J・J・エイブラムス監督、スカイウォーカー・サーガの幕を引く重責と覚悟とは

2019年12月16日 21:00


来日を果たしたJ・J・エイブラムス監督
来日を果たしたJ・J・エイブラムス監督

[映画.com ニュース] 世界的人気SFシリーズの最新作「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」のJ・J・エイブラムス監督が来日。当初企画開発を進めていたコリン・トレボロウ監督の降板で、一から脚本を練り直し、監督・製作を一手に担ったエイブラムス監督が、その重責と覚悟について語った。(取材・文・写真/編集部)

――当初監督・脚本を手掛けていたトレボロウ、デレク・コノリーが降板した段階で、脚本はどの程度仕上がっていたのでしょうか? あなたと共同で脚本を担当したクリス・テリオ以外にも、トレボロウとコノリーが原案としてクレジットされています。

彼らはすでに何稿も書いていたけれど、我々は白紙の状態でスタートしました。初期に携わった脚本家をサポートするのが脚本家組合の方針ですし、私も同じ脚本家としてそれが正しいと思っています。彼らの名前を(クレジットに)きちんと残したいのです。

――42年にわたるサーガを終わらせるにあたり、これまでのインタビューや会見で繰り返し「責任」という言葉を口にされています。決定的に結末を見つけたという瞬間はありましたか?

(今作の監督をするのは)とても難しい挑戦でしたが、同時に最高のチャンスでもありました。大きな挑戦だからこそやりがいがありましたしね。色々な要素が組み込まれた作品なので、ひらめきの瞬間が何度もありました。脚本を書いていると息をのむような瞬間があるのですが、そういうときはまるで映画館でそのシーンを見ているように感じて、とても楽しいですね。

――重責を背負いながらの作業で、「やっぱり結末を変えよう」というような迷いはなかったのでしょうか?

重責はいつも、どこでも感じていました。キャラクターに対して、ファンに対して、自分自身の情熱に対して、このシリーズの魂を作り上げたジョージ(・ルーカス)に対して、私たちにとってとても意味深い存在であるキャリー・フィッシャーさんに対して。だからいつも変更案はありましたし、常に良いアイデアを探し続けて、たくさんのことを試しました。

――スカイウォーカー家のサーガが終わることを寂しく思っているファンにかけたい言葉はありますか?

今作は感動的ですが、悲しむべき物語ではありません。とにかく楽しくて、ロマンスがあって、エキサイティング。感情的になる悲しい部分があったとしても、バランスがとれているので楽しんでいただけると思います。

――故キャリー・フィッシャーさんは、自身の回顧録であなたに「私に我慢してくれてありがとう」と感謝を述べています。彼女の人柄を表すようなエピソードを教えてください?

彼女は信じられないほど面白い人でした。なので、撮影中に彼女がいないというのはすごく寂しい経験でしたね。彼女は自分に厳しい人だったので、演技に納得がいかず苦悩していることはありました。自分で頭を叩いて、「もう1度やらせて」というように。今作は、もしキャリーがいたら認めてくれていただろうというものに仕上がっています。

――今作で技術的に注目してほしいところはありますか?

すべての瞬間が、ILM(ルーカスが設立した特殊効果及びVFXの制作会社)の最高の仕事だと思います。今作では、最新テクノロジーも使いましたが、古いやり方も取り入れました。マペットを使う技術もすごく進歩していて、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のときはすべてCGだったマズ・カナタというキャラクターは、今回は(マペットとして)実際に撮影現場にいました。音響、カメラ、ビジュアル、すべてに新しい技術が使用されていますが、それはできれば観客には気づかれずに、(今作を見る上での)経験のひとつになればいいと思っています。

――新キャラクターのドロイドであるD-Oは、何からインスピレーションを受けて作り上げられたのでしょうか?

いろいろなデザインを試して、最終的にアヒルを基にしたデザインになりました。名前はもう決まっていたので、ダックのDってわけじゃないんだけれど、ダックのDに車輪のOだっていつも冗談を言っていますよ(笑)。

――これまで多くの作品を作ってこられましたが、共通する信条やテーマはありますか?

テーマと言えるかはわからないけれど、どんな形であれ「ラブストーリー」の要素があるものが好きです。たとえそれがプラトニックなものであっても。ドラマチックでユーモアがあって、心あたたまる物語にしたいという気持ちがあります。でもテーマとして考えたことはなかったな……それについては、見てくださっている方々の方が理解しているかもしれませんね(笑)

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」は、12月20日に世界公開。

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