TAKAHIRO、俳優としてのターニングポイントになった“しゃべらない中での表現”
2019年5月8日 16:00
[映画.com ニュース] ダンス&ボーカルグループ「EXILE」のTAKAHIROが、長編作品で単独初主演を務めた「僕に、会いたかった」。見た目のイメージをガラリと変えて寡黙な漁師を演じ、俳優として新境地を見せたTAKAHIROが、撮影を振り返った。
隠岐島を舞台にした本作は、ある事故をきっかけに記憶を失った漁師の徹(TAKAHIRO)が、献身的に支える母や、本島からやって来た“島留学”の学生たちと触れ合いながら、事故の真相と向き合い、“自分自身”を見つけ出していくさまを描く。「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」「たたら侍」などで知られる錦織良成監督がメガホンをとった。
これまでも映画出演はあったが、長編での単独主演は本作が初めて。「未知数な部分もあったのですが、EXILE TAKAHIRO像とは全く真逆の役ということもあって、すごくやりがいがありました。雄大な自然、キャストのみなさんを含めいろんな環境が支えてくれたように感じます」と、隠岐島で行われた撮影を振り返る。
日焼けした肌にひげを生やすなど、外見にもこだわって役作りを行った。「少しだけ裏話をすると、実は衣装合わせの段階ではもっとゴテゴテで、パンチパーマみたいな感じで……(笑)。顔も(関口)メンディーくらい黒くて(笑)。こんなに漁師らしい漁師はいないんじゃないか、というくらい(笑)。この徹像にたどり着くまで監督と相談して、決めていきました」と過程を明かす。
徹の心情を表現することに苦労もあったようで、「悲壮感あふれる人物像や面白い性格の人物像といったわかりやすい役だと、その中で浮き沈みを表現しやすいのですが、記憶喪失の方は、これは僕のなかの勝手な想像ですけれど、恐らくずっと無の感情なのではないかと思って。そこに少し哀愁を醸し出すためにはどういった努力が必要で、どうすればたどり着けるのか……そこが一番難しかったです」と話す。
寡黙な徹はセリフも少なかったが、「“しゃべらない中での表現”というものはすごく勉強になりました。監督の人間味が、役者の背中を押してくれて、こういう画につながっていく。そういうことを改めて感じましたし、錦織監督が新たな自分を引き出してくださったと思います。僕も、しゃべり倒す映画よりも、表情や動き、目や背中で見せる映画の方が好きなので、好きなジャンルの作品に挑戦できましたし、だからこそ個人的にすごく見たい映画を撮れた気がしました」と感謝を込める。
本作での挑戦を経て、俳優としての成長も実感している。「今回の映画がターニングポイントだったかもしれないですね。こういう長編のヒューマンドラマで、自分がどこまでやれるかを試してもみたかった。錦織監督と初タッグを組み、監督にたくさん自分を引き出していただけたことも今後の自信につながりました」。
「僕に、会いたかった」は、5月10日から全国公開。