上田慎一郎監督ら映画祭“同期生”3人による「イソップの思うツボ」でSKIPシティ映画祭開幕
2019年7月13日 19:39

[映画.com ニュース] 「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」が7月13日、埼玉・川口市のSKIPシティ 映像ホールで開幕し、12年の同映画祭で顔を合わせた浅沼直也氏、上田慎一郎氏、中泉裕矢氏が監督した「イソップの思うツボ」(8月16日公開)がオープニング上映された。
「イソップの思うツボ」はカメだけが友だちの内気な女子大生(石川瑠華)、大人気“タレント家族”の娘で恋愛体質の女子大生(井桁弘恵)、 “復讐代行屋”の娘(紅甘=ぐあま)が織りなす予測不能の騙しあいのバトルロワイヤルを描く。昨年の大ヒット映画「カメラを止めるな!」では上田氏が監督、中泉氏が助監督、浅沼氏がスチール担当を担当している。
浅沼監督は「12年に知り合ったけれども、まさかこういう日が来るとは思わなかった。その時は中泉さんはとっつきにくく、上田さんとは喫煙所でちょっとしゃべっただけ。ようやくマブダチになった」と言うと、上田監督は「(取材の時に)マブダチと言って、受けが良かったので、言っているんですよ。オムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』でそれぞれ短編を撮って、一緒に宣伝活動をした時にちょっと仲良くなり、『また、みんなでやりたいね』と居酒屋で言ったのがきっかけです」と明かした。最後に発言の機会が与えられた中泉監督は、すべて言われてしまったようで、「その通りです」とポツリ。
ただ、企画が固まるには2年かかったそうで、中泉監督は「1年経っても、同じ話をしていた」といい、上田監督も「締切がなかったら、完成しなかった」とも言う。浅沼監督が「(準備期間は)互いの好きな作品を言い合い、互いの映画を見て、濃厚な時間を過ごした。長い夏休みのようで、8月31日に出来上がったという感じ」と言うと、上田監督からは「それも(取材で)よく言っていた」とネタばらしされていた。

オーディションで抜てきされた3人のヒロインも、3人の監督による演出には戸惑いがあったという。井桁は「シーンごとに監督が違っていたので、分からないことだらけでした。まず、分からないことを、どなたに聞けばいいのかが分からなかったです」。石川も「あるシーンでは3人の熱量が合わさったことがあって、圧倒された。すごい経験したと思った」。紅甘も「よく分からなかったですね。監督が3人いるんですけども、もはや1人もいない。いや、悪い意味じゃないですよ。1人じゃなかったので……。(今も)よく分かっていないです」と話した。
共演のベテラン陣も、この演出スタイルは初体験。佐伯日菜子は「もっと、もめちゃうかと思ったけども、マブダチだけあって、いいチームワークだった」と言うと、上田監督は「9日間しかなかったので、もめる時間はなかった」。斉藤陽一郎は「トークでもお分かりの通り、我が強い3人でした。話を頂いた時から大変な現場になると思っていたが、やっぱり大変でした。プロデューサーも入って、監督が5、6人いるようなこともあった」と振り返っていた。
同映画祭は、新たな才能を発掘する“若手映像クリエイターの登竜門”。16回目となる今年は、92の国と地域から658作品(海外591作品、国内67作品)から長編映画の応募があり、国際コンペティション部門は10作品、国内コンペティション長編部門は5作品、国内コンペティション短編部門は203本の応募から9作品が上映される。映画祭は21日まで。
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