距離に合わせて、台詞の分量を考えていたようだ。

メンデス監督「(キャラクターが移動する)野原や川、あるいは森林のなかを、何カ月にも渡って計測していた。周りの人々から見たら、僕らは狂った人々と思われていたかもしれない。ある時、マーク・ストロングジョージ・マッケイが演じるキャラクターが、兵士が乗ったトラックの側を通り過ぎるというシーンに臨んでいた。その撮影中、マークが『(タイミング良く)僕のセリフを言い切ることができたのは偶然だね』と言ったんだ。だから『全く偶然じゃないよ!』と言って“事前準備”のことを話したよ」

また、ディーキンスは「プロダクション・デザイナーのデニス・ガスナーとともに、(当時の写真やイラストレーションに関する)リサーチを行なった」と告白。「そのなかでも、ある兵士のグループ写真に注目した。そこに写っていたのは、自分を見失ったような表情をしてカメラを見つめている青年。その表情に、何よりも影響を受けたんだ」と脳裏に刻み込まれたようだ。

1917 命をかけた伝令」は、20年2月14日に全国公開。

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