「ゾンビ」日本初公開版が40年ぶりに復元!レジェンド出演者が来日し公開を祝福
2019年11月28日 22:07
[映画.com ニュース] ジョージ・A・ロメロ監督による傑作ホラー「ゾンビ」の日本初公開復元版が11月28日、都内でプレミア上映され、本作キャストのケン・フォリー(SWAT隊員のピーター役)、ゲイラン・ロス(テレビ局員のフラニー役)が来日。レジェンド出演者2人が、本作の公開を祝した。
1978年の公開以来、複数のバージョンが存在するなか、これまで配信・ソフト化されず、幻となっていた115分の「日本初公開版」が権利元との粘り強い交渉の末、ついにお披露目。ダリオ・アルジェント監修版をベースに、冒頭の惑星イオス爆発や、タイプライターによるゾンビ発生の状況説明テロップを加え、残酷シーンの静止画処理・モノクロ処理が施されている。
2度目の来日だというフォリーは、日本語で「こんばんは。私は日本に来て、たくさんのファンの皆さんに会って、挨拶できること、大変うれしいです。たくさんの皆さんと時間を過ごすことはとても光栄です」と挨拶。安どの表情を浮かべ「たくさん練習したんだ。頑張ったよ」と笑みを浮かべた。
撮影が行われた40数年前を振り返り「あの頃は、これほどヒットし、長く愛されるとは想像もできなかった」としみじみ語り、「当時、とある有名俳優と親交があったが、私が『ゾンビ』に出演していたと知ると、驚いた表情で、それから関係性も変わったよ」と本作が及ぼした影響を明かした。お気に入りのシーンを聞かれると、「墓場でシャンパンを開けるシーンかな。あっ、待って。あと3くらいあるんだけど(笑)」と思い出があふれ出ている様子。生前のロメロ監督については、「非常にジェントルな人柄だった」と回想した。
一方、初来日のロスは「印象に残っているのは、私がショッピングモールで商品を見たり、メイクをするシーンね。監督は映画が長くなり過ぎると考え、カットしようとしたんだけど、私は譲れなくって、シーンの必要性を長い手紙にして渡したの。すると監督が降参してくれた」と舞台裏を明かし、「ロメロ監督は、とてもセンチメンタルな性格だった。それと社会における公正性をいつも考えていたわ。『ゾンビ』にもその思想が色濃く刻まれている」と話していた。
プレミア上映会には、「ゾンビ」の大ファンだという俳優の磯村勇斗が登場し「まさか、お二人と同じ場所に立てる日が来るとは思っていなかった」と感激しきり。「ただ、怖いだけじゃなく、欲や希望といった人間の奥底を象徴的に描き、考えさせてくれる」と熱弁すると、フォリーは「その通り。とても知的に作品を楽しんでくれているね」と感謝を示していた。
「ゾンビ」日本初公開復元版は、11月29日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開される。