映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

引きこもり傾向の日本人、海外からの若手人材が刺激に?「東南アジア映画の巨匠たち」でシンポジウム

2019年7月4日 14:30

リンクをコピーしました。
安岡卓治氏、藤岡朝子氏、市山尚三氏(左から)
安岡卓治氏、藤岡朝子氏、市山尚三氏(左から)

[映画.com ニュース]国際交流基金アジアセンターによる、日本と東南アジアの文化交流事業を紹介する祭典「響きあうアジア2019」の一企画の特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」が開催中だ。7月3日、東京・池袋の東京芸術劇場で「映画分野における日本と東南アジアの国際展開を考える」と題したシンポジウムが行われた。第1部「映画分野における次世代グローバル人材育成について」で、東京フィルメックス・ディレクターの市山尚三氏、山形国際ドキュメンタリー映画祭理事の藤岡朝子氏、日本映画大学教授の安岡卓治氏が登壇した。

日本映画大学の安岡氏は、学生や卒業生と共に韓国のDMZ国際ドキュメンタリーの新セクションとして発足し、東アジア諸国の共生と相互理解を目的に各国の製作者、教育機関が若い映画作家を養成するプロジェクト「アジア・ドキュメンタリー国際共同制作ネットワークフォーラム」に参加。2015年からのワークショップでの成果を発表した。

「中国、台湾、韓国、日本の大学が参加し、それぞれの文化風土の違いと多様性を大きく感じた」という安岡氏。「例えば、中国の雲南のチームは、(作品を)人類学の視点で捉えており、延々とインタビューを撮影する。僕らが考えるのはまず、劇場でかける作品のこと。韓国の大学の先生は、実験映画専門だったり、お互い考え方が違ってそれがおもしろい。こんな風に(指導者の)作風が違うけれど、学生に向き合うと教師たちの考えが合致する。東アジアの歴史を織り込み、理解しながら話し合いができた」と振り返る。

教鞭を執る日本大学では、アジア諸国からの留学生が増えているそうで、「彼らが日本映画についての議論を始めたりすることもある。実習が多いので、意見の対立もあるけれど一緒に作ることでコミュニケーションが深まる」と報告すると共に、「当初は日本の(製作現場の)給料が安すぎる、中国のほうが2~3倍もらえると言っていた学生が、日本の製作システムを身につけたいと就職希望した。その変化も面白い」と日本で学んだ留学生たちの変化の一例を挙げた。

NHKエンタープライズ所属で、タレンツ・トーキョー選考を務める司会の池田高明氏が、「日本が技術や知識を与えるというより、今はもう、日本がアジアから学ばないと取り残されるのではないか。という意識を強く持っている」と提起すると、安岡氏は、「国際的なセッションの企画に、日本の学生はなかなか手を挙げない。手を挙げるのは、中国、韓国、タイなどの留学生ばかり。日本は引きこもっている感じも受ける。しかし、そこで変化が生まれてきて、英語をもう一度勉強しなければと考えたり、様々な学びがあるとも思う」と持論を述べた。

2018年に蔵王温泉で日本初のドキュメンタリー映像作家向けのアーティストインレジデンス、「山形ドキュメンタリー道場」を実施した藤岡氏は、ワークショップの映像と共に成果を報告。「セミプロの監督を呼び、プロデューサーらと4週間チームで滞在してもらい、編集、構成、仕上げに向かって強制的に、長いビジョンで自分の作品に向き合うことで、普遍性の高い映画ができるのではないか」「安全で、初心に帰れるようなクリエイティブな場所が相互交流の場にもなった」と都会ではなく、山形で開催することの意義を含めて語った。

市山氏は、東京都が支援する映画人人材発掘プログラムで、姉妹都市のベルリンと提携し、東京フィルメックス内の企画として展開されている「タレンツトーキョー」について解説。2014年に公開された「イロイロ ぬくもりの記憶アンソニー・チェン監督、第18回東京フィルメックスのコンペティション最優秀作品賞、今年公開の「マルリナの明日」のモーリー・スリヤらを輩出している。応募書類、作品プレゼンが英語必須ということから、当初は日本人の参加者が多くなかったというが、近年は予算面でインディペンデント映画の製作が難しい状態になっているという状況を挙げ、増加傾向にあるという。

また、隆盛をみせる中国の映画業界について触れ「中国は業界が盛り上がっていて、成功者がたくさん出て、儲かっている。劇場以外に配信のプラットホームがコンテンツを探していて、1億円くらいの映画だと簡単に製作できる。これまで日本は低予算で作ることでしのいできたが、現場の状況は良くない。東南アジアと似たような状況。そのあたりもタレンツトーキョーに日本人が増えた理由かもしれない。海外と映画を作りたい人をサポートしていけたら」とも話した。

そのほか、国内外の各種助成金制度や、英語力について、人材育成の成果のおき方など様々な話題で、活発な意見交換が行われた。
特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」は、7月10日まで有楽町スバル座で開催。


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る