是枝裕和監督、宮本信子のまさかのクレームにタジタジ「専門の方が…」
2019年10月14日 21:14

[映画.com ニュース] 是枝裕和監督の最新作「真実」の公開記念舞台挨拶が10月14日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、日本語吹き替え版キャストの宮本信子、宮崎あおい、佐々木みゆが顔をそろえた。当初は12日に予定されていたが、台風19号の影響で中止となり、この日が仕切り直し。是枝監督は「無事、この日を迎えられてホッとしています」と安どの表情を浮かべた。
是枝監督にとって初の海外との共同製作となる日仏合作。国民的大女優の自伝出版を祝い集まった家族が、その内容によってあらゆる真実と向き合っていく人間ドラマ。主演のカトリーヌ・ドヌーブを宮本が、その娘役のジュリエット・ビノシュを宮崎がそれぞれ吹き替えた。
声優初挑戦の宮本は、「することはないなと思っていたから、お話をいただいてすぐに返事をしなければいけない状況だったけれど、4時間くらい悩んだ。でも、ご縁だと思って受けて立つという気持ちになった」と述懐。だが、「是枝監督が演出されると思っていたら、打ち合わせの時に僕じゃないと言われすごくビックリした。すごく無責任」とクレームを入れた。
宮崎も「私もそう思っていました」と拍車をかけ、是枝監督は「吹き替え版には専門の演出の方がいるんです。うまく伝わっていなかったみたいですね。すいませんでした」と釈明。宮崎が「台本がよくできていて、口がきちんと合うようになっていた。アフレコは楽しかったし、ビノシュさんと気持ちを共有しているような感じになりました」とフォローすると胸をなで下ろした。
そして、気を取り直し「吹き替え版を作るとしたら誰がいいかと言われて、名前を挙げたのがこの2人。宮本さんの背筋が伸びて凛(りん)とした感じの声が好き。宮崎さんは、セリフになっていない部分のニュアンスも表現できる方」と絶賛。「万引き家族」に出演した佐々木については、「(声優を)やりたかったんだよね?」と本人の希望を受け入れての起用だったことを明かした。
また、司会を務めたフジテレビの三田友梨佳アナウンサーが、是枝監督へのインタビューで三谷幸喜監督のように面白いことが言えないと聞かされたことを告白。すると、「三谷監督はずるい。映画監督が皆面白いことを言えると思われると困る」と苦笑い。だが、佐々木に「監督も言ってください」とおねだりされ、さらに表情をゆがめた。
そして、宮本が「母と娘の関係が日仏でこんなに違うんだということが感じられます」、宮崎は「役者の表情がよく見えて、セリフもダイレクトに伝わってきます」とそれぞれに吹き替え版の魅力をアピール。是枝監督も、「日本語で書いた台本をフランス語に翻訳したから、字幕の場合は情報量が減るのはしようがない。吹き替え版になって削った部分が戻り、オリジナルに近いものが取り戻せた」と手応えを感じていた。
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