チューリッヒ国際映画祭でR・エメリッヒ監督特集 ポスプロ中の次回作「ミッドウェイ」語る
2019年10月7日 13:00

[映画.com ニュース] 10月6日まで開催されたチューリッヒ国際映画祭で、ローランド・エメリッヒ監督のトリビュートがおこなわれ、彼の作品が特集上映されるとともに、現地を訪れたエメリッヒ監督にゴールデン・アイ・トロフィーが授与された。上映作のなかには、彼の卒業作品で1984年のベルリン国際映画祭コンペティションに選ばれた「スペースノア」や、シェイクスピアをモチーフにしたスリラー、「もうひとりのシェイクスピア」(2011)など、レアな作品も含まれている。
エメリッヒ監督はさらにマスタークラスを開催し、映画業界とはまったく縁のない家庭環境から映画に興味を持ち、地元ドイツで成功した後、ハリウッドでヒットを飛ばし続けた秘話を披露。とくに「スペースノア」の後、早くもハリウッドから、シルベスター・スタローン主演作の監督オファーを受けていたことを明かし、こう語った。
「脚本がつまらないと思い書き直したものの、プロデューサーのジョエル・シルバーには読んでもらえなかった。さらに提案されたバジェットでは絶対に無理だと主張すると決裂し、企画自体も流れた。でもそれがもとで、「ユニバーサル・ソルジャー」を作ることになったんだ。もっと安いバジェットで、ジャン=クロード・バン・ダムとドルフ・ラングレン主演で作らないかと言われて僕は、バンダムって誰?と(笑)。それで急いで彼の作品をビデオ屋で借りて観たところ、(彼の演技に)頭を抱えてしまってね。共同脚本家にはやめた方がいいと言われたんだが、僕は「いいアイディアがある。彼が冒頭で殺され、ロボット兵士として蘇ることにすればいいんだ」って(笑)。おかげさまで映画はヒットした(笑)」
つねにバジェットを守り、ブロックバスターを作り続けるヒットメーカーとして知られるエメリッヒだが、それでも企画を通すのは難しいと語り、「現在のハリウッドは良作もあるけれど、良い作品の量が減っていると思う」と、チクリと批判も。また目下ポスト・プロダクション中の次回作「ミッドウェイ」について、こう語った。
「ストーリーに魅せられて、もう20年来作りたいと思っていた企画なんだ。でもいま撮ることになって、結果的には良かったと思っている。いまは世の中全体がナショナリズムに向かっている時代だ。ナショナリズムこそが第2次世界大戦を生み出したわけで、いまのような時代に僕なりの視点でこの物語を描きたいと思った。僕は映画を作るなら何かを伝えたいと思っていて、それはフリーダムを得るための戦いだったり、環境問題への警鐘だったりする。「ミッドウェイ」でもいま語るべきことがあると思っているよ」
「ミッドウェイ」といえばもちろん、三船敏郎が出演した1976年のジャック・スマイト監督版が有名だが、果たしてエメリッヒ版はどんな観点から描かれるのか。興味をそそられずにはいられない。(佐藤久理子)
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