劇場公開日 2012年12月22日

もうひとりのシェイクスピア : 映画評論・批評

2012年12月19日更新

2012年12月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほかにてロードショー

パニック映画監督エメリッヒによる、本気の<シェイクスピア>真相追求

日本には浮世絵師<写楽>は誰だったか? という難問がある。多くの専門家、小説家が挑戦しているが、解決をみない。同様のことが<写楽>以上に世界の誰もが名前を知る存在、劇作家<シェイクスピア>についてもいえる。あれほど当時、つまりエリザベス女王時代のロンドンで話題だった<シェイクスピア>の個人情報、記録がみごとなまでにないのは確かにおかしい。<シェイクスピア>とは何者? 本当の書き手は別にいる? いまだに諸説紛々、意見の一致を見ない。ならば、こういった仮説はいかがでしょう? と、確かに説得力のある見方を提示してみせたのが、驚いたことにローランド・エメリッヒなのだ。「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」のエメリッヒが<シェイクスピア>の真相追求って大丈夫か? まさか宇宙人説とか? それはそれで面白いが、コメディにしかならない。

不安が先に立ったことは告白しておかなくてはならない。しかし、英国の舞台、映画の名優、デレク・ジャコビを起用しての前口上のケレンがすばらしく、エメリッヒの本気度が伝わってきた。というかエメリッヒのことをたちまち忘れ、没入した。シェイクスピア後の代表的劇作家、ベンジャミン・ジョンソン(「錬金術師」が有名)を、ある貴族の、そしてストーリー自体の<使い走り>として活用するあたり、これは、みごと! というしかない。異端の説どころか、そうかもしれないと思わせる仮説提示だった。監督への予断は禁物と思い知った。

(滝本誠)

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